金プラチナ短期相場観

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米労働市場、賃金事情に改善の兆し?の可能性

更新日:2020年10月28日(水)

リッチモンド・ダラス連銀賃金指数と賃金上昇率 2020年10月10月のリッチモンド連銀製造業指数は29.0となって市場予想の18.0程度を大幅に上回り、9月の21.0からも急騰。ほぼ2年前、2018年9月の27.0を上回って過去最高を更新。先日発表されたダラス連銀の製造業指数も10月は19.8となって2年ぶりの高水準へ急騰となっていました。
米製造業の景気回復基調は第3四半期に急加速し、第4四半期スタート時点でもまだ持続しているようです。

この傾向は、リッチモンド連銀とダラス連銀の賃金指数においても同様です。
リッチモンド連銀の賃金指数は10月に26.0となって9月の13.0から急騰。2月(26.0)以来8ヵ月ぶりの高水準となり、-1.0から-2.0へと低迷した4-6月からは第3四半期に急回復、10月にはさらに加速した状態です。
ダラス連銀の賃金指数でも、10月は16.5となって2月(22.0)以来、8ヵ月ぶりの高水準。4月(-3.4)、5月(-0.2)のマイナス圏から第3四半期にかけて急回復し、回復基調を維持して第4四半期に入った状態です。

これに対して雇用統計での賃金上昇率は、3月までの前年比+3%台から4月に+8%へと急騰。5月の6.6%を経て6月以降は4%台へと落ち着き始めた状態。
コロナショック以前には、比較的相関関係にあった賃金指数と賃金上昇率は、コロナショックでは真逆の反応で逆行状態となっています。
この傾向はリーマンショック後の動きも同様でした。
危機時の初期段階での失業は低賃金労働者が多くなりがちで、その結果平均賃金は上昇することになるのに対し、地区連銀の賃金指数では純粋に景気悪化を受けての賃金事情の悪化を示すものと思われます。

リーマンショック後には賃金指数が回復すると、賃金上昇率は急騰後の急低下で下げ止まったものの、回復には長い時間を要しました。今回。賃金指数は急回復でコロナ前の水準を回復しようかというレベルにきているようにも見えます。賃金上昇率はコロナ前の水準にもまだ戻っていませんが、今後さらに低下して、もう一段低下することも想定されそうです。
ただし、ダラス連銀の賃金指数も今後、コロナ前の20ポイント台へと上昇し、コロナ前の水準での推移が続く状態となれば、今後3%以下へと低下するかもしれない賃金上昇率も、徐々に回復傾向へと向かうことになるものと思われます。
米労働市場の回復に向けては「長い道のり」との見方が大勢のようですが、賃金事情には改善の兆し?となっているのかもしれません。

NY金・日足チャート 2020/9/23 - 10/2727日のNY金相場は+6.2ドル、0.33%高で3日続伸。売り買い交錯となった米ドルの保ち合い推移に合わせて1900ドル台を中心に小幅揉み合い推移の展開に。時間外にはドル安の流れとともに1905ドル付近から1910ドル台へと小幅に上昇、ロンドン市場にかけては欧州株安とユーロ安の流れを受けてドル高・金安へと急速に反転。しかし1900ドル割れの水準では底堅く、NY市場では米10年債利回り低下とともにドル売り金買いへと再逆転、NY午後には1910ドル台へと再浮上もこれも維持できず。ユーロ安ドル高の流れが強まったことで1910ドル割れへと小反落。この日の値幅は15.1ドルにとどまり、今年の平均35.3ドルの4割程。方向感に乏しい状態は続き、下値は1890ドルから1900ドルの水準が強めのサポートとなりつつある様子も、レンジ上限1930ドルも徐々に遠くなる状態。

NYプラチナ・日足チャート 2020/9/23 - 10/27NYプラチナは+9.4ドル、1.07%の反発。上へ下へと乱高下状態となるのはプラチナの方向感喪失状態の特徴でもあり、下方向へもう一段の下げ余地も想定された状態は200日移動平均線(872.7)に支えられ、ロンドン序盤の安値872.6ドルで反発。NY市場にかけてはドル売り金買いの流れに追随も、上値は890ドルにわずかに届かず。NY引けにかけては再び880ドル割れへ。この日の変動値幅16.5ドルは今年の平均35.3ドルの半分以下。目先、200日線を割り込むようならあらためて以前のサポート水準860ドル前後までが下値目安に。

ドル円・日足チャート 2020/9/23 - 10/27ドル円は35銭程度のドル安円高、0.34%の反落。3月11日(104.43)以来、7ヵ月ぶりの安値。ナスダックを除いて欧米株安の流れが続き、リスク回避の円高優勢の展開に。東京・欧州時間にかけては節目の104円半ばまで下落、NY朝には米9月耐久財受注が予想を上回る好結果となったことを好感して下げ渋る状態が続いたものの、10月の消費者信頼感指数が低調な結果となったこともあり、節目割れとなって104円30銭台まで下落。今朝の東京市場にかけては104円半ば回復をかけた攻防の動きも。このまま104円台後半へと反発することができなければ104円ちょうど前後までを下値目安に軟調な展開が続きやすい状況に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/27終値とチャート

28日の国内金価格は-27円、0.39%の反落。3日間で110円下げて30円の反発をはさんで再び27円の下落。前日の反発分をほぼ帳消しにして小さなデッド・キャット・バウンスを形成。移動平均線との関係性は弱気のパーフェクトオーダーを維持し、90日線がわずかに上昇を続けていることを除けば軟調局面入り濃厚を示唆する状態に。6980円割れなら9月末安値揉み合い圏付近、6930円付近までが短期下値目安に。タイミング的にはややフライング気味でもあり、7020円超へと反発できれば10月後半高値7090円台を目指す流れとなる可能性も。

プラチナ価格は-15円、0.46%の続落。上値トライ失敗後も流れはわずかに上方向優勢の状態を維持、しかし3180円から3280円台までの主要レンジ中央まで値を下げ、90-21-9日移動平均線が上から降順に並ぶ弱気のパーフェクトオーダーを完成。下値警戒感が高まりつつも中立を維持するような状態にも。今後、レンジ上限をブレイクできれば上値トライ再開へ、上値目標は3400円。逆に下限をブレイクするようなら下値再トライへ、6月後半の保ち合い水準3070円近辺までが下値目安に。
※参考:金プラチナ国内価格10/28とチャート

2020年10月28日(水)時点の相場
国内金6,985 円 10/28(水) ▼27(0.39%)
国内プラチナ3,230 円 10/28(水) ▼15(0.46%)
NY金1,911.9 ドル 10/27(火) ▲6.2(0.33%)
NYプラチナ886.8 ドル 10/27(火) ▲9.4(1.07%)
ドル円104.49 円 10/27(火) ▼0.36(0.34%)

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