金プラチナ短期相場観

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米2月PPIは想定以上に鈍化、FF金利3月据え置き予想も急拡大

更新日:2023年3月16日(木)

生産者物価指数PPI 2023年2月米国の中堅銀行2行の破綻に続き、欧州でもスイスの大手クレディ・スイスの経営不安が高まり、米欧金融危機不安によるリスク回避の流れが強まる状況となるなか、この日発表された米経済指標も軒並み低調。
前日の2月CPIがほぼ市場予想どおりの結果となったのに対し、この日のPPIは予想外の下振れ。

2月生産者物価指数、PPIは前年比+4.58%。市場予想の+5.4%を大きく下回り、2021年3月(4.15)以来、1年11ヵ月ぶりの低水準。過去最高となった2022年3月(11.66)からは急低下局面が続き、7月以降は8ヵ月連続の低下。
食品とエネルギーを除いたコアPPIは前年比+4.40%。これも市場予想の+5.2%を大きく下回り、2021年3月(3.04)以来、1年11ヵ月ぶりの低水準。過去最高となった2022年3月(9.71)以降は11ヵ月連続の低下。
食品とエネルギー、貿易サービスを除いたコアPPI2は前年比+4.42%。10ヵ月続落の1月からは変わらず、2021年3月(3.14)以来1年10ヵ月ぶり低水準での横ばい推移。
PPIとCPIとの差(PPI-CPI)は-1.46%となり、2ヵ月連続のマイナス、2020年8月(-1.56)以来、2年半ぶりのマイナス幅。
上流工程での原料価格などのインフレ高騰が収まり、下流工程でのサービス価格などのインフレ高止まりを象徴する状況に。

また、過去平均(と2月との乖離幅)は、PPI:+2.69(1.89)、コアPPI:+2.59(1.81)、コアPPI2:+2.56(1.86)。
過去平均まではもう少し。PPIからコアPPIなどが同水準に収束し、過去の推移からは、今後PPIがコアPPIを下抜け、そう遠くない時期に底打ちへと向かう状況を示唆。
この日、3月FOMCでのFF金利予想では、一時据え置き予想が0.25%利上げを上回る場面も。

NY金・日足チャート 2023/2/8 - 3/1515日のNY金は+20.4ドル、1.07%の反発で2月1日(1942.8)以来、1ヵ月半ぶりの高値。前日の調整を受け継ぐ形でロンドン序盤に1900ドルの大台を割れると一時1890ドル割れへと一段安。しかし、スイス金融大手クレディ・スイスの経営不安が欧米株急落を誘発、米欧での金融危機不安を助長する形となってリスク回避の流れとなり、安全資産の債券買いで米10年債利回りが3.7%付近から3.5%割れへと急低下。これに連動する形でNY市場にかけて1930ドル台へと急反発、NY午後には一時1940ドル超え。直近高値で当面の抵抗水準にもなり得た1920ドルの節目をあっさり上抜け、これに伴う短期上値目標、2月高安の76.4%戻し(1936.4)も達成。NY引け後の反落局面では1920ドル近辺がサポートに切り替わる形となって下げ渋り。目先は1940ドル前後までの高値再トライの可能性も残しながら、下方向には1910ドルの節目を割れると1880ドル程度までの調整も。

NYプラチナ・日足チャート 2023/2/8 - 3/15NYプラチナは-27.0ドル、2.71%の続落。時間外序盤には990ドル近辺からの反発も、前日ロンドン市場以降のレジスタンス、1000ドルの大台ラインで上値を押さえられて失速。ロンドン市場では990ドル割れ、NY朝にかけては980ドルを割り込んで一段安、安値では一時950ドル付近まで下落。NY午後にかけての自律反発でなんとか960ドル台を回復。目先、1000ドルから1010ドルがやや強めの抵抗水準となり、下値は20日移動平均線(953.3)、200日線(949.1)にサポートされた状態。この下には930ドルが比較的重要なサポート、これを割れるようだと今年安値圏900ドル割れをかけた攻防へ。

ドル円・日足チャート 2023/2/9 - 3/15ドル円は78銭のドル安円高、0.58%の反落。東京朝には134円60銭近辺から134円付近まで下押し後に135円10銭台まで反発。欧州時間にはクレディ・スイスの経営不安から株価急落、欧米株も急落となってリスク回避の流れが急速に進行。ユーロドルの急落に追随する形でドル円ではドル安円高急進、NY朝には米2月PPIの下振れなどもあり、132円20銭台まで3円弱の急落。週初の安値をわずかに更新し、2月14日安値(131.45)以来1ヵ月ぶりのドル安円高水準で下げ渋るとNY午後には一時133円70銭台まで反発。金融危機不安がくすぶる状況となり、今朝の東京市場でも一時132円半ばまで下値を試し、133円近辺での推移。133円近辺から90日移動平均線(134.28)も推移する134円台前半までが目先の主要レンジとなり、下限を維持できなくなれば132円近辺までの下値再トライへ、上限突破できれば135円台半ば辺りまでの反発も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/15終値とチャート

16日の国内金価格は-22円、0.24%安となって5日ぶりの反落。過去最高値更新は3日連続でようやくストップ。200日移動平均(8554)からの上方乖離率が4ヵ月ぶりに5%超となったところでの一服状態にも。金融危機不安によるリスク回避の流れが一時的に強まるような展開は今しばらく生じやすく、乱高下状態に巻き込まれやすい状況にも。高値再更新となれば9000円の大台超え濃厚となり、9030円程度までが短期上値目標に。調整目安は引き続き2月安値から3月高値の38.2%戻し(8837)近辺も。

プラチナ価格は-130円、2.83%の大幅続落で2月28日(4447)以来、半月ぶりの安値。下げ幅としては今年の絶対値平均48円の2.7倍、今年2番めの急落で4470円の節目も下抜け。21日移動平均線(4459)にサポートされた状態ながら、これも下抜けると短期的には4400円近辺までを目安に一段安の展開へ。
金との価格差は4494円へと急拡大、昨年4月25日(4570)以来、11ヵ月ぶりの水準。
※参考:金プラチナ国内価格3/16とチャート

2023年3月16日(木)時点の相場
国内金8,958 円 3/16(木) ▼22(0.24%)
国内プラチナ4,464 円 3/16(木) ▼130(2.83%)
NY金1,931.3 ドル 3/15(水) ▲20.4(1.07%)
NYプラチナ970.3 ドル 3/15(水) ▼27.0(2.71%)
ドル円133.46 円 3/15(水) ▼0.78(0.58%)

3/15(水)のその他主要マーケット指標

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米2月PPIは想定以上に鈍化、FF金利3月据え置き予想も急拡大 3/16(木)

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