金プラチナ短期相場観
好調続くユーロ圏景気とユーロ高、ユーロ圏製造業PMIランキング
更新日:2018年2月2日(金)
2018年1月のユーロ圏各国の製造業PMIランキング
1)オランダ:62.5
過去最高をわずかに更新。失速したオーストリアとドイツをかわしてトップに。
2)オーストリア:61.3
過去最高となった12月(64.3)からは急減速で3カ月ぶりの水準へと低下。
3)ドイツ:61.1
過去最高となった12月(63.3)から急減速。
4)イタリア:59.0
ほぼ7年ぶりの高水準。ユーロ圏の59.6には惜しくも届かず、2016年後半以降はユーロ圏を下回る状態が継続中。
5)フランス:58.4
17年ぶり高水準となった12月(58.8)から失速、イタリアに再逆転を許す。
6)アイルランド:57.6
過去最高となった12月(59.1)から急失速。
7)スペイン、ギリシャ:55.2
調査対象国では同率最下位。
スペインは11年9カ月ぶり高水準となった11月の56.1をピークに2カ月続落で3カ月ぶりの水準へと減速。
ギリシャは12月の53.1からの急騰で10年3カ月ぶりの高水準。次月、逆転でギリシャが最下位を脱出することになれば2016年8月以来、1年半ぶり。当時の最下位はフランス。
ユーロ圏全般としては新規輸出受注は堅調ながらも3カ月ぶりの低水準となった模様。そのなかで、スペイン、アイルランド、ギリシャは2017年末から急増。
雇用スタッフはオランダ、オーストリア、ドイツで堅調に増加し、伸び率ではイタリア、オランダ、ギリシャでも拡大。
過去最高水準からの失速が目立ちましたが、依然高水準で、ユーロ圏の好景気は続いています。
この日、欧州委員会のモスコビシ委員は、2017年に10年ぶり高水準となったユーロ圏の成長ペースは2019年まで続くだろう、との見通しを示しています。
対ドルでのユーロ高の勢いも止まらず、この日のユーロドルは2014年12月16日以来、3年1カ月半ぶり高値水準となる1.25ドル台まで上昇しています。
1年先とも言われるECBの利上げを見越したユーロ買いが行き過ぎれば、ECBの金融政策も軌道修正を迫られるような事態も招きかねません。その時にはユーロ圏各国の製造業PMIも大きく水準を切り下げることにもなりそうです。
ともかく、ユーロが強過ぎることによるドル安地合いもなかなか終息せず、ドル安によって金価格がサポートされる展開も続きます。
1日のNY金相場は0.36%の続伸。ドル安の巻き戻しが優勢となった欧州序盤までは軟調推移の展開も下値は1340ドルを維持、ユーロ高の流れが強まり、ドル安株安傾向となったNY午後にかけては堅調推移となって一時1週間ぶりの1350ドル台半ばまで上昇。しかし米10年債利回りも上昇ペースを強め、2014年4月3日以来3年10カ月ぶり高水準となる2.77台まで水準を切り上げたこともあり、上値も重い。調整一服状態は続き、23.6%戻し(1335.4)までで調整を終えて保ち合いフェーズへと移行し始めた様子も。好結果が予想される雇用統計後にも1330ドル台のサポート水準は維持できそうな状況も、サプライズ的な結果でこの水準を割り込んだ場合には調整再開で1300ドル近辺までが意識される可能性も。1360ドル台の高値を更新するような展開もまだ想定し難いものの、ネガティブサプライズなどで上抜けた場合の次の上値目標は1390ドル近辺。
NYプラチナ相場も0.35%の小幅続伸。時間外からNY朝にかけては1000ドルの大台を割れて下値を試す形となったものの、やはり23.6%戻し(955.3)付近ではサポートされ、NY市場では1010ドル台前半へと反発。大台ラインで足場が固まらない不安定さは残るものの、金に追随する展開で高値保ち合い状態をなんとか維持。引き続き995ドルラインを明確に割り込めば下げ幅拡大の展開で下値目安は960ドル台辺りまで。
ドル円は0.2%のドル高円安で続伸。反発の流れは欧州時間での109円70銭台までにとどまり、NY時間には109円台前半での上下動。好調を維持した米1月のISM製造業景況指数はスルーされ、上昇基調が強まった米長期金利には追随し切れず、軟調推移となった株安の流れに追随する場面も。今朝の東京市場でも日銀指値オペの国債買い入れ増額でも一時的に上昇も109円60銭台まで。今朝発表された日銀マネタリーベースも1月の増加額は前年比+42.1兆円となり、2013年6月以来4年7カ月ぶり低水準まで縮小しており、相変わらず日銀の緩和縮小への警戒感による円高地合いからも抜け切れない様子。11月高値から1月安値までの23.6%戻し、109円80銭近辺で上値を押さえられる状態も、短期的なサイクルとしてはドル安円高基調はほぼ終息している可能性もあり、雇用統計をきっかけに反発地合いをもう一段強める可能性も。109円80銭近辺を上抜けできれば38.2%ライン、110円70銭台が次の戻り高値目安にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場2/1終値とチャート
2日の国内金価格は0.3%の続伸。5010円から5110円までの高値保ち合いレンジを形成し、目先しばらくはレンジ内推移が続きそうな様相に。雇用統計でのサプライズなどをきっかけに大きく動き出した場合には、下方向なら4960円台が次の下値目安となり、上方向なら5200円トライも視野に。
週間ベースでは-13円(0.26%)となり、3週ぶりの反落。
プラチナ価格は0.4%の続伸。下値警戒感を抱えながらも耐える展開が続き、高値保ち合い形成へ。21日移動平均線(3764)と9日移動平均線(3777)をまとめて上抜けたものの、9日移動平均線は下降基調を描き、21日移動平均線デッドクロスをうかがう様相となり、上値の重さも示す状況に。NYプラチナが節目割れとなった場合には3730円の節目を維持できるかどうか微妙な展開にも。ここを割り込んでしまうと昨年12月序盤までの保ち合い水準3640円前後が下値目安に。
週間ベースでは-26円(0.68%)となり、7週ぶりの反落。
※参考:金プラチナ国内価格2/2とチャート
- 2018年2月2日(金)時点の相場
-
国内金 : 5,072 円 2/2(金) ▲15(0.30%) 国内プラチナ : 3,777 円 2/2(金) ▲15(0.40%) NY金 : 1,347.9 ドル 2/1(木) ▲8.9(0.66%) NYプラチナ : 1,007.8 ドル 2/1(木) ▲3.5(0.35%) ドル円 : 109.40 円 2/1(木) ▲0.22(0.20%)
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