金プラチナ短期相場観
金ETF残高減少にも上昇し続ける金価格
更新日:2019年2月21日(木)
FOMC議事要旨では、「保有資産縮小を年内に停止する計画を、そう遠くない時期に発表するのが望ましい」との見方が示された一方で、「FF金利誘導目標レンジをどのように調整するのが適切かは、まだ明確にないっていない」のが大勢であることも示されました。一部では「インフレ率が見通しを上回った場合に限り利上げが必要」との指摘もあったようですが、FOMCの総意としては、「今年、利上げすべきかどうかわからない」というのが本音ともとれそうです。
市場の見方も分かれるところですが、年内利上げ見送りの可能性もあるものの、年後半に1回程度の利上げが妥当となる可能性も、というところでしょうか。
金市場にとっては「利上げ打ち止め」ほどハト派的ではないものの、「少なくとも当面は据え置き」というFRBの辛抱強いアプローチを好感し、これが当面のサポート材料にもなりそうです。
NY金は1月末に1300ドルを超え、足下では1340ドル台まで水準を切り上げて10カ月ぶりの高値水準となり、年初来騰落率は+5.2%となっています。
一方、世界最大シェアのSPDRゴールド・シェアーズの金ETF保有高は1月末の823.87トンをピークに減少が続き、19日時点では792.45トン(※20日には794.5トンへ小幅増)。この間、-31.42トン、3.8%の減少で昨年末以来、2カ月半ぶりの低水準となっています。
このETF残高の推移は、投資需要のごく一部を表しているに過ぎないものの、足下の金価格の上昇局面では、投資需要以外の実需関連が影響している可能性もありそうです。
投資需要主体で買い上げられた場合には、必ず売り戻されることによって価格も急反落、という展開がしばしば起こります。しかし、実需の場合には買い切り状態となるため、短期間での売り戻し局面は生じません。
もし、そうであれば、FRBの辛抱強い姿勢とともにNY金の高止まりをサポートする材料ともなりそうです。
20日のNY金相場は+3.1ドル、0.23%の小幅高で3日続伸。昨年4月19日(1348.8)以来、10カ月ぶりの高値水準で下げ渋り。前日の大幅高の勢いのまま、時間外には一時1350ドル寸前まで上昇。FOMC議事要旨へのハト派期待もあり、1340ドル台半ばから後半での小幅保ち合い推移となってNY引け後に発表された議事要旨では利上げ停止を明示するような内容でもなく、若干の期待はずれ感もあり、1350ドル付近から1340ドルまで10ドルほどの急反落。それでも短期的な上値目安1340ドル台到達後の反落も限定的にとどまり、当面の利上げ見送りをサポート材料として高止まり。1350ドルが目先の抵抗水準にもなりつつあり、20日移動平均線(1314.3)方向へ多少の調整も。
NYプラチナ相場は+13.2ドル、1.61%の大幅高となって3日連続1%超の続伸。時間外には90日移動平均線(820.9)付近で若干の保ち合い推移も抵抗線とはならず、NY午前には堅調推移となって830ドル半ばへ。11月27日(835.3)以来、約3カ月ぶりの高値水準となり、短期上値目標、今年最高値836.5ドル更新トライに対しては836.2ドルまでとわずかに届かなかったものの、ほぼ目標水準到達。短期的には上昇一服となりやすいところも中期的には11月高値880ドル付近が意識される可能性も。
ドル円は20銭ほどのドル高円安となって4日続伸。東京午前の時間帯には日経平均の3日続伸と五十日の国内ドル需要から110円90銭台まで上昇し、ほぼこの日の高値水準に到達。110円70銭台から90銭までの保ち合い推移後、NY時間にはFOMC議事要旨への警戒感から110円60銭付近まで軟調推移。しかし、それほどハト派的でもないとの見方が優勢となって110円90銭付近へと急騰の反応。しかし、今朝の東京市場では100円安へと軟調推移の日経平均にも連れる形で110円60銭台へと円高推移。この日の値幅も30銭台にとどまり、4日連続で40銭未満の小動きとなり、110円台後半での保ち合い推移は1週間を超える膠着状態に。110円台前半へと下方ブレイクなら109円台前半までが目先の下値目安に、111円超へと上昇ブレイクとなれば112円付近までが上値目安となる展開にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場2/20終値とチャート
21日の国内金価格は+9円、0.18%の小幅高、横ばい推移をはさんで8日続伸。8日続伸となるのは2017年12月から2018年1月9日まで(13日続伸)以来、1年1カ月ぶり。水準としても昨年1月25日(5103)以来、1年1カ月ぶり。RSIは86%台に達し、これも昨年1月9日(93.4)以来で1年1カ月ぶりの高水準。予想を上回る行き過ぎ状態が続き、節目の5100円も目前に。通常であれば急反落への警戒感も高まるところ、NY金の堅調推移とドル円の膠着状態によって目先の急激な変動が予想し難い状況にも。ただし、米経済指標や米中貿易交渉などでサプライズがあれば急変動も。また、過去の5000円台ではピークアウト後には急落の展開が繰り返されてきたことにも要注意。中期的な目安としては昨年8月安値からの上昇幅に対する23.6%戻しが4942円。
プラチナ価格は+36円、1.15%の大幅高で4日続伸。11月30日(3199)以来、2カ月半ぶりの高値水準に。90日移動平均線(3153)を上抜けるのも11月30日以来、2カ月半ぶり。過熱感はそれほどないものの、昨年11月高値3397円から今年1月安値2982円までの38.2%戻し(3141)も達成し、一服感も生じやすいところ。反発基調がさらに続けば50%戻し(3190)付近までが意識されやすい水準にも。
※参考:金プラチナ国内価格2/21とチャート
- 2019年2月21日(木)時点の相場
-
国内金 : 5,091 円 2/21(木) ▲9(0.18%) 国内プラチナ : 3,156 円 2/21(木) ▲36(1.15%) NY金 : 1,347.9 ドル 2/20(水) ▲3.1(0.23%) NYプラチナ : 834.2 ドル 2/20(水) ▲13.2(1.61%) ドル円 : 110.82 円 2/20(水) ▲0.22(0.20%)
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