金プラチナ短期相場観
世界のプラチナ・パラジウム産出量2017年
更新日:2018年2月8日(木)
米国の地質調査所(USGS:U.S.Geological Survey)が発表した「Mineral Commodity Summaries」によると、2017年に世界全体のプラチナ鉱山から産出されたプラチナの量は200トン。2016年の191トンからは+9トン、4.7%の増加となっています。
このうち、世界のプラチナ産出量の71%を占めるのが南アフリカ。2位ロシアの11%と合わせて80%超の状態は例年どおり。3位以下はジンバブエ、カナダ、米国と続き、この5カ国合計で世界全体の98%のシェアも続きます。
パラジウムの産出量は210トン。プラチナを若干上回る状態が続きます。パラジウムの南アフリカのシェアは37%で1位のロシア(38%)とほぼ同水準。パラジウムではロシアと南アフリカがほぼ同水準でのトップ争いが続き、この2カ国で75%程度のシェアが続きます。3位以下はプラチナと同じ顔ぶれが続きます。なお、プラチナとパラジウムを合わせた南アフリカの世界シェアは53%。
2017年の世界全体の金産出量3150トンと比較するとプラチナ産出量は約16分の1。パラジウムは金の15分の1。プラチナとパラジウムを合わせても410トンで金の産出量の約8分の1。
この比率は近年ほぼ変わらず、プラチナ(とパラジウム)の希少価値は金よりも高い状態は続きます。
金の産出量では、今や世界7位となりシェア5%まで低下している南アフリカですが、より希少価値の高いプラチナやパラジウムなどのPGMs(Platinum Group Metal:白金族)としての推定埋蔵量は63000トンとされ、採掘可能である限り南アフリカのプラチナ・パラジウム大国としての地位は続くことになります。
プラチナの年間平均価格は2016年の991.8ドルから2017年には951.2ドルへと4.1%下落し、9月にはパラジウムとの価格差が逆転しました。
ガソリン車の排ガス触媒に使用されるパラジウムは、世界の自動車販売台数増加に伴う需要増で価格が上昇し続け、ディーゼル車の排ガス触媒に使用されるプラチナは需要減の影響が残る状態となっています。
しかし、今後は中国などでより厳しい排ガス規制が導入され、自動車の排ガス触媒需要全体のさらなる増加も予想されます。
超長期的には自動車のEVシフト化などの影響により、排ガス触媒としてのプラチナやパラジウムの需要は減少傾向となる可能性も指摘されますが、数年レベルで切り替わるものでもなく、少なくともエンジン自動車販売台数が伸び続け、需要増に伴うパラジウム価格の高騰が続く限り、プラチナ価格も追随傾向となることも予想されます。
2018年のプラチナの平均価格はここまでで995.4ドルと3年ぶり高水準。足下ではやや調整局面入りの状態ですが、1月に1130ドル台まで上昇したパラジウムが大幅調整となっており、今朝時点では980ドルまで下落してプラチナとの価格差は再逆転しています。
プラチナとパラジウムのドル建て価格が高水準で推移することも、世界の5割以上の供給元である南アフリカ経済にとっての追い風となります。
政権交代への期待も高まる南アフリカの経済回復と自国通貨高によってプラチナ価格も高値圏維持となれば、相乗効果で資金流入と格付け回復などへの期待感も高まることにもなりそうです。
あらためて南アフリカとプラチナへの注目度が高まる日が訪れる可能性もありそうです。
7日のNY金相場は1.12%の大幅安で4日続落。1月9日(1313.7)以来、1カ月ぶりの安値となり、1月高値までの38.2%戻し(1316.8)を達成。対円を除く主要通貨や新興国通貨などに対してドル全面高の流れとなり、株価も反発基調となったことで1330ドル台半ばから1310ドル台前半まで軟調に推移。キリの良い水準まで下げたこともあり、株価もドルも伸び悩みとなったNY終盤以降には1320ドルまで反発。しかし、1330ドル半ばの節目割れに伴う下落トレンドはまだ継続中の可能性が高く、目標水準1300ドル前後までもう一段の下落へ。
NYプラチナ相場も1.27%の大幅安となって4日続落。1月10日(978.8)以来、ほぼ1カ月ぶりの安値水準。時間外での990ドル台後半からNY午後にかけて980ドルまでコンスタントに下落基調が進行。990ドル後半から1000ドルまでの水準が当面の抵抗水準に切り替わったことを確認するかのような展開で下落トレンドが加速。今朝の戻り局面でも980ドル台半ばまで。金の下落に連れる展開で目標水準960ドル台辺りを目指す流れが継続中。
ドル円は0.21%のドル安円高へと反落。東京朝に109円70銭台まで上昇したのがこの日の高値となって再び戻り売りの展開へ、株価の軟調推移とともに円高の流れで一時109円割れ。しかし、109円前後の水準では下げ渋る形となって欧州時間からは欧米株高の流れとともに再び反発の展開へ。NY終盤には米長期金利の上昇基調が失速し、プラス圏で推移していたNYダウもマイナス圏へと反落した流れに合わせる形で109円70銭付近から急失速。不安定さが残る株式市場にも影響を受け、小幅レンジでの乱高下状態となり、目先は109円台前半を主要レンジとする保ち合いブレイクをうかがう展開にも。上方向に抜け出せば反発基調継続で111円台トライへ、109円割れへと下方ブレイクしてしまうと再び円高ドル安基調へと逆戻りの展開で107円台トライへ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場2/7終値とチャート
8日の国内金価格は0.82%安となって4日続落。今年初めて5000円を割れ、12月22日(4940)以来1カ月半ぶりの安値水準となり、下値目標4960円近辺にしっかり到達。NY金が下落余地を残す状態に対して円安サポートが入らず、逆に小幅円高で押し下げ効果となっての早期目標到達。アンバランスな状態が続くようなら少し行き過ぎの展開も想定せざるを得ず、76.4%戻しとなる4920円近辺が次の下値目安水準にも。
プラチナ価格は1.13%の大幅安で4日続落。1月4日(3665)以来1カ月ぶりの安値水準となり、38.2%戻し(3682)を達成。目標水準に到達した金価格の値動きが正解なら、キリの良い水準に達したプラチナもいったん反発へという可能性も否定はできないものの、NY市場の状況からは、下値目標3640円前後を目指す短期トレンド継続への可能性のほうが優勢か。
※参考:金プラチナ国内価格2/8とチャート
- 2018年2月8日(木)時点の相場
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国内金 : 4,959 円 2/8(木) ▼41(0.82%) 国内プラチナ : 3,682 円 2/8(木) ▼42(1.13%) NY金 : 1,314.6 ドル 2/7(水) ▼14.9(1.12%) NYプラチナ : 981.7 ドル 2/7(水) ▼12.6(1.27%) ドル円 : 109.33 円 2/7(水) ▼0.23(0.21%)
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