金プラチナ短期相場観
いったん停止のタカ派FOMC、年内追加利上げ見通しは0.50%
更新日:2023年6月15日(木)
2022年1月以来1年5ヵ月ぶり、11会合ぶりにFF金利誘導目標を据え置きとした6月FOMC。利上げのいったん停止は予定通りでもあり、今後の見通しがややタカ派的となったことで市場の思惑との乖離は埋まらず、むしろ拡大方向となってドル高円安の流れが進行。
FOMCメンバが予想する2023年末FF金利見通しは3会合ぶり、3四半期ぶりに引き上げ。ターミナルレート予想中央値は前回3月までの5.125%から5.625%へと0.5%の引き上げ。現状のFF金利中央値5.125%からの追加利上げ見込み幅は0.50%。0.25%利上げ×2回分。
なお、2023年末予想についてはFOMC参加メンバ18名中16名(88.9%)が追加利上げを予想し、2名(11.1%)が利上げ打ち止めを予想。
追加利上げ0.50%以上を予想したのが12名(66.7%)、3名(16.7%)が合計0.75%以上の追加利上げを予想、1名(5.6%)は合計1.00%、0.25%利上げ×4回分の追加利上げを予想。
「年内の追加利上げが適切である可能性が高い」とするパウエルFRB議長発言とも合わせて追加利上げは、もはや既定路線。
なお、利下げについてはインフレ鈍化が明確になる必要があり「2年ほど先」となる可能性大との見解も。ただし、FOMCメンバの2024年末予想中央値は4.625%となっており、2024年には合計1%の利下げが見込まれる状況とは矛盾。
いずれにしてもインフレ圧力高止まりの状況からは、インフレ率を2%に戻すプロセスには「まだ長い道のり」が残されていることだけは、信頼できそうです。
14日のNY金は+10.3ドル、0.53%高で4日ぶりの反発。時間外は1960ドルを挟んでの保ち合い、NY朝には米5月PPIの下振れを受けてドル安とともに1970ドル台へと急騰。NY引けにかけては1970ドル近辺での揉み合いとなって下げ渋りも、NY引け後にはややタカ派的とも取れるFOMC結果を受けて1950ドル台前半まで急落。実質、上に行って来いとなって反発には失敗も、90日移動平均線(1953.1)にもサポートされ、1950ドル台の保ち合い下限もなんとか維持した格好に。下値が堅くなってきたようにも見える下限をあらためて割り込むようだと1930ドル前後までを目安に下値トライの展開へ。上方向には引き続き1980ドルが強めの抵抗線、超えると流れが大きく変わる可能性、大台超えへと高値圏再トライの展開へ。
NYプラチナは-1.9ドル、0.19%安となって6日続落。3月29日(977.4)以来2ヵ月半ぶり安値圏での小動き。6日続落は1月以来、5ヵ月ぶりで今年2度め。980ドル台前半を中心に小幅保ち合いとなった時間外の高値はロンドン序盤の960ドル台後半まで。NY市場では980ドルを挟んでの保ち合いとなり、NY引け後のFOMC結果を受けて急落のNY金に追随した場面でつけた安値は970ドル付近まで。1000ドルの節目割れに伴う短期下値目安970ドル付近到達後には980ドル近辺へと自律反発。安値圏での目標水準到達とともに十字線を形成して下げ止まりの可能性も示唆。反発に向けては200日移動平均線(990.5)回復がポイントに。
ドル円は11銭のドル安円高、0.08%安で4日ぶりの反落。140円を挟んでの小幅揉み合い推移で東京・欧州時間を通過、NY朝には米5月PPI下振れをきっかけに軟調推移、NY午後には139円20銭台まで水準を切り下げて下げ渋るとFOMC後には140円10銭台まで急騰。下ヒゲ十字線を形成後、今朝の東京市場では140円台後半へと一段高。前日に140円20銭の節目を上抜けたことで上値トライへの流れが進行しやすい状況となり、FOMCを通過してその流れが加速し始めたような格好にも。市場の利上げ見通しが今後、FOMCの利上げ見通しに追随する流れとなればサポート要因に。昨年10月高値から今年1月安値の61.8%戻し(142.49)近辺までが当面の上値目標。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場6/14終値とチャート
15日の国内金価格は-8円、0.08%の続落で5月26日(9559)以来、半月ぶりの安値。9日移動平均線(9599)が21日移動平均線(9600)をわずかに下抜けると同時に高値保ち合い崩れの様相に。耐え切れずに9570円の節目を割り込んだことで大幅下落を試しに行く可能性。NY金の保ち合い崩れを前提に、当面の下値目安は4月末安値(9341)から5月高値の76.4%戻し(9421)近辺へ。
プラチナ価格は-14円、0.29%安で6日続落。4月13日(4,699)以来、2ヵ月ぶり安値圏での一段安。6日続落は今年初で12月以来、半年ぶり。4850円の節目割れに伴う短期下値目安、2月の今年安値(4289)から5月の今年高値(5197)の半値戻し(4743)近辺を目指す流れが進行。ただし、NYプラチナの下げ一服とドル円の円安トライの流れうち、少なくともどちらか一方が崩れることが前提条件に。
※参考:金プラチナ国内価格6/15とチャート
- 2023年6月15日(木)時点の相場
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国内金 : 9,568 円 6/15(木) ▼8(0.08%) 国内プラチナ : 4,790 円 6/15(木) ▼14(0.29%) NY金 : 1,968.9 ドル 6/14(水) ▲10.3(0.53%) NYプラチナ : 980.0 ドル 6/14(水) ▼1.9(0.19%) ドル円 : 140.12 円 6/14(水) ▼0.11(0.08%)
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