金プラチナ短期相場観
PCEインフレはコロナ前の水準回復も、伸び悩みの兆候も
更新日:2020年10月2日(金)
米商務省が発表した8月の個人消費支出物価指数(PCE)は前年比+1.38%となって3月の+1.34%を上回って2月の+1.84%以来、半年ぶりの高水準。食品とエネルギー関連を除くコアPCEは前年比+1.59%となり、3月の+1.65%以来、5ヵ月ぶりの高水準。いずれも4月に急低下した後はV字回復軌道となって急回復。いずれも2%には全く届かないものの、ほぼコロナ前の水準には回復したような状況となってきました。
しかし、コアPCEを別の切り口で見た、派生指標では回復の兆しは見られないものもあります。
ダラス連銀が発表するトリム平均PCEでは、PCEでは構成品目、サービスの上位と下位20-30%を取り除いて算出され、この指標では8月は前年比+1.92%。7月の+1.86%からは反発し、5月(+1.92)以来の水準。しかし、3月以前の2%前後の水準には届かず、4月に小幅急低下して以降は低迷状態が続きます。
クリーブランド連銀が発表するメディアンPCEでは、価格変動分布の50%台、中央部分のみのインフレ率を算出し、この指標では8月は前年比+2.41%。5月の+2.55%から3ヵ月続落となって4月(2.41)と並び、直近約2年間の最低水準となっています。
トリム平均PCEもメディアンPCEも、コアPCEに比べて高めの水準で推移することが多く、過去にコアOCEが2%台前半で推移していた頃にはいずれも2.5%以上の高水準となっていました。
トリム平均PCEもメディアンPCEも、この春に極端な落ち込みもありませんでしたが、インフレ上昇の兆候も見られません。
1日のNY金相場は+20.8ドル、1.1%の反発。前日の下げが押し目となり、この日は時間外の1890ドルを起点に押し目買い。節目となる8月最高値から9月安値までの23.6%戻し(1907.2)前後の水準をロンドンからNY朝にかけての攻防で上抜けると1910ドル台後半まで上昇も、短期上値目標1920ドル台には少し届かず。ムニューシン米財務長官とペロシ下院議長との間で行われている追加経済対策の行方に対する不透明感が続くなか、この日発表された米8月個人所得は前月比-2.7%と予想以上に減少し、個人消費支出の伸びも前月から鈍化。失業保険上乗せ給付失効の影響が如実に表れ、今後の景気回復鈍化への警戒感などもサポート材料に。目先、短期的には1920ドル台まで若干の伸びしろを残すもののタイミング的には雇用統計の結果次第で反落か、一段高も。下方向には1890ドルが下値サポート、割れると9月安値圏1870ドル前後までが下値目安に。上方向に1920ドル台を突き抜けるような展開となれば38.2%戻し(1942)近辺が次の上値目安に。
NYプラチナは-3.2ドル、0.35%安となって5日ぶりの反落。前日NY引け後に900ドルの大台付近で下げ渋った勢いのまま、時間外には一時920ドル手前まで上昇。8月高値から9月安値までの半値戻し(928.4)に少し及ばず失速するとロンドン・NY市場にかけては小幅にもみ合いながらも調整の展開に。NY午前に一時的に900ドルを割れる場面もあったものの、引けにかけても概ね900ドル台での小幅揉み合い状態へと収束。目先、上方向には半値戻しを超えると940ドルの節目との攻防へ。これも上抜けるようなら強めのトレンド形成となる可能性も。下方向には23.6%戻し(871.9)付近がサポート候補。
ドル円は10銭程のドル高円安、0.1%の小反発。東証システム障害による全銘柄の売買停止が終日続いたことで東京時間は為替も105円台半ばでの小康状態が継続、欧州時間には105円60銭から40銭台へとややドル安推移、NY朝には新規失業保険申請件数も継続受給者数も予想を超える減少となったことが好感されて米10年債利回りが0.7%台へと急騰し、ドル高の流れとなって105円70銭台へと急上昇。しかし、9月のISM製造業景況指数が市場予想を1ポイント程度下回ったこともあり、まもなく失速、105円50銭台まで戻して膠着状態再開。105円40銭から70銭近辺までのコアレンジ内での推移は、雇用統計後にどちらかへ抜け出す可能性も。上方向なら106円台前半へ、下方向なら105円割れも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/1終値とチャート
2日の国内金価格は+63円、0.9%の反発。7000円の大台を回復し、いったんは上値を押さえられた下落基調の9日移動平均線(7004)も上抜けて短期トレンド好転に向けた第1歩を踏み出した格好。さらに直近高値7037円も明確に上抜けたことで二歩めへ、もう一段上値を伸ばす可能性も高まる状態に。8月の最高値(7676)から9月安値(6902)までの23.6%戻し(7085)近辺までが短期上値目安。しかし、雇用統計の結果次第で巻き戻しも、行き過ぎもありうるタイミング。下方向には6990円がサポート、割れると9月末安値揉み合い水準6930円前後までが下値目安に。極端な行き過ぎの場合には真空地帯を飛び越えて9月半ばまでの高値保ち合い圏、38.2%戻し(7198)付近を目指す展開にも。
週間ベースでは+126円、1.82%高で3週ぶりの反発。
プラチナ価格はわずかに+1円、0.03%高となってほぼ横ばい推移ながらもいちおう6日続伸。6日続伸は7月末以来、2ヵ月ぶりで今年3度め。これまで2度の6日続伸での合計上昇率はいずれも12%超の急騰。今回は半分以下の5.23%。前2回と同等の急騰ならほぼ全戻しに近い状態となり得た、直近高値9月16日(3539)から9月安値(3133)までの急落幅(406)の半値戻し(3336)にも届かず。まずは半値戻しが目先の上値目標。
週間ベースでは+134円、4.24%の反発。
※参考:金プラチナ国内価格10/2とチャート
- 2020年10月2日(金)時点の相場
-
国内金 : 7,055 円 10/2(金) ▲63(0.90%) 国内プラチナ : 3,297 円 10/2(金) ▲1(0.03%) NY金 : 1,916.3 ドル 10/1(木) ▲20.8(1.10%) NYプラチナ : 906.0 ドル 10/1(木) ▼3.2(0.35%) ドル円 : 105.54 円 10/1(木) ▲0.11(0.10%)
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