金プラチナ短期相場観
2020年は世界の金需要激減で金価格が急騰した歴史的な年に
更新日:2021年1月29日(金)
ワールド・ゴールド・カウンシルが発表したレポートによれば2020年、世界全体の金需要は3759.6トン。2019年の4386.4トンからは-626.7.3トン、14.3%もの減少となり、リーマンショック後の世界金融危機となった2009年(3674トン)以来、11年ぶりの低水準となっています。
過去最大となった2011年(4777.5トン)以降は年間4300トン前後の需要を維持してきましたが、コロナショックの影響は大きく、多岐に渡って需要は減少しました。
とりわけ世界の2大金需要大国、中国とインドでの大幅減が響いて宝飾品需要は1411.6トン。前年からは700トン超の減少で少なくとも2002年以降では最低。2000トンを割り込んだのも2009年(1816.3)以来、11年ぶり。
※参考:世界の金需要・年間推移
工業用需要、中央銀行の買い越し量も減少したなかで、増加したのは投資需要で1773.2トン。前年からは500トン超もの急増で過去最大。特にETF関連の買い越し幅が急拡大で過去最大。これも影響し、8月に過去最高値を更新した金価格は年間平均でも2012年の1669ドルを100ドルほど上回って過去最高を更新。
2020年は世界の金需要が激減したにも関わらず、金価格が急騰した歴史的な年となりました。
なお、米商務省がこの日発表した2020年通年のGDP成長率は速報値で-3.5%。世界金融危機の2009年の-2.6%を下回り、第2次大戦直後の1946年(-11.5)以来、実に74年ぶりの低水準。
2020年は、歴史的な数値が続出する年となっています。
28日のNY金相場は-3.7ドル、0.2%安となって6日続落。6日続落は2019年3月以来、1年11ヵ月ぶり。6日合計の下落幅は25.3ドルとなって6営業日前の20日の上昇幅26.3ドルをわずかに下回り、下げ渋る状態が続いていることも示す状況。ただ、上値も重い。ロンドン序盤にかけては株安・ドル高の流れに押されて軟調推移も1830ドル台前半まで。米国ではロビンフッドなどのオンライン証券会社がゲームストップ株などの投機的取引を制限したことから市場の警戒感が後退し、米株主要3指数は揃って前日の大幅安からの巻き戻しが急速に進行。この流れに呼応するようにNY朝からドル安急進となってユーロ急騰などにも連れて金も反発。一時1860ドル台後半まで、30ドル弱の急騰となったもののこれを維持できずNY午後には1840ドル近辺まで急反落。結果的に上に行って来いの展開となり、上方向への節目となる20日移動平均線(1870)付近ではしっかり上値を押さえられ、200日移動平均線(1851.0)上抜けにも失敗して上ヒゲ陰線を形成。下げ渋りながら反発し切れず、下値警戒感がやや強まる状態にも。そのうち下方向への節目1820ドル台を割り込むようだと11月末安値圏1780ドル台までを目標にもう一段の下値を試しに行く展開にも。
NYプラチナは-6.6ドル、0.61%の続落。1080ドル台の節目割れに伴う下値トライへの流れを受けて時間外には1055ドルまで下落。下値目安1040ドル近辺には少し届かず、下げ渋るとロンドン市場では反発の動きとなり、NY朝には株や金の急騰にも連れて1060ドル台から1100ドル台まで、40ドル程の急上昇。急反落となったNY午後には1070ドル近辺で下げ渋ってNY引け後には1080ドル台へ。十字線に近い足型を形成も上ヒゲ長めの陰線となり、20日移動平均線(1095.3)もサポートから抵抗線に切り替わった状態に。下値目安1040ドル近辺までの下げ余地を残しながら、20日線超えなら下げ止まりへ。
ドル円は13銭のドル高円安、0.12%の小幅続伸。12月2日(104.42)以来、2ヵ月弱ぶりのドル高円安水準に。前日の株安ドル高の流れの延長線上で東京朝に104円30銭台へと水準を切り上げると、その後は104円30銭をはさんでの揉み合い状態。NY朝の株価急反発に伴う乱高下局面では一時104円40銭台まで上昇も、これを維持することはできず。結果的にゆるやかな下落基調が続く90日移動平均線(104.35)がほぼ上限となる形で上値を押さえられる展開に。しかし、今朝の東京市場では円安の流れが先行し、90日線を上抜けて104円50銭を試すような展開に、短期上値目標105円台を目指す流れが進行中。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場1/28終値とチャート
29日の国内金価格は+20円、0.3%高で6日ぶりの反発。21日の上昇値幅を5日かけて巻き戻すスローペースの下落で下げ渋りを示唆していた状態から、ようやく少し反発。下げ止まりが一時的に終わらず、短期的な流れも回復方向へと向かう為にはせめて9日移動平均線(6746)くらいは上抜けておきたいところ。6710円台に切り上げた下値サポートをあらためて割り込むようだと今年安値(6625)が再度意識され、6640円程度までが下値目安に。
週間ベースでは-58円、0.85%の反落。月間でも-92円、1.35%の反落。
プラチナ価格は+29円、0.75%高で5日ぶりの反発。前日の急落で1ヵ月半ぶりに割り込んだ21日移動平均線(3902)をわずかに上抜き返し、サポートラインとしての有効性も。トリプルトップのネックラインにも相当する重要水準3820円前後を目指した流れの巻き戻しにも貢献。ただし、3870円が当面の下値サポートとならない場合にはあらためて3820円前後を試しに行くことにも。上方向には9日移動平均線(3952)を超えることができれば再び強気相場の状態にも。
週間ベースでは-140円、3.46%安で4週ぶりの反落。10月末以来、3ヵ月ぶりの大幅安。月間では+200円、5.4%高で3ヵ月続伸。
※参考:金プラチナ国内価格1/29とチャート
- 2021年1月29日(金)時点の相場
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国内金 : 6,739 円 1/29(金) ▲20(0.30%) 国内プラチナ : 3,903 円 1/29(金) ▲29(0.75%) NY金 : 1,841.2 ドル 1/28(木) ▼3.7(0.20%) NYプラチナ : 1,072.4 ドル 1/28(木) ▼6.6(0.61%) ドル円 : 104.26 円 1/28(木) ▲0.13(0.12%)
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