金プラチナ短期相場観

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期待先行のインフレ伸び悩み、2月コアCPIは8ヵ月ぶり低水準

更新日:2021年3月11日(木)

米CPI 詳細項目 2021年2月米労働省が発表した2月の消費者物価指数(CPI)は前年比+1.68%。ほぼ市場予想どおりで3ヵ月続伸、昨年2月(2.33)以来1年ぶりの高水準。NY原油が月間平均で59.08ドルとなり、2019年12月(59.81)以来1年2ヵ月ぶり高水準となったことで押し上げられた格好にはなりましたが、コロナ前の水準からは大きく下方乖離のまま。
食品とエネルギー関連を除くコアCPIは前年比+1.28%。市場予想の+1.4%を下回り、1月の+1.41%からも低下、3ヵ月続落となって昨年6月(1.19)以来、8ヵ月ぶりの低水準。
期待先行状態となっていたインフレ加速懸念を裏切る結果となりました。

詳細項目別に見ると、ウェイト2.99%を占めるガソリン価格が前年比+1.5%と1年ぶりにプラス圏回復となって総合CPIを牽引しましたが、航空運賃は前年比-25.6%となって3ヵ月続落で6月(-27.2)以来8ヵ月ぶり低水準。
健康保険は前年比+1.0%となり、1月の+2.9%から急低下。12ヵ月続落で2018年9月(1.0)以来、2年5ヵ月ぶりの低水準となっています。
また、ウェイト7.84%を占める賃貸住宅価格は前年比+2.0%。コロナ前の3%台後半からコンスタントに低下し続けています。

なお昨年3-4月は多くの項目が急低下した時期となったことから、次月のCPIは前年比で急騰する可能性もありそうですが、FRBの見通しどおりにインフレ上昇は一時的にとどまる可能性が高そうです。
インフレ期待上昇に伴う波乱の展開も、この春を乗り切れば、少し落ち着くかもしれません。

NY金・日足チャート 2021/2/3 - 3/1010日のNY金相場は+4.9ドル、0.29%の続伸。長期金利の調整安とドル安の流れを受けて急騰した前日の流れ一服となって時間外は調整。前日NY朝につけた高値1720ドル手前からの軟調推移でロンドン時間につけた安値は1705.6ドル。1700ドルの大台を割り込まなかったことが今後の流れを左右するポイントとなる可能性も。下げ止まった5日移動平均線(1703.2)にもサポートされて反発する形となり、NY朝には米2月コアCPIが予想を下回ったことを受けてインフレ加速への警戒感が緩和(=米金融政策正常化前倒し懸念の後退)されて長期金利が急落、ドル安・株高の流れとともに1720ドル超へと急騰。その後のNY市場では1710ドル台で揉み合いながらもNY午後にかけてはドル安にサポートされて再び1720ドル台へと堅調推移、引け後には1725ドルまで上昇。目先、上方向への節目1730ドル台を上抜けできれば短期トレンド好転へ、2月半ば安値1760ドル近辺が上値目標に。下方向には1700ドルの大台から5日線がサポート候補。

NYプラチナ・日足チャート 2021/2/3 - 3/10NYプラチナは+26.4ドル、2.25%高となって3日連続2%以上の続伸。しかし、今年のプラチナの平均騰落率は絶対値で2.08%。平均レベルの上昇がたまたま3日続いただけ。ちなみに昨年の平均は1.96%。金に追随する形で同じような展開ながら、ダウやドイツDAXの最高値更新など株高の流れに牽引される形でNY市場で上げ幅を拡大。時間外の調整は1155ドルまで、5日移動平均線(1158.6)にもサポートされて反発するとNY朝の1160ドル台からNY午後には一時1210ドルまで、50ドル弱の急騰。1210ドル台の節目でいったん上値を押さえられた形となり、NY引け後には1200ドル維持をかけた攻防にも。目先、大台を維持して1210ドル台の節目を突破できれば一段高へ、今年高値圏での保ち合い下限となる1240ドル近辺が上値目標に。

ドル円・日足チャート 2021/2/4 - 3/10ドル円は11銭のドル安円高、0.1%の小幅続落。東京時間には五十日の買いもあってか堅調推移、午後には一時108円90銭台まで上昇も上値再トライはここまで。欧州時間にかけてはユーロドルの買い戻しの流れに押される形でドル安へ、それでも108円60銭台では下げ渋ってNY朝には80銭台へと反発。しかし米2月CPIの伸び悩みを受けての米長期金利の急反落に連れてドル安急進。ユーロドル急騰とともにドル円は108円30銭台まで50銭ほどの急落。ただし右肩上がりの5日移動平均線(108.44)にもサポートされると今朝の東京市場では50銭台へ。5日線を割れるようならもう一段の調整へも、ただし今晩のECB理事会後のラガルド総裁会見ではユーロ高牽制によるユーロ安も警戒され、相対的にドル高サポートとなる可能性も。次週FOMCまでは108円台後半を主要レンジに保ち合いの展開にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/10終値とチャート

11日の国内金価格は+23円、0.35%の続伸で2月26日(6604)以来、2週間ぶりの高値。今年安値圏での保ち合いを抜け出し、調整局面一服となって短期的には一定の戻り局面形成への流れが進行。短期上値目標6580円前後まで、もう少しの上昇余地。NY金が一段高へと向かうようなら追随も、年初の急落以降の抵抗線となってきた21日移動平均線(6599)は中期的に重要な攻防ライン、その上には逆三尊からの上値目標6611円。

プラチナ価格は+77円、1.74%高で4日続伸。2月25日(4673)以来、2週間ぶりの高値。直近高値となっていた3月3日の4484円を超え、上昇基調を維持する21日移動平均線(4504)もわずかながら上抜け。もう一段の反発局面継続への可能性も高まり、短期上値目標は4550円近辺から、2月高値から3月安値の61.8%戻し(4572)辺りまで。NYプラチナの反発基調失速とならないことが前提。
※参考:金プラチナ国内価格3/11とチャート

2021年3月11日(木)時点の相場
国内金6,566 円 3/11(木) ▲23(0.35%)
国内プラチナ4,507 円 3/11(木) ▲77(1.74%)
NY金1,721.8 ドル 3/10(水) ▲4.9(0.29%)
NYプラチナ1,201.8 ドル 3/10(水) ▲26.4(2.25%)
ドル円108.41 円 3/10(水) ▼0.11(0.10%)

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