金プラチナ短期相場観
失業保険申請件数は20週ぶり高水準、下げ渋りからの急増
更新日:2021年1月15日(金)
2021年最初の週、1月9日までの週間新規失業保険申請件数は96.5万件。市場予想の78.9万件、前の週の78.4万件などを大幅に上回り、8月22日までの週(101.1)以来、20週ぶりの高水準。この翌週に100万件を下回って以降では最多。前の週からの増加幅は18.1万人となり、12月5日までの週(+14.6)、8月15日までの週(+13.3)などを大幅に上回り、3月末の急増局面以降では最大。
8月の80万件台から10月には70万件台へと減少し、それ以降は70-80万件台で行ったり来たりの小幅上下動。下げ渋る状態が4ヵ月ほど続きましたが、年を明けて急増。
4週移動平均でも秋以降、12月第1週までは70万件台での推移が続きましたが、12月第2週以降は80万件台へと増加しており、11月以降のコロナ感染急拡大と行動規制の影響が表れているようです。
相場ならレンジブレイクで流れが変わる潮目を迎えた可能性を疑うべきタイミングとなり、労働市場の回復には依然として長い時間を要することを示唆する状況にもなってきました。
最近では、一部のFRB関係者からは年内のテーパリング開始などの可能性への言及も聞かれましたが、パウエルFRB議長がこの日の発言できっぱりとそれを否定。出口戦略を協議するのは時期尚早、利上げなんてもってのほか、であることを断言したことと、この日の労働指標がそれを裏付ける結果となりました。
これにより、米長期金利上昇とドルの反発も一服となりそうです。
14日のNY金相場は-3.5ドル、0.19%の反落。バイデン次期政権発表予定の追加経済対策が2兆ドル規模となり、従来の見込みを大幅に上回るとの報道から東京午前の時間帯に米10年債利回り急騰とドル高急進。本来、金市場にとっても好材料ながら反射的に売り反応となって1850ドル付近から1830ドル割れへと20ドル超の急落。当然のように売られ過ぎからの巻き戻しで急反発も1840ドル前後で頭打ち、短期的な流れが軟調となっていることから上値も重い様子。それでも200日移動平均線(1843.9)と下値サポート1840ドル付近で下げ渋る状態に。NY朝には失業保険申請件数が予想外の大幅増となったことを受けて長期金利低下とドル安金高優勢の展開へ。NY午後にはパウエルFRB議長のハト派発言もあり、一時1850ドル台後半まで上昇。しかし、上値の重さは変わらずNY引け後には1850ドル割れ。目先、1870ドル台辺りまでの上昇余地を残しながら上値の重い状態も続き、1840ドルの節目を割れると今年安値更新トライとなる1810ドル台までの一段安も。
NYプラチナは+15.7ドル、1.41%高で3日続伸。終値ベースでは今年高値を更新、2016年8月18日(1133.2)以来、4年5ヵ月ぶりの高値。時間外に金が急落した局面では1110ドル付近から10ドル弱の下押しにとどめ、1100ドル割れを回避。地合いの強さを示した後は1110ドルに戻しての小康状態を経てロンドン市場から徐々に上値トライの展開へ。NY市場では1120ドルトライとなって午後には1130ドルにワンタッチして1120ドル台後半へ。上方向への節目を抜け出し始めたことにより、もう一段の上値トライを試しに行く可能性。4日の急騰局面でつけた今年最高値1142.0ドルを上回り、2016年8月の高値保ち合い水準、1150ドル台までが上値目標。下値サポート候補は20日移動平均線(1065.5)。
金との価格差は725.0ドルとなり、2月28日(702.0)以来、ほぼ11ヵ月ぶりの水準。
ドル円は10銭ほどのドル安円高、0.09%の小反落。東京朝のバイデン追加経済対策報道を受けたドル高局面では103円80銭付近から104円20銭付近まで急騰。104円台を維持しての小康状態から欧州時間には104円をはさんでの攻防状態へ。バイデン期待などからNY時間には104円10銭台へと上値トライの兆しも、失業保険申請件数の結果が重石となり、104円割れへと急反落。パウエルFRB議長のハト派発言後には一時103円50銭台まで下落。しかし、前日に続いて水平状態の20日移動平均線(103.51)に下値を支えられ、103円80銭近辺まで反発。103円半ばでの足場固めが進行する様子ながら、上値は主要レンジ上限104円30銭がまだまだ重そうな状況。長期金利上昇とドルの反発一服の兆しも見られ、小幅保ち合い推移はもう少し継続か。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場1/14終値とチャート
15日の国内金価格は-3円、0.04%の小幅続落。12月16日(6734)以来、1ヵ月ぶり安値での軟調局面。6740円の節目割れに伴う下値目安6700円前後までの下値余地を抱えながら、一方的な売り圧力に押される状態でもなく、NY金の下げ渋りによって下支えされる均衡状態のようにも。上方向への節目6770円台も近くて遠そうな状況ながら、これを超えるような展開となれば短期トレンドも好転方向へ。
週間ベースでは-243円、3.48%の反落。下げ幅としては9月21日からの週(-257円、3.58%)以来、4ヵ月ぶりの急落。
プラチナ価格は+59円、1.48%の大幅高で3日続伸。3日合計で220円上昇し、12日の急落値幅207円を取り戻して今年高値を更新。2016年8月2日(4045)以来、4年5ヵ月ぶり高値となり、NYプラチナとともに2015年秋のVWショック後の最高値トライへ。2016年7月28日につけた2016年以降の最高値4072円が当面の上値目標に。下値サポート候補は急騰する9日移動平均線(3905)付近。
金との価格差は2695円。2月25日(2666)以来、ほぼ11ヵ月ぶりの水準へと急縮小。
週間ベースでは+13円、0.32%の小幅高、週初の急落を週末までになんとか取り戻して続伸。
※参考:金プラチナ国内価格1/15とチャート
- 2021年1月15日(金)時点の相場
-
国内金 : 6,734 円 1/15(金) ▼3(0.04%) 国内プラチナ : 4,039 円 1/15(金) ▲59(1.48%) NY金 : 1,851.4 ドル 1/14(木) ▼3.5(0.19%) NYプラチナ : 1,126.4 ドル 1/14(木) ▲15.7(1.41%) ドル円 : 103.80 円 1/14(木) ▼0.09(0.09%)
低調な米経済指標にリスクオフのドル買い円買い、金は売り 1/16(土)
失業保険申請件数は20週ぶり高水準、下げ渋りからの急増 1/15(金)
原油価格上昇でCPIは上昇の兆しも、コアCPIは伸び悩み 1/14(木)
求人件数は13ヵ月連続前年割れ、求人不足は9ヵ月連続 1/13(水)
金価格は上昇トレンド崩れ、プラチナは上昇トレンド維持? 1/12(火)
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン