金プラチナ短期相場観
失業保険継続受給は7週連続減も新規申請は下げ渋り
更新日:2021年3月5日(金)
米労働省が発表した2月20日までの週の失業保険継続受給者数は429.5万人となり、コロナ後の回復局面では最小。コロナ以前の過去最大だった663.5万人を下回ってからも順調に減少し続ける状態。昨年秋以降、減少ペースは鈍化してはいるものの、今年に入ってからは1月9日までの週以降、7週連続の減少となっています。
しかし、新規失業保険申請件数のほうは下げ渋り。2月27日までの週の新規申請件数は74.5万件となり、上方修正された前週の73.6万件からは増加。
それ以前の80万件台が続いた時期と比較すれば減少してはいるものの、コロナ後の回復フェーズで最少となった11月初旬の71.1万件は4ヵ月経った今も下回ることができません。
いわんやコロナ以前の過去最大、69.5万件も。
下げ渋る新規失業保険申請件数に対して、景気回復とインフレ上昇、テーパリングに利上げまで、せっかちに織り込み始める市場では、長期金利の上昇が止まらず、市場の警戒感も高まります。パウエルFRB議長と市場との思惑には溝があるようで、波乱相場となってきた状態で迎える雇用統計にも要注意かもしれません。
4日のNY金相場は-15.1ドル、0.88%の続落。昨年6月5日(1683.0)以来、9ヵ月ぶりの安値。1720ドルの節目割れに伴う下値目安1700ドル付近到達後の一服となり、時間外には1710ドルをはさんでの小幅保ち合い推移、しかしNY市場ではパウエルFRB議長発言を受けて1700ドル割れ。パウエル議長の「金融環境を注視し、無秩序な市場環境は懸念材料」とのもっともらしい発言に対して、長期金利抑制対応などの具体的言及がなかったことへの失望感からか債券売りが急進。米10年債利回りは昨年2月以来1年ぶりとなる1.56%台へと急騰、米株は急落でナスダックは3日続落となって年初来マイナス圏入り、為替はドル全面高となってドルインデックスは3ヵ月ぶり高値へと急騰。この流れを受けてNY金は一時1687.6ドルまで下落。一度は1700ドルの大台回復もNY引け後にかけては1690ドル付近へ。雇用統計前に波乱状態となり、好結果となればこの日の流れ再現のような展開にも。現状、昨年3月安値から8月最高値の61.8%戻し(1694.7)付近に位置し、いったんは下げ渋る展開も予想されるものの、極端な展開が再現されるようだとさらなる下値警戒感も。サポート候補としては7月急騰前の保ち合い安値圏、6月安値1670ドル付近。
NYプラチナは-46.5ドル、3.93%の大幅続落。1月8日(-53.3ドル、4.74%)以来2ヵ月ぶりで今年2番めの急落となり、2月5日(1133.0)以来、1ヵ月ぶりの安値水準に。1180ドル台の節目割れに伴う下値目安1160ドル近辺に到達後の一服状態も束の間、時間外には1150ドルまで下げて反発。NY朝には1180ドルまで戻すも、パウエル発言を受けての波乱相場に巻き込まれる形での急反落で1120ドルへ。昨年9月安値から2月高値の38.2%戻し(1146.9)はほぼ素通り状態となり、次なるサポート候補としては半値戻し(1084.8)から1100ドルの大台ライン辺り。
ドル円は96銭のドル高円安、0.9%の大幅続伸。東京・欧州時間にかけてはゆるやかなドル高円安基調が続いて107円半ばへ、NY時間にはパウエルFRB議長発言を受けての長期金利急騰、株価急落のリスクオフ相場となってのドル高急進でドル円は107円90銭台へと急騰。今朝の東京市場では108円にもワンタッチ。日足レベルでは年初来の上昇チャネル上限ラインを突き抜ける形となり、やや過熱感も高まる状態に。雇用統計後にさらなる行き過ぎとなれば、昨年3月高値から年初の安値までの61.8%戻しとなる108円20銭台辺りまでが上値目安に。調整目安としては上昇チャネル圏内となる50%戻し、107円10銭台近辺。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/4終値とチャート
5日の国内金価格は-26円、0.4%の続落。昨年5月12日(6411)以来、ほぼ10ヵ月ぶりの安値。債券市場を取り巻く波乱相場は続き、リスクオフのドル独歩高で軟調推移を余儀なくされる状態。6470円の節目割れに伴う下値目安、昨年3月安値から8月最高値までの61.8%戻し(6423)近辺をしっかりクリアし、右肩下がりの90日、21日、9日移動平均線(6552)が上から順にきれいに並ぶ弱気のパーフェクトオーダーも継続。雇用統計後にまた荒れるようだと一段安の展開も想定され、次なる下値サポート候補としては昨年5月安値6300円。
週間ベースでは-191円、2.89%の大幅反落。1月第2週(-243円、3.48%)以来2ヵ月ぶり、今年2番めの急落。
プラチナ価格は-138円、3.18%の大幅続落。連日の3%超で今年3番めの下落率となり、2月8日(4142)以来ほぼ1ヵ月ぶりの安値。RSIは8営業日前の83.7から前日の53.2を経て39.0まで急低下。中期的な値幅分析上では軽めの調整とも言える、昨年3月安値から今年2月高値までの23.6%戻し(4237)を達成してさらに一段安。それでも2月前半の急騰局面の全戻しには至らず、さらなる下値サポート候補としては、ほぼ全戻しとなる2月初旬の安値4013円近辺。
週間ベースでは-296円、6.57%の大幅続落。昨年9月21日からの週(-298円、8.61%)以来、5ヵ月ぶりの急落。
※参考:金プラチナ国内価格3/5とチャート
- 2021年3月5日(金)時点の相場
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国内金 : 6,413 円 3/5(金) ▼26(0.40%) 国内プラチナ : 4,207 円 3/5(金) ▼138(3.18%) NY金 : 1,700.7 ドル 3/4(木) ▼15.1(0.88%) NYプラチナ : 1,135.3 ドル 3/4(木) ▼46.5(3.93%) ドル円 : 107.96 円 3/4(木) ▲0.96(0.90%)
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