金プラチナ短期相場観
PCEも40年ぶり高インフレ、上昇止まらずも想定の範囲内
更新日:2022年4月1日(金)
3週間前に発表された米2月消費者物価指数(CPI)は前年比+7.87%となり、1982年1月(8.39%)以来、40年1ヵ月ぶりの高水準となっていました。
米商務省がこの日発表した2月の個人消費支出物価指数(PCEデフレーター)は前年比+6.35%。ほぼ市場予想どおりながらも15ヵ月連続で上昇し、これも1982年1月(6.93)以来の高水準。CPIに続いてPCEも40年ぶりの高インフレとなってきました。
食品とエネルギー関連を除くコアPCEは前年比+5.40%。市場予想の+5.5%程度をわずかに下回りながらも、6ヵ月続伸で1983年4月(5.46)以来、38年10ヵ月ぶりの高水準。
サービス価格が前年比+4.6%で1月からは横ばい推移となったのに対し、商品価格が前年比+8.8%から+9.6%へと一段高。
エネルギー関連は昨年秋の前年比+30%前後からは低下したものの、1月に続いて+25%台で高止まり。食品価格も+6.7%から+8.0%へと一段高、耐久財が前年比+11%台で高止まり、耐久財以外も+7.2%から+8.6%へと一段高。
PCE構成品目の上下一定部分をカットして算出する、ダラス連銀発表のトリム平均PCEは前年比+3.63%となり、13ヵ月連続上昇で1991年2月(3.72)以来、31年ぶりの高水準。
PCE価格変動分布の中央部分のみで算出する、クリーブランド連銀発表のメディアンPCEは前年比+4.18%。こちらも9ヵ月続伸で1991年1月(4.19)以来、31年1ヵ月ぶりの高水準。
どこを切っても歴史的高インフレは続き、加速状態も続いています。
31日のNY金相場は+15.0ドル、0.77%の続伸で3月25日(1954.2)以来、1週間ぶりの高値。アジア時間には1930ドル台から1920ドル台へと反落も、これが押し目となって反発基調再開。ウクライナ情勢に事態改善は見られず、ロシアからの欧州向け天然ガス供給継続条件としてプーチン大統領がルーブルでの支払いを要求したことなどもリスク材料に。NY朝には米PCEインフレ加速継続が確認されて株安・金買いの流れも加速、1940ドル台を回復するとNY午後には一時1950ドル台半ばまで上昇。しかし20日移動平均線(1955.4)に上値を押さえられる形となって失速、NY引け後には1940ドル付近まで反落。雇用統計後に20日線を突破できれば1960ドル台の節目との攻防へ、これも上抜けることができれば3月半ばと月末に2度試した1900ドル割れで構成するタブルボトム完成で上値トライ再開へ。2000ドルの大台再トライが当面の上値目標に。下値サポートは1910ドル台、割れるようだとダブルボトム崩れを試しに行く展開にも。
月間ベースでは+53.3ドル、2.8%の続伸。
NYプラチナは-5.4ドル、0.54%の反落。前日NY市場で90日移動平均線(1005.0)を上抜けて一時1010ドル手前まで上昇したところで反発の勢いが失速、この日は時間外の高値でも90日線にも届かず、1000ドルの大台ラインが上限となって軟調気味の保ち合い状態に。NY市場でつけた安値も980ドル台前半までと限定的、この日の変動値幅は18.5ドル。今年の平均値幅35.3ドルの半分程、今年5番めの小動きに。1000ドルの大台ラインから90日線までが目先の抵抗水準となり、これを上抜けて200日移動平均線(1018.5)も突破できれば1030ドル近辺までが短期上値目標。下値サポート980ドル近辺を割れるようだと12月安値から3月高値の76.4%戻し(959.4)再トライへ。
月間ベースでは-42.9ドル、4.13%安となって4ヵ月ぶりの反落。
ドル円は13銭のドル安円高、0.11%安で3日続落。大幅続落からの自律反発で東京朝には121円90銭台から122円40銭台まで上昇。しかしピークアウトした5日移動平均線(122.48)との攻防に敗れると、東京午後には121円30銭台まで急反落。欧州序盤にかけて122円20銭台まで反発する場面もあったものの上値は重く、リスク回避優勢の株安・円高基調に押される形でNY市場では121円20銭台まで下落。ただし下値も堅く、前日安値近辺で下げ渋るとNY終盤にかけては121円70銭近辺まで反発。今朝の東京市場では再び122円20銭台回復トライへ。目先は9日線を超えられなければ短期下落トレンド継続で1月安値から3月高値までの38.2%戻し(120.66)辺りまでを試しに行く可能性。9日線超えなら上昇トレンド回帰も視野に高値保ち合い状態へ、124円の節目突破なら上昇トレンド再開、まずは125円台半ばまでが短期目標に。
月間ベースでは+6.73円、5.85%の反発。トランプ米大統領選誕生の2016年11月(+9.64円、9.2%)以来、5年4ヵ月ぶりの急騰。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/31終値とチャート
1日の国内金価格は+4円、0.05%の小幅続伸。上昇幅は9日移動平均線(8280)の上昇ペースに追いつかず、その差は急接近。強気相場崩れも警戒される状態で上値トライ再開か、調整局面拡大かは雇用統計後の動向に委ねる形に。9日線を割り込んで8250円の下値サポートも割れると16日(7988)から最高値(8397)までの半値戻し(8193)近辺までが浅めの下値目安。第二目標としては21日移動平均線(8149)から61.8%戻し(8144)近辺も。上方向へは8400円超へと最高値更新なら短期上値目標は8440円台。
週間ベースでは-104円、1.24%の反落。11月末以来4ヵ月ぶりの大幅安。
プラチナ価格は-48円、1.13%の反落で3月16日(4099)以来、半月ぶりの安値。4290円台の節目割れに伴う短期下値目安4200円近辺に到達してもなお下押し圧力は衰えず、雇用統計前にオーバーランとなって一段安の目安4150円近辺に向けての流れが進行。その辺りまでで下げ止まらない場合には、年末以降下値を切り上げてきた中期上昇トレンドにも黄色信号。
週間ベースでは-167円、3.84%の反落。11月末以来、4ヵ月ぶりの急落。
※参考:金プラチナ国内価格4/1とチャート
- 2022年4月1日(金)時点の相場
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国内金 : 8,293 円 4/1(金) ▲4(0.05%) 国内プラチナ : 4,184 円 4/1(金) ▼48(1.13%) NY金 : 1,954.0 ドル 3/31(木) ▲15.0(0.77%) NYプラチナ : 995.8 ドル 3/31(木) ▼5.4(0.54%) ドル円 : 121.69 円 3/31(木) ▼0.13(0.11%)
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