金プラチナ短期相場観

金プラチナ短期相場観

賃金上昇率鈍化で0.5%利上げ観測後退、判断はCPIへ先送り

更新日:2023年3月11日(土)

米雇用統計・賃金上昇率(平均時給)前年比 2023年2月米2月雇用統計では、賃金上昇率鈍化がやや過剰に意識された感もあり、米長期金利が急低下となってドル安、株安とともに金が急速に買われる展開に。
特に注目されたのは平均時給の前月比上昇率の鈍化。
市場予想の前月比+0.3%に対して結果は前月比+0.24%。1月の前月比+0.27%からも小幅に鈍化、11月の前月比+0.43%からは3ヵ月連続の低下で昨年2月(+0.00%)以来、1年ぶりの低水準。
前月比の長期平均+0.25%も下回り、鈍化傾向が目立つ流れに。

ただし、月々の振れ幅も大きい前月比上昇率に対し、前年比での上昇率は依然高止まり。
前年比では+4.62%となり、市場予想の+4.7%程度こそ下回ったものの、1年半ぶり低水準となった1月の+4.36%からは上昇。
前年比での長期平均+2.97%からも大幅に上方乖離。

その他、労働情勢ひっ迫を示す指標としては、
労働参加率が62.5%となり、2020年3月(62.6)以来ほぼ3年ぶり、コロナ後の最高水準に。
長期失業者の割合は17.6%。2020年8月(11.5)以来、2年半ぶりの低水準。コロナショックで短期失業者が急増した期間(2020/3-8)を除くと2008年3月(16.9)以来、実質14年11ヵ月ぶり、ほぼ15年ぶりの低水準。
また、人口に対する雇用率も60.2%となり、1月からは横ばい推移ながら2020年2月(61.1)以来、2年11ヵ月ぶりの高水準。コロナ後最高水準での推移。

今週半ば、70%以上へと上昇していた3月FOMCでの0.5%利上げの確率は、週末に40%割れへと急低下。
しかし、次週14日の2月CPIの結果次第でこの数字も大きく変化する可能性も。パウエルFRB議長の見通しが目まぐるしく変化するのもやむなしの状況では、市場のボラティリティ拡大も避けられない状況も続きます。

NY金・日足チャート 2023/2/3 - 3/1010日のNY金は+32.6ドル、1.78%の大幅続伸で2月10日(1874.5)以来、1ヵ月ぶりの高値。1830ドル台での小幅保ち合い推移から、NY市場では雇用統計の結果を受けて1830ドルの安値をつけて切り返し、1860ドル台へと急騰。反応一服後もインフレ鈍化への思惑と利上げ幅拡大観測後退に伴う米長期金利低下にもサポートされて高止まり、NY引け後には1870ドル台半ばまで上昇。20日移動平均線(1843.8)を上抜けて1860ドルの節目も突破、ダブルボトムも完成しての一段高となり、これに伴う短期上値目標1890ドル台に向けた流れが進行。上昇値幅としては今年の絶対値平均10.9ドルの3倍で今年最大。CPI下振れを受けて急騰した昨年12月13日(33.2ドル、1.85%)以来、3ヵ月ぶりの急騰。次週14日の米2月CPIまでに目標水準に到達できなければ、その結果次第という展開に。
週間ベースでは+12.6ドル、0.68%の続伸。

NYプラチナ・日足チャート 2023/2/3 - 3/10NYプラチナは+12.9ドル、1.36%高で3日続伸。ただし3日合計上昇値幅でも7日の急落分を埋め切れず。4日連続930ドル台前半で下げ渋り、NY市場では雇用統計後のドル安金高の流れに追随する形で急騰。930ドル台から950ドル台へと水準を切り上げ、NY午後には一時970ドル台半ばまで上昇。失速後も960ドル近辺では下げ渋り、20日移動平均線(947.2)や200日移動平均線(948.3)をしっかり上抜け、抵抗水準となる可能性もあった2月半ばから後半にかけての上限960ドル台がサポートに切り替わる可能性も。そうなれば次週、米インフレ指標結果次第で980ドルの節目との攻防へも、これを上抜けると1000ドルの大台回復も見込まれ、1010ドル程度までが短期上値目標に。そうならない場合には930ドルが当面の下値サポート、割り込むようだと900ドルの大台近辺へ。
週間ベースでは-17.2ドル、1.76%の反落。

ドル円・日足チャート 2023/2/6 - 3/10ドル円は105銭のドル安円高、0.77%の続落で2月23日(134.70)以来、2週間ぶりの安値。短期ピークアウト後の調整局面が進行。東京朝に135円80銭台まで下げた後、黒田日銀最後の金融政策会合での現状維持発表を受けて安心から急騰すると136円90銭台まで1円上昇。137円ラインが上限となり、136円台後半を中心に保ち合い推移を経て、NY市場では雇用統計の結果を受けて急落。初期反応では136円近辺まで60銭程度の下落でいったんは下げ渋り。しかし大幅利上げ観測後退と長期金利低下に連れて一段安、135円80銭の節目を割れるとNY午後にかけて135円割れ、下落基調の90日移動平均線(134.70)も下抜けて安値では一時134円10銭近辺まで下落。節目割れに伴う短期下値目安134円半ばに到達したことから、自律反発で135円を回復。再度134円半ばまでの下値余地を残して次週CPIの結果待ちへ。
週間ベースでは-77銭、0.57%の続落。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/10終値とチャート

2023年3月11日(土)時点の相場
国内金8,758 円 3/10(金) ▲32(0.37%)
国内プラチナ4,483 円 3/10(金) ▲2(0.04%)
NY金1,867.2 ドル 3/10(金) ▲32.6(1.78%)
NYプラチナ962.2 ドル 3/10(金) ▲12.9(1.36%)
ドル円135.07 円 3/10(金) ▼1.05(0.77%)

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