金プラチナ短期相場観
低調な3月小売売上高にも米国経済の拡大傾向は維持
更新日:2016年4月14日(木)
米商務省が発表した3月小売売上高は前月比-0.3%となり、改善予想に反して1月の-0.4%に次ぐマイナス圏へと落ち込みました。2月の-0.1%は0.0%へと上方修正されたものの、6カ月移動平均で見ると3カ月連続の低下で昨年4月以来11カ月ぶりの-0.02%へと落ち込み、1-3月期の減速傾向が鮮明となっています。
変動の激しい自動車を除いた小売売上高は前月比+0.2%となり、市場予想の+0.4%にはとどかなかったものの、12月の+0.4%に次いで年初来では最大の伸び。6カ月移動平均では+0.12%となり、1月時点で8カ月ぶりのマイナス圏となる-0.02%まで落ち込んだ後は拡大傾向の兆し。
3月の自動車販売の減速を除けば、小売は1月にマイナス圏に落ち込んだ後は3月にかけて拡大傾向となっていることになります。
この結果を受けて、アトランタ連銀の1-3月期GDP予想「GDPナウ」では8日時点の0.1%から0.3%へと上昇しています。
また、アトランタ連銀に対抗するようにNY連銀から公開された新たなGDP予想ツール、NY連銀ナウキャスト(FRBNY Nowcast)での1-3月期GDP最新予想値は、8日時点での1.1%となっています。
若干開きはありますが、米国の1-3月期はやはり低調は低調、という状況です。
ただし、今朝発表されたベージュブック(地区連銀経済報告)では、2月下旬から4月上旬にかけての米経済活動は引き続き拡大傾向、という状況のようです。
全般的に賃金も上昇し、一部では上昇圧力がより強まっている兆しも見られ、物価も大半の地区でゆるやかな上昇、とのことで、FRBのタカ派メンバーが強気姿勢を維持する新たな材料にもなりそうです。
年初来の世界経済減速リスクの影響を受けた米国経済活動は、1-3月期全体としては低調だったものの、その影響は確実に緩和され、改善傾向が見られる状況となってきたようです。
13日のNY金相場は1%の大幅安で5日ぶりの反落。中国3月の貿易統計で輸出が前年比+11.5%と9カ月ぶりのプラス圏、輸入もマイナス幅を縮小と改善傾向を示したことを好感して日米欧株全面高の流れが加速。これに伴う軟調推移で金は約1週間ぶり安値圏となる1240ドル付近まで下落。米3月の小売売上高の冴えない結果に1250ドルまで反発したものの、今朝にかけて再び1240ドル台前半へ。上向きつつあった流れは失速、これで上方向に向けては1260ドル台が早めに突破しておきたい重要な抵抗水準に。1220ドルが当面のサポートライン、さらにその下1200ドル近辺は抜けると売りが加速しやすい重要なサポート水準に。
NYプラチナ相場は0.33%の小幅高となって5日続伸。金の下落基調に連れて一度は990ドル割れへと値を下げた後の反発局面では再び1000ドルの大台乗せ。終値ベースでも大台を維持して年初来高値を更新、昨年10月28日(1012.8ドル)以来5カ月半ぶりの高値水準に。引け後には大台割れへと小幅に水準を切り下げ、1000ドルの大台ライン前後の攻防はまだ継続。明確に大台超えできれば1030ドル付近まで上値を伸ばしそうな勢いも、金の軟調推移が続くようなら反落へ。
ドル円は0.73%のドル高円安で続伸、終値では1週間ぶりの109円台。中国指標をきっかけに日本株の大幅続伸で円安支援、英米株の年初来高値更新にドイツ株も大幅高と欧米株高がドル高を支援する形でドル全面高の流れ。短期的にはダブルボトムからの反発基調が続き、ネックライン109円10銭をしっかりと超えてきたことで当面の上値ターゲット110円60銭辺りを目指す展開へ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場4/13終値とチャート
14日の国内金価格は0.96%の大幅反落。1カ月続いた下落トレンド終了をかけた反発トライはNY金の下落によっていったん巻戻し。4630円から4690円台までの保ち合いレンジを形成し、上値トライよりは下値警戒感がやや優勢という状況に。下限割れの場合には4550円台辺りまでの下落余地、上限突破へと反発できれば4780円辺りまで上値を伸ばすような展開も。
国内プラチナ価格は0.11%の小幅高で4日続伸。3月以降の下落局面をようやく抜け出しつつある状態となり、方向感は上向き。しかし、NYプラチナの反落の兆しと、それほど勢いも感じられない円安の流れに目先はいったん調整の動きも予想されるところ。
※参考:金プラチナ国内価格4/14とチャート
- 2016年4月14日(木)時点の相場
-
国内金 : 4,647 円 4/14(木) ▼45(0.96%) 国内プラチナ : 3,747 円 4/14(木) ▲4(0.11%) NY金 : 1,248.3 ドル 4/13(水) ▼12.6(1.00%) NYプラチナ : 1,003.0 ドル 4/13(水) ▲3.3(0.33%) ドル円 : 109.33 円 4/13(水) ▲0.79(0.73%)
消費者物価指数の上昇基調失速でFOMCに向けてタカ派の勢いも失速 4/15(金)
低調な3月小売売上高にも米国経済の拡大傾向は維持 4/14(木)
ドル円と金、ヘッドアンドショルダーとダブルボトムの攻防へ 4/13(水)
日銀アンケート調査では1年後の景気は鈍化、物価も上がらず? 4/12(火)
円高リスクは国内金価格にも「半値戻しは全値戻し」警戒水準へ 4/11(月)
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン