金プラチナ短期相場観
株安・債券安・通貨安に格下げ、それでも強行姿勢のロシアの野望
更新日:2014年4月26日(土)
ウクライナ東部の緊張感が高まっています。ウクライナ軍と親ロシア派との衝突とともに、ウクライナ軍と政府を支援する欧米側と親ロシア派を支援するロシアとの対立の構図も鮮明となり、ロシア兵の国境付近への待機に対抗するように米兵も東欧へ。武力衝突する訳にはいかないものの、双方の威嚇合戦の様相も。
一週間前のジュネーブ合意は予想どおり効力を発揮することはなく、欧米側は対ロシア制裁強化へと進みます。
緊張感の高まりを背景に、ロシアの主要株価指数は1ヶ月ぶりの安値へ、債券も売られてロシアの10年債利回りは1ヶ月ぶりの高値圏、通貨ルーブルも安値圏での推移が続き、ロシア中銀は25日、ルーブル安に伴うインフレリスク対応として政策金利を7%から7.5%へと予想外の引き上げ。景気後退リスクを孕む苦渋の選択のようです。
この状況を見かねたように格付会社スタンダード・アンド・プアーズは、ロシアの格付けを投資適格級の最低ランクとなる「BBB-」へと引き下げています。
それでも引き下がらないロシア、プーチン大統領の思惑とは?
ロシア系住民が多数を占め、ロシア軍の基地があるクリミアは別格としても、ロシア系住民が多数派とまでいかないウクライナ東部をクリミアと同じ手法で併合してしまおうなどと考えているとは思えません。
しかし、ロシアはウクライナの連邦制導入を主張しています。州政府毎の自主性、独立性が尊重される連邦国家としてウクライナ情勢が沈静化することは、欧米側としても譲れなくもない落とし所となる可能性は十分にありそうです。米国や欧州のような多民族国家では多数の国で採用されている連邦制を、同じような多民族国家であるウクライナで採用してなぜ悪い?という論理も働きます。
いったん落ち着いた後、その先の展開として、ウクライナ東部へのロシアの影響度合いを少しづつ高め、機が熟せば次の展開へ。
そんな長期シナリオをプーチン大統領が描いている、可能性も?
NY市場、金相場は3日続伸となる0.79%上昇で4月16日以来の1,300ドル台を回復。ウクライナ大統領補佐官の「ロシア軍の越境は侵攻とみなす」発言など緊張感の高まりとともに10ドルほど水準を切り上げ。1,280ドルのサポートライン割れの可能性が高まっていた今週前半の状況から、週後半にかけてウクライナリスクにより1,280-1,330ドルのレンジ内半ばでの揉み合い状態へと移行。
週間ベースでは+6.9ドル(+0.53%)の反発。
プラチナ相場も1.04%高で3日続伸。2ヶ月半ぶりの安値となる1,380ドル台まで下押しした前日安値からの反発傾向が続き、今回の1,350ドル近辺を目指す勢いは急速に低下、そろそろ区切りをつける可能性も。金の反発傾向に追随したことと、南ア鉱山ストの妥結が見られないことを背景に、採算ラインでもある1,400ドルのサポートラインが存在感を高めた様子。
週間では-4.4ドル(-0.31%)の小幅下落となり、2週続落。
ドル円は0.16%の小幅安で3日続落。102円台半ばのレンジ上限付近から軟調推移の展開。しかし102円割れでは買い圧力も強まり、下値も堅い状態。101.50-102.70円のレンジで方向感も喪失状態。
週間では-0.28円(-0.27%)の小幅反落。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場4/25終値とチャート
- 2014年4月26日(土)時点の相場
-
国内金 : 4,551 円 4/25(金) ▲22(0.49%) 国内プラチナ : 4,961 円 4/25(金) ▲20(0.40%) NY金 : 1,300.8 ドル 4/25(金) ▲10.2(0.79%) NYプラチナ : 1,424.3 ドル 4/25(金) ▲14.7(1.04%) ドル円 : 102.15 円 4/25(金) ▼0.16(0.16%)
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