金プラチナ短期相場観
米3-4月経済指標も突然、急激に縮小
更新日:2020年4月16日(木)
米FRBは15日公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)で、米国経済は過去数週間で急激な悪化局面に入ったことを指摘し、新型コロナウイルスの封じ込めに向けた措置によって経済活動が「突然、急激に縮小した」としています。
この日発表された米経済指標も、かなり悪化することは予想されたことながら、その悪化度合いは予想を上回る、史上最悪レベルが続出しました。
米商務省が発表した3月の小売売上高は前月比-8.7%。市場予想の-8.0%を下回り、2月の-0.4%からも急低下、調査開始の1992年以降で最大の落ち込みとなりました。
ネット販売が前月比+3.1%となった以外はほぼ2桁減の全滅状態。電気製品が-15.1%、ガソリンは-17.2%、自動車関連は-25.6%、衣料品に至っては-50.5%と惨憺たる結果。
米国内でウイルス感染状況が最悪となっているNY州を管轄するNY連銀の4月製造業景況指数は-78.2。市場予想の-35.0の倍以上の落ち込みとなり、3月の-21.5からも一段と急低下。これまでの過去最悪となっていたリーマンショック後、2009年2月の-34.3の2倍以上のマイナス幅。
構成指数でも新規受注、出荷、雇用、平均労働時間などが過去最悪の結果。そのなかで、半年後の見通しを示す期待指数は11年ぶり低水準となった3月の1.2から4月7.0へと上昇。半年後には経済状況が回復に向かっているだろう、との思惑も見え隠れ。しかし、全く見通しの立たない現時点ではこの指数の示す意味は余りなさそう。
FRBが発表した3月の鉱工業生産指数は前月比-5.4%。市場予想の-4.0%を下回り、リーマンショック後の最低値、2008年9月の-4.3%も下回り、1946年1月以来、74年ぶりの大幅な落ち込みとなりました。
なお、設備稼働率は2月の77.0%から3月は72.7%へと急低下、2010年4月(72.3)以来、ほぼ10年ぶり低水準となっています。
また、住宅市場の景況感を示すNAHB住宅市場指数は4月に30ポイントとなり、市場予想の55を大幅に下回り、3月の72からも急低下。
指数としては2012年6月以来、7年10ヵ月ぶりの低水準。前年同月比では-33ポイントとなり、2006年10月以来、13年半ぶりの急激な落ち込み。
低金利を背景に好調が続いていた米住宅市場も例外ではなく、突如、不況に陥りました。
米国の3月から4月にかけての経済指標も「突然、急激に縮小」しました。
15日のNY金相場は-28.7ドル、1.62%の大幅安となって5日ぶりの反落。7年半ぶり高値で1790ドル手前まで上昇した前日NY午前で短期的にはいったんピークアウト。利益確定売りの流れが続いたこの日の安値では一時1730ドル付近まで、60ドル弱の大幅調整。ドル高の流れが続いた欧州時間に安値をつけた後、NY朝には一連の米4月経済指標大幅悪化を受けてのリスク回避の株安に対して反発も1750ドル半ばまで。NY引けにかけても軟調な流れは変わらず1740ドル付近へ。3月安値からの上昇幅の23.6%戻し(1709.1)、3月高値(1704.3)辺りまでは格好の調整目安、かつサポート候補にも。
NYプラチナは-15.1ドル、1.84%の大幅安で4日ぶりの反落。アジア時間に一時830ドルまで反発した後は、金の調整に連れる展開となってNY朝には一時800ドル割れ。NY市場での高値も810ドル台半ばまでと限定的、NY引け後には800ドルの大台維持をかけた攻防状態にも。今年高値から安値までの61.8%戻し(861.5)には届かず、半値戻し(804.4)付近で落ち着いた状態に。大台維持に失敗するようだと38.2%戻し(747.2)付近、3日前までの保ち合い水準が意識され、逆に820ドル超へと切り返すことができれば840ドル近辺までの上値再トライの展開にも。
ドル円は25銭、0.23%のドル高円安となって5日ぶりの反発。前日までのドル安の流れが巻き戻され、しかしリスク回避のドル高・円高の流れにもなり、ドル円ではドル高が勝る展開に。下方向への節目107円での攻防が続いた東京時間に下げ渋ると、欧州時間からは反発基調へ。107円台半ばを回復してNY朝には米4月指標の結果を受けてリスク回避のドル高急進となって一時107円80銭台まで上昇。しかし、円高とのせめぎ合いという面もあり、短時間で元の水準へと逆戻り、107円台半ばでの保ち合いの展開に。今朝の東京市場では株安の流れのなかでも再びドル買いの流れで107円70銭台へ。107円ラインでの底堅さを確認しての反発基調も200日移動平均線(108.32)が目先の抵抗水準にも。107円を割り込んだ場合には一段安の展開となって105円割れを目指すような流れとなる可能性も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場4/15終値とチャート
16日の国内金価格は+6円、0.09%の小反発。過去最高値からの調整もそこそこに高止まり状態となって過去2番めの高値水準。NY金が高値圏で振れ幅が大きくなる状態にあり、価格急変動リスクも高まる状態は継続。高値再更新へと向かえば6500円の大台突破の可能性も高まる反面、急騰中ながらも乖離幅を残す9日移動平均線(6346)辺りまでの調整は入りやすく、3月安値からの上げ幅の23.6%戻し(6270)なども調整の目安、かつサポート候補に。
プラチナ価格は-10円、0.34%安となって5日ぶりの反落。大幅高となって少し行き過ぎたところから直近の上値目標2920円近辺まで戻してきた状態に。短期的な流れとしては上昇軌道に転じた9日移動平均線(2853)の下で21日移動平均線(2768)も底打ち、反転の流れへと切り替わりつつあり、徐々に地合い改善の様子に対して失速状態のNYプラチナが重石にも。
※参考:金プラチナ国内価格4/16とチャート
- 2020年4月16日(木)時点の相場
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国内金 : 6,454 円 4/16(木) ▲6(0.09%) 国内プラチナ : 2,926 円 4/16(木) ▼10(0.34%) NY金 : 1,740.2 ドル 4/15(水) ▼28.7(1.62%) NYプラチナ : 804.6 ドル 4/15(水) ▼15.1(1.84%) ドル円 : 107.43 円 4/15(水) ▲0.25(0.23%)
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