金プラチナ短期相場観
底が見えないユーロ圏製造業PMI、米欧に続き日欧も3年ぶり逆転
更新日:2018年10月25日(木)
マークイットなどが発表した製造業PMIの10月速報値では、フランスが2カ月続落となって2年ぶり低水準となる51.2。ドイツは3カ月続落で2年5カ月ぶり低水準となる52.3。ユーロ圏も3カ月続落となって2年2カ月ぶり低水準となる52.1。いずれも市場予想を下回る低調な結果となっています。
ドイツのPMI下振れでユーロは対ドルで急落し、ユーロ圏PMIも下振れて一段安となり、ユーロドルは8月の急落局面以来2カ月ぶり安値水準となる1.1380ドル近辺まで下落。二番底を形成する状態となってきました。
これに対して米国の製造業PMIは2カ月続伸で5カ月ぶり高水準となる55.9。日本は53.1で6カ月ぶり高水準。
年初まではユーロ圏製造業PMIは米国と日本の数値を大きく上回る高水準での推移が続いていましたが、米国は今年4月にユーロ圏を逆転、9月にはドイツも逆転していました。そして10月には日本までもがユーロ圏とドイツを逆転。ユーロ圏とドイツが日本を下回るのは2015年10月以来、3年ぶりの逆転。
最近のドル高ユーロ安を裏付ける状態であり、ようやく円高ユーロ安に見合う形にもなりました。
ユーロ圏製造業の生産指数は9月の52.7から51.2となり、3年10カ月ぶり低水準、ドイツの生産指数は9月の53.2から51.0へと低下し、3年11カ月ぶりの低水準。
ユーロ圏サービス業PMIも53.3で2年ぶり低水準、総合PMIも52.7で2年1カ月ぶり低水準と低迷。ユーロ圏経済は、輸出主導の景気減速がサービス部門にも波及しています。
期待指数も低迷し、製造業の楽観見通しは2012年12月以来ほぼ6年ぶり低水準となり、サービス業でもほぼ4年ぶり低水準へと低下。楽観見通し低下は雇用の減少をもたらすことにもなり、雇用の伸びは製造業で22カ月ぶり低水準、サービス業でも3カ月ぶり低水準に。その一方で価格上昇圧力は強く、7年ぶり高水準に迫る状況。
ドイツ連銀は今週、月例経済報告を公表し、第3四半期のドイツ経済は自動車生産の停滞で伸び悩んだが、第4四半期には景気が回復する、との見通しを示していました。
欧州委員会が前日に発表した消費者信頼感指数は9月の-2.9から10月速報値で-2.7へとわずかに持ち直しの兆候を示しましたが、PMIでは第4四半期スタート月にもいっこうに回復の兆しは見られず、むしろさらなる減速も警戒される状況となってきたようです。ECBの金融政策への影響も警戒され、ECB理事会後のドラギ総裁会見も注目されます。
ユーロドルは二番底をつけつつありますが、ユーロ圏製造業PMIの底はまだ見えません。
24日のNY金相場は-5.7ドル、0.46%の反落。時間外にはユーロ圏の10月PMI下振れでユーロ売りドル買いが進行したことで軟調となって一時1230ドル割れ。しかしNY市場にかけては株安の流れが止まらず、NYダウは2.4%の下落で3日続落となって年初来騰落率は-0.55%とマイナス圏入り、ナスダックは4.43%安となって2011年8月以来7年2カ月ぶりの大幅下落となり、8月末の今年高値からは1000ポイント超、12.35%の下落で調整局面入り。リスク回避の流れでNY金は1230ドル台半ばへと買い戻し、NY引け後には1230ドル台後半へとジリ高推移。1220ドル台では底堅さも見られるものの1240ドルが抵抗水準となって小幅保ち合いの様相に。株安継続でリスク回避などで1240ドルを上抜けできればあらためて1250ドル台までが目先の上値目安に、ユーロ安などでドル高の流れが強まるようだと上値も重くなり、1220ドルのサポートを割れると1200ドル近辺までが下値目安に。
NYプラチナ相場は-3.9ドル、0.47%の反落。金に追随する展開で時間外の下落局面では830ドル割れも一時的にとどまり、NY市場での反発局面では一時840ドル手前まで上昇。840ドルの抵抗水準に上値を押さえられ、820ドル台では底堅さも見られる状態での保ち合い推移が継続。流れとしては軟調地合いながら、株安基調などのリスク回避で金が堅調推移となりやすい面もあり、追随できれば上限突破で7月高値圏860ドル近辺まで上値を伸ばす展開にも。一方で下方向には820ドルを割り込むようだと800ドル割れを試すような展開にも。
ドル円は30銭強のドル安円高で続落。日経平均の反発やユーロ安ドル高の流れにも支えられて欧州時間までは堅調推移となって112円70銭台まで上昇。しかし、保ち合い上限付近では上値も重く、NY時間には米株一段安の流れに円高圧力も強まって保ち合い下限の112円00銭台へ。今朝の東京市場では日経平均の700円超の下落スタートにも連れて112円割れ。このまま112円台を回復できないようなら、円高の流れがもう一段進行する可能性が高まり、下値目安は9月序盤の水準110円台後半まで。切り返して113円台を試すような展開れとなれば114円台半ばへと今年高値更新トライへの流れとなる可能性も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/24終値とチャート
25日の国内金価格は-7円、0.15%の小幅反落。ゆるやかな上昇基調は続くもののRSIのピークが低下する逆行状態が示すとおりに反落の兆しも、今のところは下値も限定的。世界同時株安の流れにも円高がそれほど大きくは進行せず、NY金の堅調な状態とともに下支え。7月高値4830円台を上値目標とする上昇トレンドは継続中も、サポートラインを形成する9日移動平均線(4741)を割り込むようだといったん調整局面入りへ。
プラチナ価格は-19円、0.59%の反落。9-21日移動平均線(3217-8)に上値を押さえられる形となり、下値は90日移動平均線(3164)が下げ止まらず、支えきれない様子にも。小幅保ち合いが続くなかでも流れは軟調方向優勢の状態、3180円台を割り込むようだと90日線にもサポートされずに一段安となる可能性もあり、最大では3000円の大台付近が下値目安にも。逆に3220円超へと反発できれば流れは好転へと傾きやすく、最大で6月の急落前の保ち合い水準、3400円の大台を目指す流れへと発展する可能性も。
※参考:金プラチナ国内価格10/25とチャート
- 2018年10月25日(木)時点の相場
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国内金 : 4,758 円 10/25(木) ▼7(0.15%) 国内プラチナ : 3,194 円 10/25(木) ▼19(0.59%) NY金 : 1,231.1 ドル 10/24(水) ▼5.7(0.46%) NYプラチナ : 831.5 ドル 10/24(水) ▼3.9(0.47%) ドル円 : 112.09 円 10/24(水) ▼0.34(0.30%)
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