金プラチナ短期相場観
密かにくすぶる新興国リスク
更新日:2014年6月26日(木)
比較的、逆相関関係が強いNY金相場とドル円の関係は、最近、すっかりとその関係性を弱めています。90日間の相関係数の推移を見ると、5月後半以降は、ほぼ無関係という状態となっています。米ドルと日本円との売り買いのバランスがとれてしまった状態が続くのに対し、この6月はドルを売って金を買う流れが続いているからです。
同じように、最近1ヶ月間での対ドルでの騰落状況を見ると、ユーロドルは-0.1%とドル円と同じようなレベル。しかし豪ドルは1.8%上昇し、金と同じように対ドルで買われる傾向が強まっています。
昨年夏頃、及び今年1月に通貨安が進行し、新興国リスクとなり、フラジャイル・ファイブと言われた新興国のこの1ヶ月間の対ドルレートを見ると、
W杯開催中のブラジルでは0.5%のレアル高。
モディノミクスと新政権への期待が高まるインドは2.2%のルピー安。
鉱山ストがようやく決着した南アフリカの通貨は2.2%の南アランド安。
24日に当面のインフレ懸念低下見込みから政策金利を9.50%から8.75%へと引き下げたトルコの通貨は2.3%のトルコリラ安。
原油価格上昇に伴う経常赤字懸念が高まるインドネシアは4.5%ものルピア安で4ヶ月ぶりの安値水準に。
年初の自国通貨安の流れから脱し、持ち直していたはずの新興国通貨は、ブラジルを除き、ここ最近再び売り圧力が強まっているようです。
いずれも新政権のスタート、もしくはこれから選挙を迎える重要な時期。
地政学リスクなども影響し、ドル買い新興国通貨売りの流れが加速し、自国通貨安が進行するリスクがくすぶっているようです。
25日のNY市場、金相場はわずかに0.1%上昇し、6日続伸。これで6月9日から6日続伸、反落をはさんで再び6日続伸。しかも19日には3%超の大幅上昇、その翌日以降も小幅ながら4日続伸と一方的に買われ過ぎの展開が継続。昨日は1,310ドル台へと反落となっていたにもかかわらず、米1-3月期GDP確定値が予想以上に悪化したことを受けて再び1,320ドル台へと急反発。やむを得ず上昇した感もあり、材料がなければ反落必至の状況。サポート水準は1,300ドル、その次に1,240ドル。上値余地は1,350ドル近辺まで。
プラチナ相場は0.09%の小幅続伸。南アのプラチナ鉱山スト終結となったこの6月は上下に大きく振られる展開に。終結宣言の翌日もまだ落ち着かず、1,450ドル台まで下げての反発。それでもサプライズ的な終結宣言とはならず、小出しに終結見込み観測が聞かれたことにより、最終決着後の急落という展開は回避。現状は、中期的にゆるやかな上昇トレンドのなか、短期的にも上昇トレンド。しかし1,480ドルの抵抗線に上値を押さえられる状況、1,450ドル台のサポートライン割れの場合には1,400ドル前後までの下落リスクも。
ドル円は0.1%の小反落。さらに値幅を縮小し、101円90銭前後での推移が続いていたところで米5月の耐久財受注が予想を下回り、四半期GDP確定値が大幅下振れ、101円60銭まで急落。なんとか80銭台へと戻したものの、ややドル安方向への圧力が強まる傾向も。上下の節目、90日移動平均線はほぼ水平状態で102円22銭、200日移動平均線はゆるやかな上昇軌道で101円66銭。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/25終値とチャート
国内金価格は0.11%の反落。目標水準4,610円近辺到達後もこの水準を維持する状態が1週間継続。いったん反落の可能性は高いものの、NY市場で若干の上昇余地を残していることから、いずれ、もう一段の上昇の可能性も。
プラチナは0.06%の小反落。しかし短期的な流れは上向き方向、5,130円のレジスタンスラインとの攻防への可能性も。しかし5,070円と浅めのサポートラインも気になる水準。今年最高値圏へのトライか、5,000円近辺を目指して反落へと向かうか、微妙なポジション。
※参考:金プラチナ国内価格6/26とチャート
- 2014年6月26日(木)時点の相場
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国内金 : 4,611 円 6/26(木) ▼5(0.11%) 国内プラチナ : 5,112 円 6/26(木) ▼3(0.06%) NY金 : 1,322.6 ドル 6/25(水) ▲1.3(0.10%) NYプラチナ : 1,473.2 ドル 6/25(水) ▲1.3(0.09%) ドル円 : 101.86 円 6/25(水) ▼0.10(0.10%)
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