金プラチナ短期相場観
CPIもPPIも5ヵ月ぶり高水準、でもPCE平均2%超へは長い道のり
更新日:2020年9月12日(土)
米労働省が発表した8月の消費者物価指数(CPI)は前年比+1.31%。市場予想の+1.2%を上回り、7月の+0.99%からは急上昇、3月(+1.54%)以来、5ヵ月ぶりの高水準に。食品とエネルギー関連を除くコアCPIも、7月の前年比+1.57%から8月は+1.74%へと上昇。市場予想の+1.6%を上回ってこれも3月(+2.09%)以来5ヵ月ぶりの高水準。
カテゴリー別では食品とエネルギーを除く商品(ウェイト20%)が7月の前年比-0.5%から8月は前年比+0.4%へとプラス展開。6月の-1.1%を大底に3月以降5ヵ月連続の前年割れから脱出し、今後のインフレ上昇へ可能性を示す兆しのようにも。
ただし、エネルギー関連を除くサービス(ウェイト59.6%)は7月の前年比+2.3%から8月は+2.2%へと低下。近年最低となった6月の前年比+1.9%は上回るものの、2月以前の+3%前後の水準にはまだ大きく及ばず。
項目別では中古車(ウェイト2.59%)価格が前年比+4.0%で近年最高水準。7月の-0.9%からは急騰となり、6月の-2.8%を大底に4月以降4ヵ月連続の前年割れからのプラス圏復活。なお、3月の+0.1%をはさんで2月以前も昨年11月以降4ヵ月連続で前年割れとなっており、元々デフレ傾向となっていた中古車価格はコロナ禍で一段と価格は下落。8月になってようやく需要急回復で価格も反動高となった様子。
逆に、賃貸住宅(ウェイト7.85%)は安定の前年比+3.5%超が続いていた状態から、6月に+3.2%、7月に+3.1%、8月には+2.9%と近年最低水準へと急低下。
前日に同じ労働省が発表した生産者物価指数(PPI)も8月は前年比-0.17%と5ヵ月連続の前年割れながら、急回復中で3月(+0.34%)以来、5ヵ月ぶりの高水準。食品とエネルギーを除くコアPPIでは+0.59%となり、これも3月(+1.11%)以来5ヵ月ぶりの高水準。食品とエネルギーと貿易サービスを除くコアPPIでも+0.27%で3月(+1.00%)以来の高水準。
水準的にはまだまだ低水準ながら、PPIも底値圏でしっかり反発し、インフレ上昇への可能性を示す状況に。
インフレターゲットの基準となる個人消費支出物価指数(PCE)は商務省から7月分まで発表済でPCEが前年比+1.00%、食品とエネルギーを除くコアPCEは+1.25%。いずれも3月(+1.34、+1.65)以来4ヵ月ぶりの高水準。
CPIもPPIも、PCEも全て3月以来の水準へと回復基調となってはいるものの、2月の水準には大きく届かず。さらにPCEが2.0%超の水準を一定期間安定推移となるためには、過去の実績からはCPIが2.5%程度へ、PPIはそれ以上の水準へと大きく上昇する必要もありそうです。
CPIとPPIの状況から見ても、PCEの平均2%超へは長い道のりが待ち受けているように見えます。
11日のNY金相場は4日ぶりの反落となって-16.4ドル、0.83%安。1950ドル台を中心に小幅保ち合い推移の展開となり、時間外につけた安値は1940ドル台半ば、NY朝につけた高値は一時的に1960ドル超。この日の変動値幅は上下20ドルに満たず、今年の年間平均36.4ドルの半分強の小動き。NY市場では米8月CPIが予想を上回る結果となったことでややドル高の流れとなったのに対しては下げ渋る動きにもなったものの、NY午後にかけて調整の動きが強まると1950ドル割れへ。8月以降の大まかな流れとしては調整の流れが進行中。ただしチャート形状では下値もゆるやかに切り上げて下げ渋る状態も示唆し、9月に入って一段とレンジを縮小する三角保ち合い形状。目先、上限を1970ドルに切り下げ、上方ブレイクとなれば上値トライ再開への流れがスタートする可能性、当面の上値目標は2050ドル近辺まで。逆に1930ドルの節目を下方ブレイクなら調整局面再加速となって8月安値圏1870ドル前後を目指す流れにも。
週間ベースでは+13.6ドル、0.7%の反発。
NYプラチナは-1.4ドル、0.15%の小幅安となって5日ぶりの反落。上抜けたばかりの20日移動平均線(933.8)にも支えられ、時間外の930ドル台からNY朝には前日高値(947.5)をわずかに上回る950ドル手前まで上昇。しかし、直近高値圏で上方向への節目となる950ドル台が意識されるとまだ上値は重く、NY市場では金の反落に追随、940ドルを割れて20日移動平均線付近へと逆戻り。流れとしては8月上旬から1ヵ月続いた調整局面も終盤、短期トレンド好転をかけて上方向への節目950ドル台との攻防が次週のポイントに。節目突破となれば新たな短期上昇局面形成へ、上値目標は8月半ばの戻り高値990ドル近辺。下方向には920ドルが当面のサポート候補。
週間ベースでは+41.4ドル、4.61%の反発。
ドル円は3日連続106円10銭台での小康状態。欧州時間での高値106円20銭台からNY午後につけた安値106円00銭台まで、この日の変動値幅はわずか19銭程度。今年の平均値幅78銭の4分の1以下で今年4番めの小動き。CPIの好結果などもあり、NY午前にかけてはドル高の流れが強まったもののドル円では明確な方向感は形成されず、もみ合いの展開に。チャート的にはレンジ縮小が続き、大きく動き出す為の準備はできつつある様子も、その原動力とななるべく材料ときっかけに欠ける状況。
週間ベースではわずかに-8銭、0.08%の小反落。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/11終値とチャート
- 2020年9月12日(土)時点の相場
-
国内金 : 7,271 円 9/11(金) ▲1(0.01%) 国内プラチナ : 3,442 円 9/11(金) ▲21(0.61%) NY金 : 1,947.9 ドル 9/11(金) ▼16.4(0.83%) NYプラチナ : 939.6 ドル 9/11(金) ▼1.4(0.15%) ドル円 : 106.17 円 9/11(金) ▲0.03(0.03%)
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