金プラチナ短期相場観
ADPは上振れ、ISM非製造業は下振れ、タカハト混在
更新日:2024年4月4日(木)
この日発表された米経済指標は強弱混在。
3月のADP雇用は市場予想の前月比+15万人を大幅に上回る+18.4万人。昨年7月(+30.7)以来、8ヵ月ぶりの高水準。
雇用統計の非農業部門雇用者数(NFP)の伸びに対して、かなり控えめな数字が続いていたADPも、ここに来てようやくNFPに寄せてきたような格好にも。
堅調な雇用情勢が意識された反面、ソフトデータでは期待外れの結果も。
3月のISM非製造業景況指数は51.4。15ヵ月連続で節目50超を維持しながらも、市場予想の52.8を下回り、続落で3ヵ月ぶりの低水準。過去10ヵ月では2番めの低水準。
また、価格指数は53.4となり、2月からは-5.2ポイントの急低下で4年ぶりの低水準。
景況感とインフレ関連指標としてはハト派支援材料に。
なお、先日発表済のISM製造業景況指数は1年半ぶりに節目50超を回復し、価格指数は1年8ヵ月ぶり高水準へと上昇。同じISMのソフトデータとインフレ関連指標は製造業と非製造業で逆行、強弱混在、タカハト混在の結果に。
この日はアトランタ連銀ボスティック総裁の「今年の利下げは1回のみと予想」発言や、パウエルFRB議長の利下げ慎重姿勢発言などがありましたが、3月FOMCでのドットチャートでは、年内予想では19名のうち、3回の利下げ予想が9名、4回の利下げ予想が1名、2回以下も合計9名と拮抗状態。
週末の雇用統計を経て、今後タカハト混在の拮抗状態が崩れるかどうかが注目されます。
3日のNY金は+33.2ドル、1.45%高で7日続伸。5営業日連続、今年12回めの過去最高値更新。7日続伸は3月以来で今年2度め。騰落率では今年の絶対値平均0.62%の2.3倍、今年5番めの急騰。前日NY午後からの反発局面が続き、2300ドルの大台超えでこの日の時間外をスタート、2310ドル手前で失速するとアジア時間は2300ドルを維持しての小幅揉み合い、ロンドン序盤には米10年債利回り上昇に連れて2300ドルの大台割れ。2290ドル近辺では下げ渋るも、NY朝にはADP雇用の上振れを受けて一時2280ドル台半ばまで小幅に急落、しかしその後ISM非製造業景況指数が予想を下回ったことを受けて巻き戻し、ドル安急進となった流れで2300ドル台回復後も一段高、NY午後には2310ドル台、NY引け後には2320ドルトライ。
目先、雇用統計の結果次第で2月安値(1996.4)から3月上旬高値(2203.0)までの上昇値幅(206.6)を3月半ば安値(2149.2)を起点に加算した水準(2355.8)、2350ドル近辺までを試しに行く可能性も。3月以降の絶対値平均騰落値幅16.4ドル分上昇した場合には2331.4ドル、下落すると2298.6ドル。
NYプラチナは+12.2ドル、1.31%の続伸で1月8日(959.4)以来、3ヵ月ぶりの高値。アジア時間には940ドルで頭打ち、ロンドン序盤には930ドル割れで下げ渋り、NY朝には買い戻し。NY金の反発局面にも追随する形となり、NY午後には940ドル台半ば、NY引け後には950ドル台回復トライ。920ドル台の節目上抜けに伴う短期上値目標950ドル近辺に到達。
年末年始の急騰局面での1000ドルの大台超えを除けば、昨年秋以降の上限が950ドル近辺。短期的には一服となりやすく、さらに上値トライへと抜け出すようなら短中期的には大台トライへと向かう可能性も。
金との価格差は1368.5ドルへ急拡大、5日連続で過去最大を更新。
ドル円は+13銭、0.09%の小反発。東京朝には前日安値をわずかに下回るも、151円40銭台で下げ渋って60銭台へと切り返し、151円半ばでの小幅揉み合いとなった東京市場通過後、欧州時間には米10年債利回り上昇にも連れて堅調推移、節目の151円70銭近辺へと水準を切り上げてNY市場へ。ADP雇用上振れを受けての一段高では今年最高値圏151円90銭台トライ、しかし高値更新できずに上げ渋るとISM非製造業景況指数の下振れを受けて急反落。NY午後には151円50銭台まで下落し、NY終盤には151円70銭近辺へと自律反発。
151円30銭から70銭までの小幅保ち合いレンジ上抜けに失敗も、再トライの構えで週末へ。上方向へと抜け出せば152円半ば辺りまでを短期目標に一段高トライへ、下限割れの場合には150円近辺までの下値切り下げへ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場4/3終値とチャート
4日の国内金価格は+88円、0.72%高で8日続伸。6営業日連続、今年16回めの過去最高値更新。8日続伸は2022年4月以来、2年ぶり。3月以降の絶対値平均騰落値幅は82円。平均的な騰落値幅を想定した場合、上方向なら12358円、反落なら12194円程度。短中期調整目安としては3月25日(11536)から最高値(12276)までの38.2%戻し(11993)、9日移動平均線(11862)、61.8%戻し(11819)など。
プラチナ価格は+66円、1.36%の続伸。2日連続の今年高値更新となり、昨年8月31日(4965)以来、7ヵ月ぶりの高値。4830円の節目上抜けに伴う短期上値目標4870円近辺到達後も勢い止まらず、短期的には若干の行き過ぎで4900円の大台を回復、中期三角保合い上抜け後の急騰局面を形成。短期調整目安としては急騰前の安値3月28日(4736)から今年高値(4936)までの23.6%戻し(4889)、38.2%戻し(4860)など。
金との価格差は6日連続で過去最大を更新、7340円へと急拡大。
※参考:金プラチナ国内価格4/4とチャート
- 2024年4月4日(木)時点の相場
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国内金 : 12,276 円 4/4(木) ▲88(0.72%) 国内プラチナ : 4,936 円 4/4(木) ▲66(1.36%) NY金 : 2,315.0 ドル 4/3(水) ▲33.2(1.45%) NYプラチナ : 946.5 ドル 4/3(水) ▲12.2(1.31%) ドル円 : 151.69 円 4/3(水) ▲0.13(0.09%)
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