金プラチナ短期相場観
デフレ懸念、中国では利下げフェーズが進行中
更新日:2023年8月22日(火)
世界の主要国では利上げフェーズも終盤を迎え、南米など一部では利上げを終えて利下げフェーズをスタートした国も。そんななかで脱デフレがテーマとなっていた日本ではマイナス金利を維持したまま緩和政策を継続中。それでも最近ではインフレも進行し、緩和政策の一部調整なども意識される状況にも。
ところが、中国では景気減速が喫緊の課題となって利下げフェーズが進行。
中国人民銀行は21日、政策金利と位置づける「ローンプライムレート(優良企業向け貸出金利、LPR)」の1年物を0.1%引き下げて3.45%に。6月に続いて2カ月ぶり、今年2回目の利下げ。LPRを公表した2019年8月以降、最低金利に。
不動産市場が低迷し、国内需要も低調な中国では消費者物価も下落の一途。2週間程前に発表された7月の消費者物価指数(CPI)は前年比-0.3%。2021年2月(-0.2)以来、2年5ヵ月ぶりの前年割れ、同年1月(-0.3)以来、2年半ぶりの低水準で近年最低レベルに落ち込むデフレ状態。
主要貿易相手国は中国という国も多い為、中国の需要減はそのまま世界の貿易額の減少に繋がり、世界経済の減速が警戒されます。
国家統計局発表の製造業PMIは7月まで4ヵ月連続の節目50割れ、財新発表の製造業PMIでも50前後での推移が続いて7月は49.2となって6ヵ月ぶりの低水準。
若年層の失業率公表の一時停止など、相変わらず統計データの信頼性の問題などもあるものの、利下げフェーズ継続、低金利の長期化などの状態が続くようなら警戒感も高止まり、ということにもなりそうです。
21日のNY金は先週末から+6.5ドル、0.34%の続伸。アジア時間には7月6日(1908.5)以来、1ヵ月半ぶり安値となる1913.6ドルの安値をつけて折返し、ほぼ1910ドル台後半での小幅保ち合いからNY市場では買い戻しの流れとなって1920ドル台後半まで上昇。しかし米10年債利回り上昇とドル高の流れが強まった場面では急失速、1910ドル台前半までの反落も、アジア時間の安値を下回らずに切り返すとNY午後には1920ドル台を回復。1910ドル台の安値圏では下げ渋って反発の兆しを維持した格好、反発局面進行に向けては右肩下がりの9日移動平均線(1934.3)の早期突破が目前のポイントに。1910ドルが当面の下値サポートとなり、これを維持できないようだと下落局面延長となって1900ドルの大台割れへ、1890ドル程度までが浅めの下値目標に。
NYプラチナは-1.5ドル、0.16%の小幅安で3日ぶりの反落。週明け時間外序盤につけた高値919.7ドルは8月11日(923.1)以来、10日ぶりの高値。しかし節目の920ドルには何度かトライしても届かず、ロンドン市場にかけて失速すると安値では905ドルまで下落して折返し、NY市場では910ドルを挟んでの小幅保ち合いからNY午後には910ドル台半ばへ。890ドルから920ドルまでの安値保ち合いレンジを維持し、9日移動平均線(904.1)にも下値を支えられてレンジ上半分での推移に。目先、920ドルの節目を突破できれば一段高の展開へ、短期上値目標は7月高値(1003.7)から8月安値(882.6)の半値戻し(943.2)近辺、940ドル前後まで。
ドル円は87銭のドル高円安、0.6%高で3日ぶりの反発。東京朝には145円30銭台から10銭台まで浅めの下押し、これが安値となって切り返すと直後には145円60銭台まで急騰して一服、145円40銭台まで戻して小康状態で東京市場を通過。欧州時間には米10年債利回りが4.3%台へと上昇した流れにも連れて堅調推移、146円ラインで一度は跳ね返されながらもこれを突破するとNY市場では146円40銭近辺まで上昇。ただし17日の今年高値146円50銭台付近にはまだ抵抗感も。週末に今年高値更新へと向かえば一段高へ、147円台後半から148円近辺までが短期上値目標に。下方向へは145円30銭の下値サポートを割り込むようなら調整局面へ、144円近辺までが短期下値目安に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/21終値とチャート
22日の国内金価格は+98円、1.02%の大幅高で3日ぶりの反発となって8月3日(9756)以来、20日ぶりの高値。9730円の節目割れに伴う短期下値目安、7月末安値(9529)から8月高値(9831)の半値戻し(9680)達成後の一服、となる間もなく巻き戻しの流れが急加速。2日分の下げを取り戻して9-21日移動平均線(9720-21)もまとめて上抜け、高値保ち合い上限で節目となる9760円手前まで上昇。節目突破となれば最高値圏再トライへ、9830円近辺までが短期上値目標に。乱高下状態が続いて9650円の節目を割り込むようだと大幅安リスク再燃、7月安値(9499)から最高値(9831)の76.4%戻し(9577)辺りまでが下値目安にも。
プラチナ価格は+17円、0.37%高で3日続伸。8月1日(4712)以来、3週間ぶりの高値。4500円近辺の重要水準にサポートされて反発した流れが続き、4590円の節目上抜けに伴う短期上値目標、8月高値圏4700円台回復を目指す流れが進行。短期上昇トレンド形成中となって上値トライへの勢いも加速する可能性も。勢い余れば8月高値圏から7月高値圏、4760円台辺りまでが意識される可能性も。
※参考:金プラチナ国内価格8/22とチャート
- 2023年8月22日(火)時点の相場
-
国内金 : 9,753 円 8/22(火) ▲98(1.02%) 国内プラチナ : 4,644 円 8/22(火) ▲17(0.37%) NY金 : 1,923.0 ドル 8/21(月) ▲6.5(0.34%) NYプラチナ : 913.5 ドル 8/21(月) ▼1.5(0.16%) ドル円 : 146.24 円 8/21(月) ▲0.87(0.60%)
デフレ懸念、中国では利下げフェーズが進行中 8/22(火)
ジャクソンホールの週、タカ派傾斜なら金には下方リスクも 8/21(月)
インフレ高止まりで実質実効為替レートも円安、ドル高は一服 8/19(土)
NY連銀とは逆行、フィリー指数は1年ぶりプラス圏回復 8/18(金)
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン