金プラチナ短期相場観
ユーロ圏景況感指数は11カ月ぶりの反発、英国は6年ぶり低水準に
更新日:2019年5月29日(水)
欧州委員会が発表した5月のユーロ圏景況感指数は105.1。市場予想の104.0を上回り、2年7カ月ぶり低水準となっていた4月の103.9からは1.2ポイントの上昇。ユーロ圏の景況感は11カ月ぶりの反発となり、2018年1月から続いた減速基調にも、ようやく歯止めがかかる可能性を示す結果となりました。
ドイツは2年11カ月ぶり低水準となった4月の105.1から5月は105.5へと小幅反発にとどまりましたが、フランスは長期平均100ポイント付近での揉み合い状態から104.8へ、9カ月ぶり高水準へと4.0ポイントの大幅反発となり、ユーロ圏の反発に大きく貢献。
その他主要国では、スペインも2年8カ月ぶり低水準となった4月からは1.3ポイントの反発で105.4、イタリアも4年2カ月ぶり低水準となった4月から1.7ポイントの反発。
ユーロ圏としての業種別でも、製造業が5年半ぶり低水準となっていた4月の-4.3から5月は-2.9へと半年ぶりに反発。サービス業も2カ月連続上昇で12.2と5カ月ぶり高水準。消費者信頼感指数も-6.5で半年ぶり高水準となるなど、回復基調を示す形となっています。
その一方で、英国の景況感指数は4月の99.3から5月は94.5へと急低下。ブレグジット決定直後の2016年7月の101.9、長期平均100なども大きく下回り、2013年4月(93.1)以来6年1カ月ぶりの低水準となっています。
製造業が-11.0と2013年6月以来、5年11カ月ぶり低水準となった他、サービス業も6年2カ月ぶり低水準となった2月の-16から3-4月はマイナス1桁台に反発も5月は-15へと再反落。
EU離脱のはずだった3月には在庫積み増しなどでその準備も進み、英国の景況感は反発していましたが延期によってその効果も剥落。そしてメイ首相の退任も決まり、後任候補者の顔ぶれからは「合意なき離脱」への警戒感も高まる状況となり、英国の景況感を押し下げたようです。
3連休明け、28日のNY金相場は-6.5ドル、0.51%の続落。中国によるレアアースの対米輸出制限やアイフォーン販売制限など報復措置への警戒感から米中対立の長期化とエスカレート、不透明感から株安と債権買いの流れに。ナスダックは2カ月半ぶり安値となり、米10年債利回りは1年8カ月ぶり低水準、英10年債利回りは2年7カ月ぶり、ドイツ10年債利回りは2年10カ月ぶりの低水準に。しかし、欧州ではイタリアの財政赤字に対して欧州委員会が課徴金を課す可能性などが報じられてユーロ売りが進行、これが2年ぶり高値圏からの調整の兆しとなっていたドルインデックスを押し上げる形となり、NY金はドル高圧力に押されてNY朝に1280ドル割れ。20日移動平均線(1283.8)に押さえられての上値切り下げも、下値は1270ドルでサポートされる状態。レンジ縮小で月末月初に向けてトレンド形成への可能性も高まる状況にも。下方向へ抜け出せば1230ドル付近まで、上方向なら1330ドルを目指す流れにも。
NYプラチナは-5.8ドル、0.72%の反落。2月14日(789.2)以来、3カ月半ぶりの安値水準。連休明けの時間外には反発基調が続いて810ドル台半ばへと水準を切り上げるも、戻り売り圧力に押されて急反落。NY市場では800ドル割れ。23日の安値をわずかに下回るも790ドル半ばでは底堅さも見られ、NY引け後には800ドルの大台回復をかけた攻防状態にも。回復失敗となれば今年安値780ドル台が意識される展開にも。上髭陰線の足形は下値警戒感も、安値圏での包み線となって底打ちへの可能性も。
ドル円は20銭弱のドル安円高となって前日の上げ幅を帳消し。東京朝につけた109円60銭台がこの日の高値となり、この水準が小幅保ち合い上限にも。欧州朝にかけては米10年債利回り急低下に連れてサポート水準109円20銭付近まで下落。NY序盤にかけては米10年債利回りの下げ渋り、米5月消費者信頼感指数が半年ぶり高水準となったことなどにもサポートされて109円60銭まで反発。しかし、米10年債利回りの低下基調再開と株安の流れにも連れて109円30銭台へと反落。今朝の東京市場では日経平均の大幅安にも連れて一時109円20銭割れも、この水準での底堅さも確認。この水準を完全に割り込むようだと108円台前半までが下値目安に、逆に109円60銭の抵抗水準を超えることができれば110円台半ばまでが上値目安にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/28終値とチャート
29日の国内金価格は-38円、0.78%の反落。4840円から60円までの小幅保ち合いレンジ内で下げ渋り、上向きつつあった流れはNY金の下落と円高によって巻き戻され、逆に下限を割れて1月15日(4819)以来、4カ月半ぶりの安値水準に。下値トライへの流れが再開し始めた可能性が高まり、今年安値(4797)までが第1目標、さらに下押し圧力が強まれば10月高値4760円台までが当面の下値目安にも。
プラチナ価格は-75円、2.43%の大幅安で3日ぶりの反落。3月5日(-89円、2.7%)以来2カ月半ぶりで今年2番めの大幅下落となり、2月15日(3001)以来3カ月半ぶりの安値水準に。昨年8月安値からゆるやかに下値を切り上げるサポートライン付近で反発した流れは腰折れ、重要なサポートラインを割り込んで一段安への警戒感も。今年安値2982円近辺までが下値目安に。
※参考:金プラチナ国内価格5/29とチャート
- 2019年5月29日(水)時点の相場
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国内金 : 4,821 円 5/29(水) ▼38(0.78%) 国内プラチナ : 3,014 円 5/29(水) ▼75(2.43%) NY金 : 1,277.1 ドル 5/28(火) ▼6.5(0.51%) NYプラチナ : 797.1 ドル 5/28(火) ▼5.8(0.72%) ドル円 : 109.31 円 5/28(火) ▼0.19(0.17%)
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