金プラチナ短期相場観

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米長期金利上昇で警戒感高まる金市場

更新日:2018年10月9日(火)

米長短金利差 2018年10月5日コロンブスデーの祝日で米債券市場が休場となった8日、あらためて先週までの米長期金利急騰と高止まりへの警戒感も、この日のNY金急落の背景として作用していた可能性もありそうです。

米国の長短金利がピーク水準に達し、短期金利が長期金利を上回るとリセッション入りのサインとされ、長短金利のピークアウトとともにリセンション入りへ、というパターンは実際に繰り返されてきました。
2013年以降、米10年債利回りと2年債利回りとの差は縮小傾向が続き、2013年10月頃には2.5%超となっていた長短金利差は、今年8月後半には一時0.2%割れまで縮小しました。
しかし、その後は縮小一服となり、足下では急拡大。10月5日時点で0.33%程度まで広がっています。

この状態が一時的なものであり再び長短金利差縮小へと向かうようなら、米株式市場での警戒感も高まり、市場のリスクオフムードも高まることにもなりそうです。
しかし、米10年債利回りの上昇は健全な米国経済とこの状態が当面続くであろうことを反映しているとの見方もあります。そうであれば長短金利差の逆転も、長短金利のピークアウトも、まだ当分先のことになる可能性もあります。

そのどちらかの見極めが難しい状態が続いたことが、NY金の保ち合い推移長期化の一因となっている可能性もありそうです。
そして、米10年債利回りの上昇が続き、長短金利差拡大が続くことになれば、金市場での下値警戒感も再び高まることになりそうです。

NY金・日足チャート 2018/9/4 - 10/88日のNY金相場は-17.0ドル、1.41%の大幅反落。8月13日(-20.1ドル、1.65%)以来、2カ月ぶりの大幅下落で9月27日(1187.4)以来の安値水準。週明け時間外にはドル高の流れを受けて1200ドル近辺へと水準を切り下げての軟調スタート。イタリアのサルビーニ副首相が「欧州にとって本当の敵はユンケル欧州委員長とEUの官僚らだ」と名指し、「予算に制限をかけ開かれた国境を推進している」と非難。この発言を受けてイタリア国債と欧州株が急落し、ユーロ売りドル買いの流れが強まり、NY朝には1190ドル割れへと急落。1190ドルの節目を割り込んだことで二番底、もしくは大底をつけに行く展開も警戒される状態に。ただしNY引け後には1190ドル台を回復して下げ渋る様子も見られ、このまま1190ドル台を維持できれば保ち合い継続へ。

NYプラチナ・日足チャート 2018/9/4 - 10/8NYプラチナ相場は先週末から-6.2ドル、0.75%安で9月27日(810.3)以来の安値水準。NY朝には金に連れて820ドル台半ばから810ドル台前半へと10ドル超の急落も節目の810ドル割れは回避。50日移動平均線(809.3)にもサポートされて底堅く推移、NY引け後には820ドル台半ばまで反発し、下方向へ行って来いの展開に。方向感はほぼ中立で引き続き810ドルから840ドルまでのレンジ内推移継続の様相に。

ドル円・日足チャート 2018/9/4 - 10/8ドル円は50銭超のドル安円高となって3日続落。東京市場休場で113円台後半での小動きとなった後、休み明けの中国市場で上海総合指数が3.7%の急落となり、人民元も対ドルで2カ月ぶりの人民元安となるなどして中国市場への警戒感も高まり、113円20銭台まで円高急進。欧州時間にはイタリア財政問題への警戒感再燃によるユーロ売りでリスク回避ムードが強まり、113円割れ。NY市場では株安の流れにも連れて一時112円80銭台まで下落。NY終盤には米株の下げ渋りとともに113円台回復も今朝の東京市場では上値が重く、再び113円割れを試す展開に。113円台半ばの節目を完全に割り込んだことで円高の流れがもう一段進行する可能性。下値目安は112円台半ばから、3月安値から10月高値までの23.6%戻し(112.21)辺りまで。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/8終値とチャート

9日の国内金価格は-66円、1.4%の大幅安となって3営業日続落。8月16日(-124円、2.71%)以来2カ月ぶりで、今年3番目の下落幅。中国リスクで円高、イタリアリスクでNY金の下落となって下げ幅拡大。リスク回避の円高ドル高地合いではやむなしの展開で90日移動平均線(4709)を割れたところから、9日移動平均線(4673)と21日移動平均線(4643)もまとめて下抜け。ただし3本の移動平均線はいずれも水平状態に近づきつつあり、9月末安値4620円割れも回避。この水準以上を維持できれば4620円から4730円までの広めのレンジ内で横ばい推移傾向の展開にも。4620円を割り込んだ場合には下値トライの展開となって4530円近辺までが下値目安にも。

プラチナ価格は-33円、1.02%安で3日続落。調整局面拡大で9日移動平均線(3217)割れも90日移動平均線(3192)割れは回避、3200円の大台ラインで下げ止まった状態に。反発基調の勢いは大きく後退も、90日線以上の水準を維持できれば、やがて90日線も下げ止まり、中期的な地合いも回復へ。割り込んでしまうと短期トレンドも横ばいから下方向にも。9月末安値圏3160円を割り込むようだと下落局面形成へと向かい、下値目安は3100円近辺へ。
※参考:金プラチナ国内価格10/9とチャート

2018年10月9日(火)時点の相場
国内金4,636 円 10/9(火) ▼66(1.40%)
国内プラチナ3,203 円 10/9(火) ▼33(1.02%)
NY金1,188.6 ドル 10/8(月) ▼17.0(1.41%)
NYプラチナ818.3 ドル 10/8(月) ▼6.2(0.75%)
ドル円113.16 円 10/8(月) ▼0.53(0.47%)

10/8(月)のその他主要マーケット指標

中小企業楽観指数はやや減速も依然過去最高水準付近 10/10(水)

米長期金利上昇で警戒感高まる金市場 10/9(火)

失業率は48年ぶり低水準でも賃金上昇率は加速せず 10/6(土)

米8月製造業受注は前月比+2.3%で11カ月ぶりの伸び率も 10/5(金)

貿易戦争懸念にも9月ISM非製造業景況指数は21年ぶり高水準 10/4(木)


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