金プラチナ短期相場観
2023年までのゼロ金利維持見通しで株高・金高・ドル安円安
更新日:2021年3月18日(木)
FOMCでの経済見通しはタカ派的。今年のGDP見通し中央値は12月の4.2%から6.5%へと大幅上方修正。2022年も3.2%から3.3%へ、2023年は2.4%から引き下げも潜在成長率を上回る2.2%。
2021年末の失業率見通しは前回の5.0%から4.5%へと大幅下方修正。2022年も4.2%から3.9%へ、2023年も3.7%から3.5%へ。長期見通しも4.1%から4.0%へ。労働参加率が低い為に失業率も低めとなってしまう傾向があるとはいえ、労働市場の回復基調加速を予想するメンバは増加。
インフレ見通しも今年2.4%まで上昇、コアPCEも2.2%まで上昇予想。2022年には2.0%へと減速し、2023年には2.1%へ。GDP急騰と失業率急低下となってもインフレ抑制は可能、との見方。
インフレが抑制されれば利上げの必要性も前倒しの可能性は低い、との見方がFF金利予想ドットチャートに反映され、2022年の利上げ予想は18名中4名(0.25%利上げ3名、0.5%利上げ1名)。なお前回12月のドットチャートでは17名中1名(0.5%利上げ)。
2023年の利上げ予想は前回の5名から今回は7名。中央値では2023年まで0.125%でゼロ金利維持は前回から変わらずも、平均値では2022年が0.14%から0.194%へ、2023年は0.257%から0.403%へといずれも上昇。
ワクチン効果などもあって今後さらに回復基調が加速することも想定され、インフレ加速も警戒されるものの利上げ予想メンバがそれほど多くはなかったこと、パウエルFRB議長がテーパリングの協議も時期尚早とのスタンスを維持したことなどから、市場は緩和スタンス継続を好感しての株高と金高、リスク選好の株高と円安、ドル安の反応となりました。
この先、春にかけて回復基調加速となれば次回以降のFOMCではさらなるタカ派台頭も予想され、2023年までのゼロ金利見通しとテーパリング観測先送りにも変化が見られ始める可能性もありそうです。
17日のNY金相場は-3.8ドル、0.22%の小幅安で3日ぶりの反落。時間外は1730ドル台半ばへと小幅上昇後、ロンドン・NY朝にかけてはFOMCへの警戒感から軟調推移となって安値では1722ドルまで下落。しかしNY引け後のFOMC結果、見通しなどの公表を受けて急騰、一時3月1日(1757.4)以来半月ぶり高値となる1750ドルまで上昇。ハト派姿勢を貫くパウエルFRB議長会見を経て時間外も1740ドル台を維持。1730ドルの節目割れへと急反落することがない限り、上値目標1760ドル近辺までもう少しの上昇余地も。1月半ば以降の抵抗線となってきた20日移動平均線(1739.3)超えも維持することになれば、徐々に短中期地合い回復へ。
NYプラチナは-19.8ドル、1.62%安となって3日ぶりの反落。前日の短期上値目標1240ドル近辺到達後の急反落の流れを受けて時間外から軟調気味の推移となり、NY朝にかけての調整加速局面では1210ドル付近から一時1190ドル割れへ。その後は1200ドルをはさんでの保ち合い推移となって下げ渋り、NY引け後にはFOMC結果を受けての金の急騰に追随、1220ドル台前半まで上昇もその後は1220ドルとの攻防状態にも。目先、1220ドルが上限ラインとなって保ち合い形成の様相にも。下値サポート候補は1200ドルの大台から1180ドルまで。上抜けできれば今年高値保ち合い下限付近、1260ドル付近を目標に一段高の展開にも。
ドル円は20銭のドル安円高、0.18%の続落。FOMCでのタカ派見通しを織り込むように欧州時間から米10年債利回り上昇の流れに連れて堅調気味の推移となり、NY時間には今月高値圏109円30銭台まで上昇。期待はずれとなったFOMCの結果を受けて1.68%まで上昇していた米10年債利回りは1.62%台へと急反落、ドル安も急進となって108円70銭台まで急落。市場とFRBとの思惑のズレからドル高の流れはいったん頭打ちとなった格好にも。目先、109円10銭台が上限となり、108円40銭までのレンジで保ち合い形成の様相にも。あらためて上値トライへと向かうようなら110円付近までが上値目標にも。保ち合い下放れとなれば108円割れへ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/17終値とチャート
18日の国内金価格は+53円、0.8%の反発で2月25日(6718)以来、3週間ぶりの高値。FOMCでの経済見通しなどはタカ派寄りとも見られるものの、利上げ予想メンバの増加がそれほどでもない、との見方が優勢となったか、もしくはハト派姿勢を貫くパウエルFRB議長を信頼してか、株価ほどではないにしろ堅調な反応に。米10年債利回りの下げ渋り、ドル円の下げ渋りなどから、さらに買われて一段高へという展開も想定し難いところ。年初の高値(7016)から3月安値(6413)の38.2%戻し(6643)を達成したことから反発基調一服も。
プラチナ価格は+27円、0.59%の反発で2月25日(4673)以来、3週間ぶりの高値。予想に反しての反発、NYプラチナも一段高をうかがうような兆しも見られ、短期トレンドも好転方向へ。水準的には今年高値圏が再び意識されそうな状況にもなり、高値再トライへと向かうには一定の調整も必要に。目先、上方向には今年高値保ち合い下限となる4670円前後も意識され、下値サポート候補は4600円から4500円。
※参考:金プラチナ国内価格3/18とチャート
- 2021年3月18日(木)時点の相場
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国内金 : 6,679 円 3/18(木) ▲53(0.80%) 国内プラチナ : 4,636 円 3/18(木) ▲27(0.59%) NY金 : 1,727.1 ドル 3/17(水) ▼3.8(0.22%) NYプラチナ : 1,199.3 ドル 3/17(水) ▼19.8(1.62%) ドル円 : 108.81 円 3/17(水) ▼0.20(0.18%)
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