金プラチナ短期相場観
ADP雇用、回復率は3ヵ月連続40%台で停滞
更新日:2020年10月1日(木)
ADP雇用リポートでは、9月の全米雇用者数は前月比+74.9万人となり、市場予想の+65万人程度を大幅に上回る好結果。過去2ヵ月分も小幅に上方改定され、労働市場の改善は予想以上に進行していることを示す結果に。
ADPの統計データによれば、2月を基準とすると3-4月合計で1971.1万人の雇用が失われ、5月以降は回復基調が続き、9月時点で失われた雇用者数は1043.9万人まで縮小してきたことになります。回復率にすると47.0%。
なお、5-6月の2ヵ月で39.7%まで回復し、7月に40.8%を回復、8月の43.2%と合わせ、3ヵ月連続で回復率は40%台にとどまります。
雇用統計のNFPでも同様の推移となり、7月に回復率は41.7%、8月には47.9%となっていました。NFPの場合は、9月に前月比+50万件を割れるようなネガティブ・サプライズにさえならなければ回復率は50%を超える見込みとなっています。
しかし、経済活動再開を受けた大幅な雇用増の影響はこの夏場には既に薄れつつあり、「雇用の伸びは年内、および来年も減速」するとの見方が大勢となっています。
リッチモンド連銀のバーキン総裁はこの日、「新型コロナウイルスの感染拡大で大きな打撃を受けた外食産業などでの失業者は、同様の業種で仕事を見つけることが難しくなっている」とし、「米国最大の経済的課題は失業者の復職」との発言。また、労働市場の「回復はより漸進的になることが予想される」とし、「真の課題は最後の失業者5%を復職させること」との発言も。
雇用統計NFPとADP雇用者数の回復率の推移は、これらの状況を裏付け、今後の見通しを暗示させるような推移となりつつあります。
30日のNY金相場は-7.7ドル、0.4%安となって3日ぶりの反落。前日NY午後に短期上値目標1900ドル前後にしっかり到達しことに伴う一服感からの小幅調整。大統領選のTV討論会への失望感から全部売りのキャッシュアウトのような流れにもなり、東京午後の時間帯に1900ドルを割れるとロンドン市場にかけて1890ドル割れ、一時1880ドル台半ばまで下落。前日まで連れ高となっていたユーロドルの調整局面にも連れた格好。しかしNY市場では押し目買いの展開に、米9月ADP雇用の好結果をスルーする形で1900ドル台へと急反発も、ほどなく米10年債利回り急上昇を受けて元の水準へと急反落。すると今度はユーロ高ドル安急進の流れとともに再反発。この日の高値1908ドルまで上昇し、NY午前の乱高下を経て午後には1900ドル割れへと再反落。ムニューシン米財務長官が追加経済対策を巡る交渉打開への期待感を表明したことなどを受けての米株高の流れにも押された格好にも。1900ドル付近で不安定な動きとなり、週末に向けては波乱の展開への警戒感も。8月の最高値(2089.2)から9月安値(1851.0)までの23.6%戻し(1907.2)を達成し、この水準が目先の上値抵抗水準候補。上抜けできれば1920ドル台までが短期上値目安、38.2%戻し(1942)付近、1940ドル台までが第2目標にも。下方向には1860ドル台が当面のサポート。
月間ベースでは-83.1ドル、4.2%の続落。続落は昨年2-4月以来、1年5ヵ月ぶり。2016年11月(-102.3ドル、8.04%)以来、3年10ヵ月ぶりの急落。
NYプラチナは+11.5ドル、1.28%高で4日続伸。時間外は金の軟調推移にも連れて890ドル台から870ドル台へと20ドルほど下落、これが押し目となってNY市場ではほぼ金の反発局面にのみ追随するような形でNY朝には900ドルの大台をあっさり突破、午前のうちに一時910ドル台半ばまで約40ドルの急騰。NY午後の反落局面でも金に比べて下げ幅は限定的となり、900ドルの大台ライン付近では下げ渋る展開にも。8月高値(1035.5)から9月安値(821.3)までの38.2%戻し(903.1)を達成し、次の節目は半値戻し(928.4)付近。さらに直近高値水準940ドルの節目を超えることになれば上値トライへの流れが加速、1000ドルの大台ラインも意識されるような展開へと発展する可能性も。
月間ベースでは-28.7ドル、3.06%安で3ヵ月ぶりの反落。
ドル円は24銭のドル安円高、0.23%の反落。東京朝には月末の実需買いで半月ぶり高値となる105円80銭台まで上昇後、トランプvsバイデン1回めのTV口論会で失望売りとなった株安に連れて105円40銭台まで下落。欧州時間にはユーロドルの調整の流れを受けてドル高優勢の展開で105円70銭台まで反発も、NY時間には米追加経済対策期待からの株高の流れでリスク選好のドル売りとなって軟調推移。しかし東京時間の安値105円40銭台では底堅く、水平状態となってきた20日移動平均線(105.56)付近に収束。今朝の東京市場では東証のシステム障害による全銘柄の売買停止状態が続き、105円台半ばで膠着状態となって見守る様子も。目先は105円40銭から70銭近辺までがコアレンジとなり、上方向へ抜け出すことができれば106円30銭の節目辺りまで上値を伸ばす展開にも。
月間ベースでは-45銭、0.43%の小反落。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/30終値とチャート
1日の国内金価格は-45円、0.64%安となって3日ぶりの反落。一服感が勝り、直近上値目標7000円付近を少し行き過ぎたところからの巻き戻し。下落基調の21日移動平均線(7156)の下でさらに鋭角に下降する9日移動平均線(7023)に上値を押さえられる形となり、短期トレンド好転に向けたトライにはいったん失敗したような格好に。ただしゆるやかな上昇軌道が続く90日移動平均線(6941)にはサポートされて中期上昇トレンドはかろうじて維持。短期トレンド好転か、中期トレンド崩れか、10月相場を占う重要な攻防からスタート。
プラチナ価格は+22円、0.67%高となって5日続伸。5日続伸は9月16日以来、半月ぶりで今年は5月以降だけで5度め。9月23日に同時に下抜けた90日移動平均線(3282)と200日移動平均線(3290)を約1週間後にまとめて上抜け。中期トレンド悪化回避をかけた攻防が続く状況。ただし、下落基調の21日移動平均線(3371)をデッドクロスした9日移動平均線(3283)も一緒に上抜ける形となり、短期トレンド好転に向けた第一歩にも。目先は21日線超えが短期トレンド好転に向けた次のポイント。
※参考:金プラチナ国内価格10/1とチャート
- 2020年10月1日(木)時点の相場
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国内金 : 6,992 円 10/1(木) ▼45(0.64%) 国内プラチナ : 3,296 円 10/1(木) ▲22(0.67%) NY金 : 1,895.5 ドル 9/30(水) ▼7.7(0.40%) NYプラチナ : 909.2 ドル 9/30(水) ▲11.5(1.28%) ドル円 : 105.43 円 9/30(水) ▼0.24(0.23%)
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