金プラチナ短期相場観

金プラチナ短期相場観

インフレ低下リスクは予想以上、「一時的」から方向転換

更新日:2019年7月11日(木)

コアCPI・PPI・PCE 2019年5月5月までのコアPCE、コアCPIの推移を見る限り、明らかに昨年半ばからは減速傾向が続いている状態にもかかわらず、「低インフレは一時的」との見方を続けてきたFRB。
ここにきてようやく方向転換。「インフレ低下リスクは予想以上に根強い可能性」があることを認め、7月末FOMCで「必要に応じて行動する」と方針転換、そして利下げを示唆。

経済活動の持続的拡大やインフレ率2%に向けての見通しに不確実性が高まっていることから「忍耐強く」いるよりも「適切に行動」する方針を示した6月FOMCの後、6月雇用統計の好結果を受けても、その見通しに変わりがないこともパウエルFRB議長は明言。
雇用者数の伸びは力強さを示したものの、賃金上昇率はインフレ押し上げに貢献するほどではなく、「インフレは依然として低すぎる」との発言も。

さらに、6月FOMC議事要旨では、インフレ目標2%を下回り続けている物価を押し上げるために早期利下げが必要とするメンバーが複数いたことも分かり、経済の下振れリスクが「著しく高まった」ことには全てのメンバーが「総じて同意」したことも判明。

FRBの基本姿勢が極めてハト派寄りを維持していることがわかり、雇用統計後に29%から3%へと急縮小した0.50%利下げの織り込み度は、再び雇用統計前の水準へと急拡大。
今晩には6月CPI、明日には6月PPIが発表され、いずれもコア指数は伸び悩みか鈍化が予想され、ほぼ予想通りとなれば、FOMC1日めの30日に発表されるPCEでも2%を大きく下回る水準での低迷継続が予想され、少なくとも0.25%利下げを後押しすることになりそうです。

NY金・日足チャート 2019/6/5 - 7/1010日のNY金相場は+12ドル、0.86%の続伸で1週間ぶり高値水準。時間外には1400ドルの大台を割れて一時1390ドル付近まで軟調推移。NY朝にはパウエルFRB議長の議会証言原稿が伝えられ、7月利下げ示唆と受け止められてドル安・金利低下と株高・金高の流れが急進。NY金は1400ドルの大台を超えて1410ドル超へと水準を切り上げ、議会証言と質疑応答では雇用統計の好結果による見通し変更がないことも示されて一段高、NY引け後のFOMC議事要旨では利下げ根拠も再確認、今朝の時間外では1420ドル台で高止まり。
調整局面を早めに、浅めに切り上げる可能性を示す形となり、高値保ち合い下限を1400ドルに切り上げ、1420ドル台までのレンジで上値トライ再開をうかがう状況にも。この週末に発表されるインフレ指標が予想以上に低調となるなどすれば利下げ観測はさらに拡大、高値更新トライとなれば上値目標は1450ドル前後まで。

NYプラチナ・日足チャート 2019/6/5 - 7/10NYプラチナは+14.9ドル、1.83%の大幅反発。時間外には810ドルから820ドルまでの小幅保ち合いレンジ内、下半分での揉み合い推移からロンドン時間には上半分へと小幅に上昇、NY朝にはパウエル議会証言での金高・株高の流れに追随する展開となって820ドルの節目を突破すると830ドルまで急騰。結果的に20日移動平均線(816.1)にサポートされて上値トライ再開、NY引け後にも830ドル台を維持し、7月高値850ドルを上値目標に堅調推移継続へ。なお、目先の確率は低めながら20日線を割れた場合には形成逆転で下値トライへ、今年最安値780ドル近辺が下値目安に。

ドル円・日足チャート 2019/6/6 - 7/10ドル円は50銭弱のドル安円高となって5日ぶりの反落。パウエル議会証言とFOMC議事要旨を経て利下げ観測がさらに緩和されることはなく、逆に雇用統計効果が剥落することになって流れは逆流。109円ちょうど付近で上値を押さえられた状態から108円半ばへと急落すると、その後も上値は重く108円台前半へ。今朝の東京市場でもジリ安の展開で108円10銭割れ。
109円ラインが突破できず、110円台を目指す流れは腰折れ、これが目先の抵抗水準に切り替わる形となり、107円80銭台のサポート水準までのレンジで保ち合い形成へ。サポートを割り込むようだと円高の流れはさらに強まり、106円割れを試すような展開にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/10終値とチャート

11日の国内金価格は+74円、1.42%の大幅高で3日続伸。7月3日につけた今年高値5281円を上回り、2015年1月23日に記録した近年最高値5298円も上抜け。1980年を除く近年最高値を更新。調整の流れは利下げ観測再拡大によって切り返す形となり、予想外に上値トライ再開。5200円を下値サポートに当面の上値目標水準は5380円辺りまで。ボラティリティの高まりから急反落の展開も警戒され、5200円を割り込んだ場合には5090円前後までの急落も。

プラチナ価格は+54円、1.78%の大幅反発。6月18日の今年安値2970円から下値を切り上げてきたサポートラインに支えられての反発からの一段高となり、上値トライ再開に向けた流れへ。当面の抵抗水準となる3130円の節目を突破することができれば次の上値目標は3200円まで。
※参考:金プラチナ国内価格7/11とチャート

2019年7月11日(木)時点の相場
国内金5,300 円 7/11(木) ▲74(1.42%)
国内プラチナ3,085 円 7/11(木) ▲54(1.78%)
NY金1,412.5 ドル 7/10(水) ▲12.0(0.86%)
NYプラチナ830.0 ドル 7/10(水) ▲14.9(1.83%)
ドル円108.39 円 7/10(水) ▼0.47(0.43%)

7/10(水)のその他主要マーケット指標

6月コアCPIは5カ月ぶり高水準、物価低迷とFRBハト化に待った? 7/12(金)

インフレ低下リスクは予想以上、「一時的」から方向転換 7/11(木)

5月求人件数は3カ月ぶり低水準、過去最大更新は半年間なし 7/10(水)

街角景気悪化で円高地合いも進行中? 7/9(火)

0.5%は急低下、それでも利下げ織り込み100%が支える金価格 7/8(月)


短期相場観~よく読まれた記事一覧

明日の国内金プラチナ相場価格リアルタイム予想

PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン

PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン


RSS金プラ短期相場観 RSSリーダーで金プラチナ短期相場観を購読


ページの先頭へ