金プラチナ短期相場観
世界経済の不透明感に配慮したゼロ金利維持で不透明感も維持
更新日:2015年9月18日(金)
世界経済と金融市場を巡る不透明感への配慮と米国内のインフレ動向重視を主な理由として利上げ見送りを決定した9月のFOMC。
FOMC参加メンバによる経済見通しでは、2015年のGDPが6月時点の1.9%から2.1%へと引き上げられ、失業率が下方修正(改善方向)された以外はほとんどマイナス方向へと見通しは後退しました。(数値は全て予想中央値、括弧内は6月時点の予想)
GDP 2016年:2.3%(←2.5)2017年:2.2%(←2.3)長期:2.0%(←2.0)
失業率 2015年:5.0%(←5.3)2016年:4.8%(←5.1)2017年:4.8%(←5.0)長期:4.9%(←5.0)
PCEインフレ率 2015年:0.4%(←0.7)2016年:1.7%(←1.8)2017年:1.9%(←2.0)長期:2.0%(←2.0)
コアPCE 2015年:1.4%(←1.3)2016年:1.7%(←1.8)2017年:1.9%(←2.0)2018年:2.0%
インフレ目標2%への到達時期は1年先送り。
FF金利予想も全般に下方シフトされ、2016年まではマイナス金利予想も1名、長期見通しの中央値はこれまでずっと3.75%となっていたのに対し、今回始めて3.5%に低下。
市場予想での利上げ開始予想が6月から9月、そして12月へとずれ込み、一部では来年以降という見方も出始めたのに追随するように、FOMCメンバの予想も毎回後ずれ、下方シフトが続きます。CMEのフェドウォッチでは、12月でも利上げ見送り予想が54.7%と半分以上を占めます。(0.5%への利上げは39.7%、0.75%への利上げが5.6%)
CMEフェドウォッチの予想にエコノミスト予想が追随し、それにFOMCが追随するような形となっています。
現時点でのCMEフェドウォッチでは来年1月でも現状維持が45.5%と半分近くを占め、3月にようやく33.2%へと低下見込みとなっています。
インフレ率見通し2016年に1.7%という数値も、これまでの流れからするとかなり厳しめの予想にも見えます。鍵を握るのは原油価格動向かもしれません。
世界経済の不透明感についても、ゆるやかに解消傾向へと向かうことも十分に想定できそうですが、中国経済の減速傾向はかなりの高確率で継続し、新興国の通貨安などによる不安増大も、いったんは収まったとしても、FOMCが近づく度に懸念再開となる可能性は残ります。
FRBが世界経済への不透明感に配慮して利上げ先送りを決めたことで、利上げ時期を巡る不透明感払拭も先送りされたことになりました。
17日のNY金相場は終値時点で0.18%の小幅反落。引け後のFOMC結果で利上げ見送りが決定したことを受けて1130ドル台へと急騰。株価が急騰後に急反落の流れとなったのに対し、NY金は1130ドル台を維持。不透明感継続という株価にとってのマイナス材料を金はスルー。短期上値目標1130ドル台前半に到達したことにより、目先は現状水準から1110ドル辺りまでの間でレンジ形成へ。
NYプラチナ相場は0.75%の反落。今朝時点では980ドル近辺へと小幅上昇の水準。FOMCへの反応としては、金に連れて990ドル手前まで急騰後、株価急反落にやや連れるように下押し。NY市場通過後に970ドル台後半以上を維持できれば反発基調継続の可能性が高まり、当面の目標水準は1000ドルちょうど付近。維持できない場合は970ドル台後半が当面の上値抵抗水準に。下値は950ドル台の堅めのサポートラインに当面支えられそうな状況。
ドル円は0.46%の反落。FOMC前には堅調推移で121円付近まで上昇後、結果を受けて119円80銭付近まで急落。その後は120円台前半へと持ち直す底堅さも。12月利上げの可能性は相当程度残されるものの、今後のFF金利見通し全般が下方シフトされたことは長期ドル高円安見通しへのマイナス材料。短期的には120円台前半での小幅揉み合い状態からわずかに下抜けた状態となり、119円ちょうど付近までの下押しが見込まれる状況。120円台後半へと反発できれば122円近辺を目指す流れ再開へ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/17終値とチャート
18日の国内金価格は0.3%の小幅続伸。予想通りの展開で底値からの反発基調継続。流れは上方向へと転換しつつあり、ゆっくりと上値目標4720円付近を目指す展開へ。1ドル=119円を割り込んでさらに円高が進むような流れとなった場合には再び下方リスクが高まることも。
週間ベースでは+37円(0.8%)、4週間ぶりの小幅反発。
プラチナ価格は0.22%の小幅反落。予想通りの利上げ見送りに予想外の小動きの展開。NYプラチナの反発が限定的となり、為替はやや円高リスクが高まる傾向にあり、今年安値圏からの反発基調も減速気味に。3980円台から4110円までのレンジで方向感模索、もしくは居場所を見つける展開へ。
週間ベースでは-61円(1.49%)となり、4週続落。
※参考:金プラチナ国内価格9/18とチャート
- 2015年9月18日(金)時点の相場
-
国内金 : 4,665 円 9/18(金) ▲14(0.30%) 国内プラチナ : 4,046 円 9/18(金) ▼9(0.22%) NY金 : 1,117.0 ドル 9/17(木) ▼2.0(0.18%) NYプラチナ : 968.4 ドル 9/17(木) ▼7.3(0.75%) ドル円 : 120.00 円 9/17(木) ▼0.56(0.46%)
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