金プラチナ短期相場観

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米7月CPI高止まりも想定内でドル売り

更新日:2021年8月12日(木)

米・消費者物価指数(CPI) 2021年7月長期的な視点では消費者物価指数で見るインフレは高止まり。ただし短期的にはその伸びが鈍化したとの見方も可能となり、米7月CPI発表後には米10年債利回り急低下、ドル売りも急進。

7月の消費者物価指数は前年比では市場予想の+5.3%程度をわずかに上回る+5.37%。6月の+5.39%とはほぼ同水準での横ばい推移。より重要視されるコアCPIは前年比+4.27%。市場予想の+4.3%にほぼ並び、6月の+4.47%からは0.2%の低下。
CPIの前年比+5.37%は2008年8月(5.37)以降の13年間では3番めの高水準となり、コアCPIの+4.27%は1991年12月(4.41)以降の29年8ヵ月間で3番めの高水準。
前年比で見る消費者物価のインフレは歴史的高水準での高止まり状態。

ただし、前月比ではCPIが+0.5%で市場予想どおりながらも6月の+0.9%からは大幅鈍化。コアCPIは+0.3%となって市場予想の+0.4%を下回り、6月の+0.9%からは急低下。
インフレの加速基調に歯止めがかかった可能性も示唆する結果ともなり、辛抱強く「インフレ高騰は一時的」と唱え続けてきたパウエルFRB議長の見通しを正当化する可能性も高まりそうな状況にもなってきました。
今後の前年比インフレ率が低下傾向に転じることになれば、その傾向はより強まることにもなりそうです。

この日、指標発表とは前後して、タカ派のダラス連銀のカプラン総裁は「9月にテーパリングを発表し、10月から開始すべき」との強気発言、同様にカンザスシティ連銀ジョージ総裁も「テーパリングする時が来た」との前のめり発言。
その一方でリッチモンド連銀バーキン総裁は「緩和縮小の条件を達成するには数カ月要する」との慎重発言も。

テーパリングについてはそう遠くない時期にも着手することは既に既定路線とも言え、年内か来年か、といった時期を巡っての攻防が今後繰り広げられることも想定されそうですが、利上げ見通しについては、今後の前年比インフレ率の動向次第で慎重姿勢が強まる可能性も残されます。

NY金・日足チャート 2021/7/8 - 8/1111日のNY金相場は+21.6ドル、1.25%の続伸。急落した9日の下ヒゲ分を取り戻した10日の十字線から、下値再トライか反発基調継続かを米7月CPIに委ねた結果は後者に。時間外序盤の1720ドル台半ばまで、浅めの押し目形成後は堅調な流れへ。十字線のクロス部分、10日終値水準1730ドル台前半での揉み合いをロンドン時間に抜け出すと、NY朝のCPI結果を受けてインフレ高騰一服感となった場合の反発余地1750ドル近辺へと急騰。米長期金利急低下とドル売り後の巻戻しが限定的となり、NY午後には1750台半ばへと水準を切り上げ、高値は1756ドル台まででいったん上値を押さえられた形に。7月末高値(1837.5)から9日安値(1677.9)までの半値戻し(1757.7)をほぼ達成した格好にもなり、反発基調一服とはなりやすいところ。1760ドル前後の水準は6月後半の保ち合い下限にも相当し、雇用統計直後の6日安値水準。やや行き過ぎ感もあった9日急落分をインフレ高騰懸念緩和でほぼ取り戻したこの水準から上は、雇用回復基調に異変が見られない限りは難しい領域にも。当面の下値サポートは1720ドル、割れると1700ドル近辺再トライへ。

NYプラチナ・日足チャート 2021/7/8 - 8/11NYプラチナは+28.6ドル、2.9%の続伸。インフレ高騰一服に伴う金の反発にもサポートされ、9日の下ヒゲ陰線で当面の底値をつけた可能性も高まる状況にも。時間外スタート時点での990ドルがこの日の安値となり、ロンドン時間までは1000ドルの大台ラインにしっかり上値を押さえられて雲行き怪しい雰囲気も漂うなか、NY朝にかけて金の堅調推移に追随する形で大台を突破。CPI後の急騰局面にも便乗すると1010ドル台へと一段高。NY午後には1010ドル台半ばで小康状態に。重要水準となり得た1000ドルの大台を回復したことで、目先はこれがサポートとなるかどうかがポイントにも、上方向には7月高値(1145.2)から9日安値(954.0)までの38.2%戻し(1027.0)を回復できるかどうか。

ドル円・日足チャート 2021/7/8 - 8/11ドル円は15銭のドル安円高、0.14%安となって6日ぶりの反落。インフレ高騰が一時的ではない可能性を警戒する向きがやや優勢となった様子で東京・欧州時間にかけてはドル高優勢の展開。東京午前に前日高値110円60銭を上抜けると欧州時間には7月7日(110.82)以来、1ヵ月ぶり高値となる110円80銭近辺まで上昇。NY朝にかけては米7月CPIへの警戒感もあり、110円70銭割れへと小幅に軟調推移、結果確認後には米長期金利急低下とともにドル売り急進。ドル円では110円40銭近辺まで、40銭程の急落。安値は110円30銭近辺までで揉み合いながら今朝の東京市場でも110円30銭台での揉み合い推移。日足・一目均衡表では雲の上限突破に失敗、遅行線もロウソク足にぶつかって反落など複数のテクニカルな抵抗水準にも上値を押さえられた格好。この110円半ばの水準が抵抗水準となる状態が続けば上値トライの流れも腰折れとなる可能性も、これをクリアできれば111円50銭台までの上値目標を目指す流れ継続へ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/11終値とチャート

12日の国内金価格は+97円、1.45%高で4日ぶりの反発。4月1日(+105円、1.61%)以来4ヵ月ぶりで今年2番め、今年の平均騰落値幅41円の2.4倍の急騰。ただし水準的には7月高値(7048)から急落後の8月安値(6710)までの23.6%戻し(6790)をなんとか達成した状態。NY金の頭打ちも警戒され、ここから先はやや上値の重い展開も予想されそう。6月末安値(6829)から、38.2%戻し(6839)辺りまでをなんとか回復しておきたいところだが。

プラチナ価格は+77円、1.98%の続伸。NYプラチナの大台回復にもサポートされての一段高で9日移動平均線(3957)上抜けも、4000円の大台には少し届かず。やはりNYプラチナの反発基調一服も懸念されるものの、水準的には7月高値(4385)から8月安値(3788)までの38.2%戻し(4016)から、6月安値(4034)辺りまでが努力目標にも。
※参考:金プラチナ国内価格8/12とチャート

2021年8月12日(木)時点の相場
国内金6,807 円 8/12(木) ▲97(1.45%)
国内プラチナ3,964 円 8/12(木) ▲77(1.98%)
NY金1,753.3 ドル 8/11(水) ▲21.6(1.25%)
NYプラチナ1,015.6 ドル 8/11(水) ▲28.6(2.90%)
ドル円110.43 円 8/11(水) ▼0.15(0.14%)

8/11(水)のその他主要マーケット指標

生産者物価PPIは鈍化せず、前年比では4ヵ月連続過去最高更新 8/13(金)

米7月CPI高止まりも想定内でドル売り 8/12(木)

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