金プラチナ短期相場観
ダラス連銀製造業活動指数も3月は急騰、2年7ヵ月ぶり高水準
更新日:2021年3月30日(火)
ダラス連銀製造業活動指数は3月に28.9。市場予想の14.5を大幅に上回り、2月の17.2からも急騰。2018年8月(29.9)以来、2年7ヵ月ぶりの高水準。NY原油価格が月間平均で3月(29日時点)は62.60ドルとなり、2019年4月(63.87)以来ほぼ2年ぶり高値水準へと急騰しているのに連動する形となり、他の主要地区連銀の製造業景況指数も3月に上昇していることにも連動。(NY:17.4、フィラデルフィア:51.8、リッチモンド:17.0)
3月のISM製造業景況指数も2月に続いて好結果が予想されそうです。
ダラス連銀の構成指数では、生産(48)が調査開始の2004年6月以降で過去最高、設備稼働率(46.1)も過去最高。新規受注(30.5)は2018年6月(31.7)以来、2年9ヵ月ぶり高水準、受注残(24.5)は2005年8月(34.5)以来、15年7ヵ月ぶり高水準、出荷(33.1)も2018年5月(39.6)以来2年10ヵ月ぶりなど、軒並み高水準。
なお、今後の見通しについては2年4ヵ月ぶり高水準となった2月の33.9から3月は33.7とわずかに低下。依然として楽観視する向きが優勢の様子。
また、原材料価格(66.0)が2008年7月(66.1)以来、12年8ヵ月ぶり高水準となり、完成品価格(32.2)も2008年6月(32.4)以来、12年9ヵ月ぶりの高水準。
インフレ加速への警戒感が高まるような指標は、NY連銀やフィラデルフィア連銀でも見られたのも同様です。
ただ、ダラス連銀の価格指数の前回高水準となった時期は、リーマンショック前でもあり、この後急降下局面を迎えました。
29日のNY金相場は-17.7ドル、1.02%の反落で3月8日(1678.0)以来、3週間ぶりの安値。くじらまく相場が崩れて小幅保ち合い下放れ。時間外からドル高優勢の流れに軟調気味の推移となって保ち合い上限1730ドル台から1720ドルの下限方向へとジリ安の展開。米株市場ではアルケゴスショック絡みで野村HDやクレディスイスの多額損失の可能性がリスク要因として警戒された反面、スエズ運河での巨大コンテナ船の座礁解消による運行再開、バイデン米大統領が4月19日までに成人の90%がワクチン対象となると発表したことなども好感され、米10年債利回りが再び1.7%台へと急上昇。NY朝に1720ドルの節目を割れたNY金は急落となって一時1705ドルまで下落。1700ドルの大台手前でいったんは下げ渋る格好にはなったものの、1720ドルの節目割れに伴う下値目安としては今年安値1673.3ドル近辺。米指標の好結果などを材料に長期金利上昇やドル高がさらに進行するようなら一段安へ。確率的には低いと思われるものの、流れ逆転で1730ドル台の節目を上抜けるようだと反発局面形成へ、2月初旬安値圏1790ドル近辺が上値目標にも。
NYプラチナは+6.2ドル、0.53%の続伸。先週末の1190ドル台から1180ドル台へと小幅に水準を切り下げての保ち合いから乱高下気味に上下動。NY朝には1180ドル台の節目を上抜けて急騰、上値目標1200ドル台に到達も、NY金の急落に引っ張られる形で急反落となって一時1170ドル割れ。NY午後には元の水準1180ドル付近に収束も、引け後には1180ドル割れへとやや軟調気味に。目先、上方向には1200ドル台再トライの可能性も残しながら、1150ドルが当面の下値サポート。これを割り込むようだと一段安となって3月安値圏1120ドル近辺までが下値目安に。
ドル円は12銭のドル高円安、0.11%の小幅高で4日続伸。東京朝に前日高値圏109円80銭近辺まで上昇後は軟調推移、野村HDなどの多額損失の可能性報道などを受けて米株先物の軟調推移とともにリスク回避の円高の流れとなって109円30銭台まで下落。しかし欧州時間からはユーロドルの軟調推移にも連れてドル高優勢の展開となって反発基調へ、NY時間には米国のワクチン接種加速などを好感してリスク選好の流れへ。米10年債利回り急上昇にも連れて109円80銭台へとわずかに高値更新、1年ぶり高値水準へ。今朝の東京市場では109円90銭台へと一段高、短期上値目標110円までもう少し。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/29終値とチャート
30日の国内金価格は-68円、1.02%の反落。6570円から6640円台までの短期保ち合いレンジ上限付近で8ヵ月めの下落トレンド脱出を意識したところからの急反落。今度は中期トレンド転換失敗と短期上昇トレンド崩れへの警戒感が急浮上。レンジ下限6570円付近で踏みとどまる格好にはなっているものの、NY金の一段安警戒感がそのまま国内金価格の下値警戒感に。保ち合い下放れとなれば一段安の展開となって6480円近辺までが当面の下値目安となり、中期トレンド転換失敗と短期トレンド崩れに加え、3月の8年連続下落が確定。想定外の展開となって保ち合い上抜けへと切り返すようなら形成逆転へ、6750円辺りまでが上値目標に。
プラチナ価格は-27円、0.6%の反落。4450円台の節目上抜けに伴う上値目標4540円台辺りに対しては前日の4524円まで、少し届かず失速。やや上値の重い状態は続き、サイクル的には調整局面継続の様相。ただし、11月以降の中期上昇トレンドの下値サポートラインとの攻防は継続中。目先、4520円台の直近高値更新へと向かえば4570円程度までが短期上値目安となり、上昇トレンド5ヵ月超に向けて一歩前進。下方向には4400円が当面のサポート、これを割り込むようだと4300円近辺までが下値目安となり、中期上昇トレンド崩れへ。
※参考:金プラチナ国内価格3/30とチャート
- 2021年3月30日(火)時点の相場
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国内金 : 6,576 円 3/30(火) ▼68(1.02%) 国内プラチナ : 4,497 円 3/30(火) ▼27(0.60%) NY金 : 1,714.6 ドル 3/29(月) ▼17.7(1.02%) NYプラチナ : 1,184.1 ドル 3/29(月) ▲6.2(0.53%) ドル円 : 109.79 円 3/29(月) ▲0.12(0.11%)
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