金プラチナ短期相場観

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FRBは米銀資本規制の特例「SLR」を延長せず、米長期金利急騰

更新日:2021年3月20日(土)

NY金×米10年債利回り 2021年3月19日FRBはこの日、大手米銀の自己資本比率に影響する「補完的レバレッジ比率(SLR)」の特例措置を延長せず、予定通り3月末で終了することを発表。
これを受けて1.7%割れへと失速していた米10年債利回りは一時1.74%台へと急騰、リスク回避ムードも相まってドル高急進、ダウは一時300ドル超の急落など株安の流れに。金にも売り圧力となりました。

「補完的レバレッジ比率(SLR)」はリーマンショック後に大手銀行を対象に導入された自己資本規制の1つ。
FRBは昨年4月、コロナショック後の経済対策の一環として、銀行が保有する米国債やFRBに預ける準備預金を自己資本算出の為の分母としての要素から外す緩和策を決定。今年3月末までの時限措置としていました。
この影響で米銀は米国債を購入しやすくなっていたのが、期限切れで緩和策解除となれば米国債売却につながり、結果的に米長期金利上昇を誘発するのでは?との懸念がありました。
既に米長期金利急騰への警戒感が高まり始める現状、長期金利急騰と株価急落を回避する為にもSLR延長との予想もありましたが、結果は予定どおり打ち切り。
FRBは長期金利上昇抑制による株式市場の過熱よりも、長期金利上昇による株式市場のバブル抑制を選択したようです。

足下では米10年債利回りとNY金との逆相関は強まる傾向が続き、90日相関係数は-0.83台まで下落中。
年初から上昇基調が続く米10年債利回りはこの日1.72%台まで上昇し、昨年1月23日以来1年2ヵ月ぶりの高水準に到達。いっぽうのNY金は3月8日にコツンと底打ちした可能性も残して反発局面を形成中。

NY金が調整局面に入った昨年8月以降、同じような局面が大小多数、繰り返されてきました。概ね連動(逆相関)する流れのなかで、しばしばNY金は急落局面を形成して米10年債利回りの上昇基調が追随し切れない場面が生じましたが、その度にNY金は反発局面を形成して米10年債利回りとの連動性を保つような補正の動きに。しかし、その反発は米10年債利回り上昇の勢によって阻止されて戻り売りの展開へ。
今回も同じパターンが繰り返されるのか、警戒感も高まります。

NY金・日足チャート 2021/2/12 - 3/1919日のNY金相場は+9.2ドル、0.53%の続伸。終値ベースでは3月2日(1733.6)を上回り、20日移動平均線(1735.4)も上抜けて2月25日(1775.4)以来、3週間ぶりの高値。終値で20日線を上回るのは年初1月7日以来、2ヵ月半ぶりで今年5日め。前日安値1720ドル割れからの反発基調が続き、時間外には一時的に1730ドルを割れて反発するとロンドン時間にかけて節目の1730ドル台を上抜け。NY朝にはFRBによる「補完的レバレッジ比率(SLR)」の特例措置終了を受けての米長期金利急騰、ドル高の流れに押されて1730ドル付近まで反落も一時的となり、NY午後には1740ドル台を回復。小幅に水準を切り上げて1730ドル台の節目を上抜けたことから、目先は1760ドル近辺の上値目標再トライへ。
週間ベースでは+21.9ドル、1.27%の続伸。続伸は今年初で12月半ば以来、3ヵ月ぶり。上げ幅は1月18日からの週(+26.3ドル、1.44%)以来8週ぶりで今年2番めの大幅高。

NYプラチナ・日足チャート 2021/2/12 - 3/19NYプラチナは-17.4ドル、1.43%の反落。小幅保ち合い上限、強めの抵抗水準にもなってきた1220ドル近辺で上値を押さえられて時間外から軟調推移。NY朝の米長期金利急騰と株安・金安局面では保ち合い下限1190ドル台の節目も割り込んで一時1170ドル付近まで急落。NY午後には1200ドルを回復も引けにかけては1190ドル台の保ち合い下限との攻防状態へ。上値も下値も微妙に切り下げる形となって戻り売り優勢の状況でもなんとか耐える展開。目先は1190ドル台の節目を維持できなくなれば下値再トライで1150ドル近辺までが短期下値目安に。1220ドル超へと切り返すことができれば1260ドル台を上値目標に今年高値圏再トライへの可能性も。
週間ベースでは-0.2ドル、0.02%の小反落。

ドル円・日足チャート 2021/2/15 - 3/19ドル円はわずかに5銭のドル安円高、0.05%の小幅反落。東京時間には保ち合い上限付近109円10銭台では上値が重く、日銀待ちの警戒感から円高の流れが進行。昼過ぎになって発表された政策調整内容が事前報道どおりの内容だった安心感で108円90銭から109円10銭まで小幅に急騰、しかしこれも一時的となって円高ドル安の流れは欧州時間にかけて続き、108円60銭まで下落。NY朝にはFRBの米銀への規制緩和特例措置終了発表を受けての長期金利急騰とドル高の流れで109円台へと反発。しかし、この流れも続かずNY午後にかけては振れ幅を縮小する形で108円90銭付近に収束。日足レベルではドル高の流れ一服となって109円をはさんでの小幅保ち合いが続き、ピークアウトの様相にも。保ち合い下限となる108円40銭を割れるようだと108円割れへと調整の展開へ。
週間ベースでは-16銭、0.15%のドル安円高となって5週ぶりの反落。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/19終値とチャート

2021年3月20日(土)時点の相場
国内金6,628 円 3/19(金) ▼51(0.76%)
国内プラチナ4,580 円 3/19(金) ▼56(1.21%)
NY金1,741.7 ドル 3/19(金) ▲9.2(0.53%)
NYプラチナ1,200.1 ドル 3/19(金) ▼17.4(1.43%)
ドル円108.88 円 3/19(金) ▼0.05(0.05%)

3/19(金)のその他主要マーケット指標

国内金価格は最高値からのレジスタンスラインとの攻防へ 3/22(月)

FRBは米銀資本規制の特例「SLR」を延長せず、米長期金利急騰 3/20(土)

フィラデルフィア連銀製造業景況指数も3月は急騰 3/19(金)

2023年までのゼロ金利維持見通しで株高・金高・ドル安円安 3/18(木)

小売売上高も鉱工業生産も2月は低調、前年比での小売は好調 3/17(水)


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