金プラチナ短期相場観
2021年に高騰し続けたインフレ期待も年末には一服
更新日:2022年1月12日(水)
2021年に高騰し続けた一般消費者が予想するインフレ見通しは、年末になってようやく一服。
今週発表されたNY連銀消費者調査では、1年後のインフレ期待は12月に5.99%。7ヵ月連続過去最高となった11月の6.00%からはわずかに低下。年初1月の3.05%から急騰局面がスタートし、5月に4%台到達、8月には5%超へ、12月にほぼ横ばい推移となって落ち着きを取り戻した可能性も示唆。
3年後のインフレ期待も4.00%で11月の4.01%からわずかに低下。10月の4.21%まで3ヵ月連続の過去最高から2ヵ月連続で低下。5ヵ月連続で4%以上の高止まりながらも上昇一服。
年末に発表されたミシガン大の1年期待インフレも12月確報値では4.8%となり、13年4ヵ月ぶり高水準となった11月の4.9%からは小幅に低下。
高騰し続けたインフレ期待は年末になって少し落ち着いた様子ながら、高騰し過ぎたインフレ期待が示唆するとおりに、インフレが高騰し続けることを回避するためには、それなりの利上げを余儀なくされる可能性も高まります。
パウエルFRB議長は11日、上院銀行委員会での指名承認公聴会では「利上げが必要になればそうする」とだけ、必要最小限の質疑応答にとどめた様子ですが、市場の思惑としては2022年に「必要な利上げ回数は4回」と先走り。
パウエル発言に先行して今週、ゴールドマン・サックスも今年4回の利上げを実施する可能性が高い、との見方を示し、遅くとも7月にはバランスシート縮小(QT)開始を予想。JPモルガン・チェースのダイモンCEOも今年4回以上の利上げに迫られる可能性も、との発言。
前日のアトランタ連銀ボスティック総裁に続き、この日はクリーブランド連銀メスター総裁も3月の利上げ開始支持を表明。CMEフェドウォッチでも3月利上げの可能性は前日の68.9%からこの日は72.7%へと一段と上昇。3、6、9、12月の計4回の利上げがメインシナリオ、という状態で2021年末時点のCPI確認待ちへ。
11日のNY金相場は+19.7ドル、1.10%の大幅高となって3日続伸。1800ドルの大台ラインがほぼ下限となり、ゆるやかに上昇する200日移動平均線(1800.2)を4日ぶりに上抜けた時間外は堅調推移。ロンドン市場で1810ドルまで上昇し、NY朝には小幅調整、上院銀行委員会での指名承認公聴会でパウエルFRB議長は「インフレ抑制と景気拡大持続」に務めることを明言したものの、初回利上げ時期についての言及を避けるなど、事前予想ほどタカ派的ではなかったことでドル安・株高の流れとともに金も買われる展開に。NY午後にかけて1810ドル台後半へと急騰、NY引け後には1820ドル超へと一段高。1800ドルが保ち合い上限となる可能性から、下限に切り替わる可能性も残してCPIの結果待ちへ。上方向へは1830ドルが当面の抵抗水準、これを突破することになった場合には11月高値圏、1860ドル台辺りまでを目標に上値トライへ。下方向には1800ドルを割れると1780ドル台が下値サポート、これを割り込むようだと10月安値圏、1740ドル台辺りまでが意識される展開にも。
NYプラチナは+39.6ドル、4.24%の大幅高となって4日ぶりの反発。1月5日(1001.9)以来、1週間ぶりの高値。前日安値919.5ドルで950ドルの節目割れに伴う短期下値目安920ドル前後に到達し、達成感からの反発基調がNY午後から続き、この日も持続。時間外には930ドル台から950ドルにワンタッチ、ロンドン・NY朝にかけての調整をはさんでNY午後にはパウエル発言を受けてのNY金の急上昇に追随。940ドル近辺から970ドル台まで、30ドル超の急騰後も960ドル台を維持。12月後半の保ち合い水準を回復し、930ドルから1000ドル近辺までの今年の主要レンジ半ばにも位置。比較的居心地の良い水準で目先は保ち合いから方向感を探る展開にも。
ドル円は9銭のドル高円安、0.08%の小幅高で5日ぶりの反発。東京時間は115円20銭台を中心に小幅保ち合い推移、欧州時間からNY午前にかけてはパウエルFRB議長の指名承認公聴会でのタカ派発言を期待してドル高の流れ。115円10銭台から115円60銭台まで、50銭余り水準を切り上げた後、パウエル発言への期待はずれ感から急失速。NY午後には115円20銭台まで、ほぼ全戻しとなって上へ行って来い。5日連続で上値を切り下げ、上ヒゲも残しての軟調な流れのなか、ようやくわずかながらも下値を切り上げて下げ止まりへの可能性も示唆。115円ラインが目先の下値サポート候補となり、115円台半ばが上限候補にも。CPIが予想以上に上振れなら116円再トライの展開にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場1/11終値とチャート
12日の国内金価格は+79円、1.08%の続伸。今年高値となっている1月5日(7388)以来、1週間ぶりの高値。NY金の大幅上昇とドル円の下げ渋りにも支えられての堅調推移で強気相場状態を維持。引き続きタカ派傾斜への警戒感からの急反落リスクを抱えながらも、それをある程度織り込んでいるからこそ、意外とそうでもない結果や言動には大きく上振れの反応にも。目先、今年高値更新となれば7430円程度までが次の上値目安に、当面の下値サポートは7280円から9日移動平均線(7279)、割れると7220円程度までが下押し目安に。
プラチナ価格は+83円、2.16%高で3日ぶりの反発。年初から2度めの90日移動平均線(3916)上抜け。ほぼ水平状態の90日線との攻防状態で保ち合いの様相ながら、短期的には上昇軌道の21日移動平均線(3795)、9日移動平均線(3863)にもサポートされてモメンタムは上向き。1月6日の今年高値3968円更新へと向かえば4000円の大台回復へ、4010円程度までが短期上値目標にも。逆に3840円の下値サポートを割れると3800円割れへ、3780円程度までが下値目安に。
※参考:金プラチナ国内価格1/12とチャート
- 2022年1月12日(水)時点の相場
-
国内金 : 7,370 円 1/12(水) ▲79(1.08%) 国内プラチナ : 3,924 円 1/12(水) ▲83(2.16%) NY金 : 1,818.5 ドル 1/11(火) ▲19.7(1.10%) NYプラチナ : 973.2 ドル 1/11(火) ▲39.6(4.24%) ドル円 : 115.29 円 1/11(火) ▲0.09(0.08%)
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