金プラチナ短期相場観
加速し切れない雇用統計、テーパリング観測先送りへ
更新日:2021年6月5日(土)
~伸び悩む雇用者数、100%回復は2022年後半、完全回復は2023年?~
またしても期待ハズレの雇用統計。5月非農業部門雇用者数(NFP)の伸びは前月比+65万人程度の事前予想に対して結果は+55.9万人。4月が前月比+100万人程度の予想に対して+26.6万人となった結果が極端過ぎて今回の結果は小幅下振れのように見えてしまうものの、平常時ならネガティブ・サプライズ。
雇用者数の伸びは一応、加速の兆しとなったことはプラス材料となり、長期失業者の割合もピークアウトの兆しが確認できたことも好材料。
2020年2月時点で全米の非農業部門雇用者数は1億5250万人。これが2ヵ月後には1億3020万人へと急減。
わずか2ヵ月で失われた雇用2200万人は今年5月時点で残り762.9万人まで回復してきました。
今後の増加ペースが+60万人/月なら、-762.9/60=12.7=13ヵ月・・・雇用が100%回復する時期は2022年6月。
増加ペースが+50万人/月なら、-762.9/50=15.26=16ヵ月=1年4ヵ月・・・100%回復は2022年9月。
雇用者数の伸びが加速し始め、失業率も一段と低下しても、労働参加率は5月に61.6%と伸び悩み。4月の61.7%からは低下しています。
これでは、失業率がいくら低下しても雇用の完全回復は訪れません。
これを考慮して回復状況の判断目安となり得るのが「人口に対する雇用率」。
5月の人口に対する雇用率は58.0%。4月の57.9%からはわずかに0.1%上昇。
2020年2月には61.1%だった人口に対する雇用率は、4月には51.3%へと9.8%の急低下。そこから今年5月までに6.7%回復したことになります。下落幅に対する回復率で見れば68.4%。
ただし年明け以降の回復ペースは、ほぼ0.1%と停滞中。
このペースが続くようなら、2020年2月の水準(61.1%)まで、100%回復までの所要月数は31ヵ月。2年と7ヵ月。
人口に対する雇用率がコロナ前の水準まで回復する見通し時期は、2023年12月。
4日のNY金相場は+18.7ドル、1.0%の反発で前日の下げ幅の半値戻し。時間外には戻り売り圧力が強まる場面もあり、一時1860ドルを割れて半月ぶり安値となる1855.6ドルまで下落。ダブルトップからの下値目安、3月安値から6月1日高値の23.6%戻し(1861.2)までしっかり下げて1870ドル台を回復。ロンドン・NY朝までの小康状態を経て、雇用統計の結果を受けて15ドル程の急反発。米10年債利回りが前日ADP後の上昇分全てを巻き戻し、さらに低下し続けたことを受けてユーロドルとともに一段高となって1890ドル台を回復も高値では1900ドルの大台にはわずかに届かず、1.22ドルに少し届かなかったユーロドルと連動する形で週前半までの高値保ち合い水準を回復できず、それが抵抗水準に切り替わった可能性も。1870ドルから1910ドルまでが目先の主要レンジとなり、1900ドルにやや抵抗感も。保ち合いが下方向へ崩れるようだと200日移動平均線(1846.5)から1840ドル近辺までが下値目安に。
週間ベースでは-13.3ドル、0.7%安となって5週ぶりの反落。
NYプラチナは+1.9ドル、0.16%の小幅高で3日ぶりの反発。時間外序盤の戻り売り局面では短期下値目安1150ドル前後を再度しっかり確認する形となり、わずかに1150ドル割れ。しかし、その後の自律反発局面では金の急反発には追随し切れず、1150ドル台半ばまでと限定的となるとNY朝には売り圧力再燃となって一時3月9日(1136.9)以来、3ヵ月ぶり安値となる1142ドルまで下落。スタート地点が押し下げられた格好となり、雇用統計後の反発局面では20ドル超の急騰となったものの1160ドル台までにとどまり、高値でも1170ドルには届かず。それでも長めの下ヒゲを残し、下押し圧力は緩和方向へ。目先は短期下値目安1150ドル前後までの再々トライの可能性も残しながら、1170ドル超へと水準を切り上げることができれば徐々に地合い回復方向へも。
週間では-18ドル、1.52%の反落。
ドル円は78銭程度のドル安円高、0.71%の大幅反落となって前日ADP後の急騰分を全戻し。前日高値110円30銭台が上限となり、しかし下値も110円10銭近辺までとなって小幅もみ合い推移のまま東京・欧州時間をやり過ごしてNY時間。110円10銭近辺で雇用統計の結果を確認すると、肩透かしとなってストンと30銭程度急落、米10年債利回りが1.6%を割れてなお一段と低下した流れにも連れての軟調推移で一時109円40銭割れまで下落。結果的に雇用回復基調確認作業においてはADPと米労働省に振り回され、2日かけて上に行って来い。今年高値更新へと上方向への流れがスタートしたかに見えた兆しも巻き戻され、110円40銭が当面の上限となり、目先は109円40銭の下限との攻防にも。これを割り込むようなら一段安の展開となって下値目安は4月安値圏107円台後半まで。
週間では-32銭、0.29%の反落。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/4終値とチャート
- 2021年6月5日(土)時点の相場
-
国内金 : 7,238 円 6/4(金) ▼97(1.32%) 国内プラチナ : 4,448 円 6/4(金) ▼134(2.92%) NY金 : 1,892.0 ドル 6/4(金) ▲18.7(1.00%) NYプラチナ : 1,164.4 ドル 6/4(金) ▲1.9(0.16%) ドル円 : 109.53 円 6/4(金) ▼0.78(0.71%)
国内金価格は三役好転崩れ、プラチナは三役逆転のまま 6/7(月)
加速し切れない雇用統計、テーパリング観測先送りへ 6/5(土)
ADP雇用5月は予想以上の急増もISMの雇用指数は低調 6/4(金)
ユーロドルは1.22ドル、NY金は1900ドルでの攻防 6/3(木)
ユーロ圏5月製造業PMI、ドイツ以外過去最高or20年超ぶり高水準 6/2(水)
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン