金プラチナ短期相場観
米求人件数は4ヵ月連続過去最高、5月時点で求人不足解消
更新日:2021年8月10日(火)
米労働省が発表した月次求人労働異動調査(JOLTS:Job Openings and Labor Turnover Survey)で、6月の求人件数は1007.3万件。市場予想の927万件程度を大幅に上回り、前月比+6.22%で6ヵ月連続の増加、はじめて1千万件を超えて4ヵ月連続の過去最高更新。
5月分が920.9万件から948.3万件へと上方修正されたことにより、5月時点の失業者数931.6万人を上回り、2020年2月以来、1年4ヵ月ぶりに求人件数が失業者数を上回って数字上は求人不足解消。
求人件数-失業者数では、昨年2月の+129.5万を最後にマイナス圏入り、4月には-1847.9万件まで急拡大。その後の急回復で今年5月には+16.7万、6月には+58.9万へとプラス幅はさらに増加。
ミスマッチによる人材難の問題は残るものの、数字上の最初のノルマをクリアし、今後の失業者数のさらなる減少と求人件数の増加見通しからは労働市場の歪が今後、一段と改善されていくことが予想される状況となってきました。
この日はボストン連銀のローゼングレン総裁(来年投票権)が「FRBは今秋、テーパリング開始を発表する必要」との発言。アトランタ連銀のボスティック総裁(今年投票権)も「力強い雇用増があと1-2カ月続けばテーパリングに着手」し、「過去の例よりも速いペースで縮小を進めるべき」とタカ派勢の勢いが一段と強まる様子も。
9日のNY金相場は-36.6ドル、2.08%の大幅安で3日続落。今年の平均騰落値幅12.4ドルの3倍、今年7番めの大幅下落となって終値では3月31日(1715.6)以来、4ヵ月ぶりの安値。好結果となった7月雇用統計を受けてのテーパリング前倒しへの警戒感による売り圧力は週明けのアジア時間スタートとともに一段と強まり、やや仕掛け的な売りも入った様子で90ドル程の急落。3月31日(1677.3)以来、4ヵ月ぶり安値となる1670ドル台まで下げての自律反発では1740ドル近辺まで戻し、ロンドン序盤につけた戻り高値は1750ドル台半ばまで。6月末安値圏となり、今年安値(1673.3)から6月高値(1919.2)までの61.8%戻し(1767.2)も達成した先週末水準1760ドル近辺が抵抗水準に切り替わってしまった状態。下げ止まるのに都合が良いと思われた水準は、上値を押さえられるのに都合の良い水準だった様子。今年安値圏までのほぼ全戻しも達成したことから、いったん下げ止まりへの確率は先週末からは格段にアップし、短期的には今年3月の高値保ち合い下限1720ドルが当面の下値サポート候補にも。
NYプラチナは-1.3ドル、0.13%の小幅安で5日続落。5日続落は昨年3月初旬以来、1年5ヵ月ぶり。連日の今年安値更新となったものの、昨年11月30日(965.9)以来8ヵ月ぶり安値圏での下げ渋り。週明け時間外序盤には金の暴落局面に追随せざるを得ず、20ドル程の急落も950ドル台では下げ渋り。もう一段の下値警戒水準と想定された昨年3月から今年高値の半値戻し(955.1)ではしっかりサポートされた格好となり、ロンドン朝にかけて元の水準970ドル台まで反発。NY市場では980ドル台を試す場面もあったものの、NY午後には970ドル台前半へと収束。目先は970ドルがサポート候補となり、これを維持できれば1000ドルの大台回復トライのチャンスをうかがう展開にも。
ドル円は10銭余りのドル高円安、0.1%高となって4日続伸。7月26日(110.38)以来、2週間ぶりの高値。米10年債利回りが1.3%割れへと低下した流れにも連れ、東京朝の110円30銭台からNY朝の110円00銭台まで軟調推移。それでも110円割れを回避して下げ渋ると、米6月求人件数の好結果を受けて米10年債利回りの1.3%台回復への急上昇にも連れて110円30銭台まで急騰。しかし先週末高値付近では上値も重く、この日の変動値幅は33銭程にとどまり今年の平均55銭の6割程度の小動き。今朝の東京市場でも110円40銭トライに苦戦中。今週の米7月消費者物価でインフレの高止まりが確認できればもう一段上値を試す展開にも。流れとしては今年高値圏111円50銭台を短期上値目標として、堅調推移が続きやすい状況に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/9終値とチャート
3連休明けとなった10日の国内金価格は-234円、3.36%の大幅続落。雇用統計後の2日で下げ幅が80ドル超、4.6%に達したNY金の暴落を反映し、4月26日(6718)以来3ヵ月半ぶりの安値。下げ幅は今年最大となり、最高値更新後の急落局面となった昨年8月12日(-353円、4.67%)以来、1年ぶりの急落。4月中旬以降およそ4ヵ月間サポートされた90日移動平均線(6952)を下回り、6930円の節目下抜けに伴う下値目安、6月安値圏6820円近辺を突き抜けての一段安。3月5日の今年安値(6413)から今年高値(7335)までの61.8%戻し(6765)を達成したことからも下げ一服とはなりやすいものの、さらなる下値警戒水準としては76.4%戻し(6631)近辺も。
プラチナ価格は-77円、1.99%安で5日続落。5日続落は4月以来4ヵ月ぶりで今年2度め。今年安値を更新し、昨年12月25日(3703)以来、7ヵ月半ぶりの安値。RSIは9.3となり、1桁台はコロナショックの昨年3月以来、1年5ヵ月ぶりの売られ過ぎ。短期的にはNYプラチナの下げ止まりの兆しに追随することが予想されるものの、さらなる下値警戒水準としては昨年11月安値(3096)から今年高値(4798)の61.8%戻し(3746)近辺。
※参考:金プラチナ国内価格8/10とチャート
- 2021年8月10日(火)時点の相場
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国内金 : 6,723 円 8/10(火) ▼234(3.36%) 国内プラチナ : 3,788 円 8/10(火) ▼77(1.99%) NY金 : 1,726.5 ドル 8/9(月) ▼36.6(2.08%) NYプラチナ : 970.9 ドル 8/9(月) ▼1.3(0.13%) ドル円 : 110.34 円 8/9(月) ▲0.11(0.10%)
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