金プラチナ短期相場観
ドイツ製造業PMIは再び急低下、7月速報は7年ぶり低水準
更新日:2019年7月25日(木)
ドイツの製造業PMIは再び急低下。
今年2月の47.6から3月に44.1へと急低下した後は、6月の45.0まで3カ月連続で下げ渋り、むしろ反発の兆しにすら見え、年後半の回復基調へと望みをつなぐ形にもなっていました。
ところが、7月速報値では45.2へと小幅反発予想に反して、43.1へと急降下。
これで7カ月連続の節目50割れとなり、2012年7月以来、7年ぶりの低水準に。ドイツ製造業の景況感は悪化の流れが再開し始めた可能性を示す結果となりました。
なお、フランスも50.0と3カ月ぶり低水準へと反落したことにより、ユーロ圏の製造業PMIも46.4となり、6年7カ月ぶり低水準となっています。
米国の7月製造業PMI速報値も50.0と予想外の低調で、9年10カ月ぶり低水準となって節目割れが警戒される状況となってきました。
ドイツの製造業では、受注残の減少が加速し、2009年6月以来10年ぶりの急減となり、将来の生産への期待値が低下したことにより雇用も鈍化、2015年4月以来、4年3カ月ぶり低水準に。
生産高は3月以来4カ月ぶりの低水準となり、前月比では2009年以降で最大レベルの急激な落ち込みとなったようです。
輸出の減少、特に中国向けの減少は続き、自動車部門の低迷が続くなか、輸出注文の減少は10年間で最も急激な落ち込みに。
サービス業でも海外からの新規受注が減少したため、7月の新規輸出は11カ月連続で減少となったようです。
貿易摩擦の問題は先行き不透明感が払拭できず、自動車部門の業績悪化は世界の需要減が根底にあり、特に中国の景気減速への警戒感も続きます。
英国ではボリス・ジョンソン新首相が誕生し、合意なきEU離脱への警戒感が再び高まり始めます。
健康不安も取り沙汰されるメルケル首相同様、すっかり弱体化してしまった様子のドイツ製造業の回復も、一朝一夕には進みそうにもない状況となりつつあります。
そして、ドイツの製造業PMIの低迷継続に伴い、ドイツのリセッション懸念も再燃しそうです。
この状況にも配慮し、ECBは本日、9月利下げを示唆することにもなりそうで、米欧緩和合戦、通貨安競争がスタートすることにもなりそうです。
24日のNY金相場は+1.9ドル、0.13%の小幅反発。1420ドル割れでスタートした時間外は20日移動平均線(1413.3)にもサポートされ、東京午前のうちに1420ドル台を回復。ドイツ7月製造業PMI速報値が想定外の悪化となり、ユーロ安による相対的なドル高が金の上値の重石となったものの、NY市場では米7月製造業PMIも想定以上に弱い結果となったことを受けて一時1430ドルまで上昇。しかし、1430ドルラインでは3日連続上値を押さえられ、高値保ち合い上限ラインとしての抵抗感の強さも確認。目先、ECB理事会では利下げ示唆などの緩和姿勢が予想され、ユーロ安優勢で若干のドル高が引き続きNY金の重石となることも想定されるものの、次週のFOMCを前に極端な流れには発展し難い状況か。1430ドルの保ち合い上限を上抜けた場合には1450ドル付近までが次の上値目安に、月末にかけても1400ドルの重要なサポートを割れる確率は低いと思われるものの、もしそうなった場合には1360ドル近辺までがその後の下値目安に。
NYプラチナは+19.5ドル、2.86%の大幅高で11日続伸。11日続伸となるのは2017年7月から8月にかけて以来、ほぼ2年ぶり。上昇幅としては6月28日(+22.9ドル、2.82%)以来1カ月ぶり、今年8番目の大幅上昇となり、4月30日(891.7)以来、3カ月ぶりの高値水準。一本調子で買われる展開となり、4月高値から5月安値までの61.8%戻し(870.4)を達成。次の行き過ぎ水準としては76.4%戻し(889.5)も意識されるものの、90日移動平均線(846.1)など850ドル前後のサポートを目安に急反落警戒感も。
ドル円は10銭弱のドル安円高となって4日ぶりの反落。前日高値108円30銭付近がこの日の高値にもなり、東京朝とNY午後の2度上抜けを試して失敗。短期保ち合い上限突破に向けては、まだその時期ではない様子。ユーロ圏の製造業PMIの下振れにはリスク回避流れで金利低下と円買いとなり、米国の製造業PMIも低調となると一段安で108円割れも一時的に。結果的に安値も108円割れでは短時間で買い戻される底堅さを見せ、108円10銭台を中心に小幅揉み合い状態に。20日移動平均線(108.08)にサポートされた状態も維持し、上値トライからダブルボトム完成、一段高へというシナリオも想定の一部に保ち合い継続へ。なお、月末以降FOMCでの利下げと追加利下げ示唆などで流れが逆転し、円高ドル安方向へと動き出した場合、107円前半の安値を下回ると大幅安へと向かう展開も想定され、年初のフラッシュ・クラッシュでつけた安値104円台再トライも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/24終値とチャート
25日の国内金価格は+28円、0.53%高となって4日ぶりの反発。近年最高値となった7月19日(5322)以来1週間ぶりの高値となり、11日の5300円に次いで今年3番目、ここ30年余りでは2015年高値(5298)と並び、近年3番目タイの高値水準。9日移動平均線(5274)にサポートされて高値保ち合いを維持し、9日-200日移動平均線(4912)までが価格ラインの下に昇順に並ぶ強気のパーフェクトオーダー状態が1カ月間、断続的に続き、9日移動平均との関係からはもはやアップアップ状態にも。しかし、月末までは高値圏を維持し、それ以降でもそれほど極端な流れにはなり難い可能性も。
5270円に切り上げた下値サポートを割れた場合には7月安値5150円台までが下値目安に。もし、近年最高値更新となった場合には5400円台も視野に。
プラチナ価格は+73円、2.29%の大幅高で3日続伸。上昇率としては6月4日(+99円、3.32%)以来1カ月半ぶり、今年5番目の大幅上昇。水準としては5月9日(3275)以来、2カ月半ぶりの高値水準となり、短期上値目標3200円に10日ほどかけてようやく到達、さらに大きく突き抜ける形に。ほぼ水平状態の90日移動平均線(3182)を上回る水準を維持できれば中期的にも徐々に強気相場状態にも。4月高値から6月安値までの61.8%戻し(3296)から3300円付近までが次の目標水準として意識されやすくなるとともに急反落警戒感も。
※参考:金プラチナ国内価格7/25とチャート
- 2019年7月25日(木)時点の相場
-
国内金 : 5,298 円 7/25(木) ▲28(0.53%) 国内プラチナ : 3,261 円 7/25(木) ▲73(2.29%) NY金 : 1,423.6 ドル 7/24(水) ▲1.9(0.13%) NYプラチナ : 881.1 ドル 7/24(水) ▲19.5(2.26%) ドル円 : 108.14 円 7/24(水) ▼0.09(0.08%)
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