金プラチナ短期相場観

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米中対立懸念とともに高まる米中インフレ上昇懸念

更新日:2021年6月10日(木)

米国×中国・物価指数(CPI・PPI) 2021年5月中国の国家統計局が発表した5月の生産者物価指数(PPI)は前年比+9.0%。市場予想を上回って4月の+6.8%からも一段と上昇。7ヵ月続伸で2008年8月以来、12年9ヵ月ぶりの高水準。
消費者物価指数(CPI)は前年比+1.3%となって市場予想は下回ったものの、4ヵ月続伸で上昇基調加速の兆し。

主要国での大規模景気刺激策と世界中の中央銀行の大規模緩和政策継続のサポートを受け、今年に入ってからは世界的な景気回復が加速し始め、商品価格急騰などがPPIを押し上げ、1年前の急低下というベース効果も加わっての急騰局面形成となっています。

この傾向は米国でも同じで、PPIは4月に前年比+6.17%となり、3月の+4.23%から急騰で4ヵ月続伸、2011年9月(4.51)を超えて過去最高の伸びとなっていました。
CPIは中国に先行する形で4月には前年比+4.16%。5ヵ月続伸で2008年9月(4.94)以来12年7ヵ月ぶりの高水準となっていました。

今夜発表される米国の5月CPIも、次週発表予定の5月PPIも、4月からはさらに上昇することも予想され、PPIでは中国を猛追、CPIは中国のそれを牽引する形での急騰局面形成となりそうです。
ベース効果は徐々に剥落していくことになるとしても、リベンジ消費需要が拡大していく状況にもなり、インフレの高止まりが続くようだと、いずれ緩和政策の縮小、金融政策正常化への道筋が意識されることにもなります。
行き過ぎたインフレ上昇には、インフレ抑制のために早期利上げも意識される可能性もありそうです。

週末にはG7サミットも控え、米中対立懸念も強まるなか、米中ともにインフレ上昇懸念も高まります。

NY金・日足チャート 2021/5/5 - 6/99日のNY金相場は+1.1ドル、0.06%の小反発。時間外での高値は1900ドルの大台に少し届かず戻り売り、ロンドン時間につけた安値は1890ドルをわずかに割れて買い戻し。NY朝には米10年債利回りが3ヵ月ぶりに1.5%割れへと低下、ドル安の流れも一時強まったことで急反発。ただし上値は1900ドルを少し超えたところで頭打ち、米10年債利回りの下げ止まりとドルの買い戻しの流れに押されて急反落。ただし下値は1890ドル近辺でサポートされ、結果的にほぼ1890ドル台での上下動となって方向感が定まらない十字線を形成。この日の値幅は12.4ドルにとどまり、今年の平均27.5ドルの半分以下で今年4番めタイの小動き。引き続き1870ドルから1910ドルまでの広めのレンジ内の上3分の1程度で小幅保ち合い形成の様相にも。4月に続いて上振れが予想される5月消費者物価がまたしても予想以上の上振れなら若干の波乱も。1870ドルまでではサポートされる可能性は高そうにも見えるものの、節目を割れるようだと1840ドル台までの調整局面入りへ。

NYプラチナ・日足チャート 2021/5/5 - 6/9NYプラチナは-10.7ドル、0.92%の続落となって3月5日(1128.3)以来、3ヵ月ぶりの安値。時間外には1160ドル台半ばで何度も上値を押さえられ、ロンドン市場では1160ドル割れ、NY朝の反発局面でも1160ドル台半ばで頭打ち、戻り売りとなってロンドン市場での安値を下回ると1150ドルとの攻防状態、NY引け後にも1150ドル割れを試す展開に。1160ドルの節目割れに伴う短期下値目安1140ドル近辺へと動き出した状態にも。もう少しの下げ余地を残しながら、4日安値1142ドル近辺で下げ止まって反発できればダブルボトム形成と下げ止まりへの可能性を残す展開へも。この日の変動値幅は17.5ドルとなって今年の平均39.8ドルの半分以下で今年最小。
金との価格差は743.7ドルとなり、1月29日(771.1)以来4ヵ月半ぶりの水準まで拡大。

ドル円・日足チャート 2021/5/6 - 6/9ドル円は13銭程のドル高円安、0.12%の続伸。東京・欧州時間にかけては109円40銭台を中心に小幅揉み合い推移、NY朝にかけては米10年債利回りの1.5%割れに連れて109円20銭近辺まで下落。ここ2日間の安値付近で下げ止まると、米10年債利回りの小反発に連れる形で急反発。元の水準まで戻しての揉み合いは短時間で済ませ、109円60銭台へと一段高。目先は109円20銭の下値サポートが堅く、109円60銭台の抵抗感も強まる状態に。5月CPIが多少のサプライズとなった場合でも、次週のFOMCを控えてそれほど極端な値動きは想定し難いものの、109円20銭を割り込んだ場合には5月安値108円30銭台までを下値目安に軟調な流れとなる可能性も。上方向に109円60銭台を超えると110円トライへの動きにも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/9終値とチャート

10日の国内金価格は-26円、0.36%の続落で6月4日(7238)以来、1週間ぶりの安値。ピークアウトしつつある9日移動平均線(7286)に上値を押さえられての反落の流れが継続、1週間前の安値を下回って7230円台のサポート割れとなればもう一段安の展開へ、上昇軌道が続く21日移動平均線(7203)を割り込み、7190円程度までが短期下値目安に。9日線超へと切り返すことができれば上値再トライへ、今年高値再更新と7350円近辺までが上値目標に。

プラチナ価格は-43円、0.96%の続落で3月26日(4407)以来、2ヵ月半ぶりの安値。上昇軌道を維持する90日移動平均線(4507)を超えられなかった反動からの一段安となり、4440円台の節目を割れて6月安値を更新。短期下値目安3月後半安値圏4400円前後まで若干の下げ余地も残す状態。
金との価格差は2830円となり、1月29日(2836)以来4ヵ月半ぶりの水準まで拡大。
※参考:金プラチナ国内価格6/10とチャート

2021年6月10日(木)時点の相場
国内金7,248 円 6/10(木) ▼26(0.36%)
国内プラチナ4,418 円 6/10(木) ▼43(0.96%)
NY金1,895.5 ドル 6/9(水) ▲1.1(0.06%)
NYプラチナ1,151.8 ドル 6/9(水) ▼10.7(0.92%)
ドル円109.63 円 6/9(水) ▲0.13(0.12%)

6/9(水)のその他主要マーケット指標

消費者物価は2ヵ月連続の上振れ、コアCPIは29年ぶり高水準 6/11(金)

米中対立懸念とともに高まる米中インフレ上昇懸念 6/10(木)

4月も過去最大、求人件数は前年比倍増で求人不足解消へ 6/9(水)

ドイツ4月製造業受注は外需が近年最大、中国の輸入増が下支え 6/8(火)

国内金価格は三役好転崩れ、プラチナは三役逆転のまま 6/7(月)


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