金プラチナ短期相場観
フィラデルフィア連銀製造業景況指数は急反発でドル一段高
更新日:2023年5月19日(金)
フィラデルフィア連銀製造業景況指数は9ヵ月連続のマイナス圏推移ながら、5月は予想外の急反発となってドル一段高のきっかけに。と同時にNY金は一段安。
5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数は市場予想の-20.0を大幅に上回る-10.4。4月の-31.3からは+20.9ポイントの大幅上昇。上昇幅としてはコロナショック直後の2020年6月(前月比+71.0)以来、ほぼ3年ぶり、コロナ後最大の急上昇。
構成指数では、新規受注が4月の-22.7から5月は-8.9へ、+13.8ポイントの急反発で9ヵ月ぶり高水準、急回復を象徴。ただし12ヵ月連続のマイナス圏推移。販売価格は-7.0となって3年1ヵ月ぶり低水準、インフレ鈍化継続を示唆。
一方で不安を示唆する指標としては、雇用が-8.6。4月の-0.2からは大幅低下で3月の-10.3に次ぎ、コロナ後の3年間では2番めの低水準。
期待指数は-10.3で4月の-1.5から急低下。3ヵ月連続のマイナス圏推移で昨年10月(-13.2)以来、7ヵ月ぶりの低水準。2008年3月以降の15年3ヵ月では、2番めの低水準。
急回復の兆しのように見えて、見通しはかなり低調。先行き不透明感はまだまだ強そうです。
これに同調するかのように、FRB関係者のタカ派発言も。
ダラス連銀ローガン総裁は「6月FOMCでの利上げ停止の論拠はまだ明確になっていない」、セントルイス連銀ブラード総裁は「インフレに対する保険政策として利上げを継続を支持」、ジェファーソンFRB理事は「金融政策の効果を実感するのに1年では不十分」など、利上げ終了と早期利下げを否定する発言も相次ぎ、6月FOMCでの追加利上げ観測も台頭。
FF金利見通しにおいても、先行き不透明感は再び強まり始めそうです。
18日のNY金は-25.1ドル、1.26%の大幅安で3日続落。3月27日(1953.8)以来、1ヵ月半ぶり安値圏での一段安。1980ドル台後半での小幅揉み合いとなったアジア時間につけた高値は1990ドル手前、戻り売りとなってロンドン市場では前日安値圏1980ドル割れでの攻防に。NY朝にはフィラデルフィア連銀製造業景況指数が予想を上回る回復基調となったことをきっかけに一段安、FRB関係者のタカ派発言も伝えられ、NY午後には1960ドル割れ。6月FOMCでの追加利上げ観測再燃に伴い、ダブルトップからの短中期下値警戒水準1900ドル近辺に向けた流れが前倒しで急速に進行し始めた様子も。目先、経済指標結果やFRB関係者発言などに一喜一憂しながら、追加利上げ見通し動向にらみの展開へ、90日移動平均線(1942.8)が短期的にはサポート候補。
NYプラチナは-24.4ドル、2.25%の大幅反落で5月4日(1050.3)以来、2週間ぶりの安値。前日の節目1080ドル超えに伴う短期上値目標1120ドル台に向けた流れは巻き戻し。アジア時間には1070ドル台半ばからの反発、ロンドン市場では1070ドル近辺まで下げてからの反発局面でも1080ドルの節目がレジスタンスに切り替わった格好となって反落。NY市場では金の急落局面に追随する形となって保ち合い下限1060ドル台も下抜け、NY午後には1050ドル台半ばまで下落。保ち合い上抜けがダマシとなっての急反落で下抜け、これに伴う短期下値目安はゆるやかに下降し始めた90日移動平均線(1019.0)から1010ドル付近まで。
ドル円は108銭のドル高円安、0.78%高で6日続伸。昨年11月28日(138.90)以来、5ヵ月半ぶりのドル高円安水準。6日続伸は今年最長で昨年10月以来、7ヵ月ぶり。135円30銭の節目上抜けに伴う短期上値目標137円台到達後の一服となっての調整も、東京朝の137円20銭台まで。午後にかけてゆるやかに反発すると欧州時間には、5月2日の今年最高値(137.77)を上抜けて137円90銭台まで上昇。これでようやく達成感、もNY朝まで。5月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数が予想を大幅に上回り、失業保険申請件数も予想より改善したことを受けて138円30銭台へと急騰。その後も堅調推移となってNY午後には138円70銭台まで上昇。FRB高官のタカ派発言による追加利上げ観測台頭などにも下支えされた格好。昨年10月高値(151.94)から今年1月安値(127.21)の38.2%戻し(136.66)を完全に上抜けてきたことから、次の戻り目安としては半値戻し(139.58)近辺、139円台半ば辺りまでの上昇も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場5/18終値とチャート
19日の国内金価格は-69円、0.72%の反落で4月28日(9350)以来、3週間ぶりの安値。揉み合いを経て、結果的にゆるやかに下降し始めた9日移動平均線(9590)がサポートからレジスタンスへと切り替わる格好となって保ち合い下放れ。9550円の節目は4月末安値(9341)から5月最高値(9679)の38.2%戻し(9550)にも相当、これを下抜けたことによる短期下値目安としては61.8%戻し(9470)から9400円台半ば辺りまで。
週間ベースではわずかに-2円、0.02%の小幅続落。
プラチナ価格は-73円、1.43%安となって4日ぶりの反落。前日上昇分をほぼ巻き戻す形となって9日移動平均線(5086)と21日移動平均線(5063)をまとめて下抜け。強気相場回復に失敗し、流れとしては軟調局面継続、ただし水準的には高値付近での保ち合い継続。4980円から5120円台までのレンジで保ち合いを維持することができれば、いずれ高値再トライのチャンスも。4980円の下限を割れると調整局面拡大へ、短期下値目安は4880円辺りまで。
週間ベースでは-59円、1.16%安で3週ぶりの反落。
※参考:金プラチナ国内価格5/19とチャート
- 2023年5月19日(金)時点の相場
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国内金 : 9,528 円 5/19(金) ▼69(0.72%) 国内プラチナ : 5,048 円 5/19(金) ▼73(1.43%) NY金 : 1,959.8 ドル 5/18(木) ▼25.1(1.26%) NYプラチナ : 1,058.2 ドル 5/18(木) ▼24.4(2.25%) ドル円 : 138.70 円 5/18(木) ▲1.08(0.78%)
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