金プラチナ短期相場観
小売売上高も鉱工業生産も2月は低調、前年比での小売は好調
更新日:2021年3月17日(水)
米商務省が発表した2月の小売売上高は前月比-3.0%、自動車を除く数値では-2.7%といずれも市場予想を大幅に下回り、4月以来10ヵ月ぶりの低水準。コロナ後の回復基調では最低の伸び(最大の減少)。寒波の影響ということのようで、その影響度合いが事前には予想しきれなかったことにも。
FRBが発表した2月の鉱工業生産も前月比-2.2%となって市場予想を大幅に下回り、4月以来10ヵ月ぶり低水準。これもコロナ後の回復基調では最低の伸び(最大の減少)に。
これも天候要因が影響とのことで、ここでも市場予想では全くその影響は読みきれなかったことに。
なお、鉱工業生産は前年比で見ると2月は-4.25%。3ヵ月ぶりの低水準となり、前年割れは18ヵ月連続。昨年4月の前年比-16.26%から1月には前年比-1.95%まで回復し、プラス圏回復もようやく見えてきたところで失速。少なくとも4月には前年比プラス圏回復が見込まれるものの、鉱工業生産指数としては2018年12月を最後に2年2ヵ月間過去最高を更新できておらず、まだまだ回復途上、という状況。
これに対しで小売売上高を前年比で見ると、2月は+6.27%。自動車を除いた数字では+5.53%。1月の+9.51%(自動車を除くと+8.21%)からは減速となったものの、昨年春に急激に落ち込んだ3ヵ月を除いて6月以降は前年比プラスの状態が継続中。前年比の3ヵ月移動平均では2月は+6.02%となり、長期平均+4.22%も大きく上回って2012年3月(6.41%)以来、8年11ヵ月ぶりの高水準。
消費大国、米国の小売売上高は前月比で見れば一時的に下振れましたが、前年比で見るといたって好調そのもの、という状況。次月は1400ドルの現金給付を受けてさらに加速することになります。
16日のNY金相場は+1.7ドル、0.1%の小幅続伸で3月2日(1733.6)以来、2週間ぶりの高値。FOMCを控えてこの日も小動き。変動値幅は前日を上回るも16.1ドルにとどまって今年4番め。1730ドルをはさんでの小幅揉み合い状態が続き、NY朝には米2月小売売上高と鉱工業生産も低調となったこともあり米10年債利回りが一時1.6%割れへと低下したことを受けて1740ドルまで上昇。しかし節目の1730ドル台超えは維持できず、米10年債利回り上昇とドル高の流れに押し戻される形で1730ドル割れへと急反落。ただし5日移動平均線(1724.9)にも支えられて1720ドル台半ばでは下値の堅さも確認。あらためて1730ドル台の節目を上抜けると2月安値圏1760ドル近辺が上値目標も、下値警戒感のほうが高まる可能性も。今回のFOMCではパウエルFRB議長の慎重姿勢維持に対してタカ派台頭も警戒され、長期金利上昇とドル高の勢いが強まるようだと軟調な展開へ。1700ドルの大台を維持できない場合には今年安値1670ドル台の攻防へ、いきなり安値更新となる確率は低いと予想されるものの、もしそうなった場合には一段安の展開へ。8月最高値から11月末安値までの値幅322ドル分を今年高値1962.5ドルを起点に下落幅として見た場合の下値水準1640.5ドルが当面の下値目標に。
NYプラチナは+9.6ドル、0.79%の続伸。金に連動しての小動きも比較的に振れ幅は拡大、上方向への節目となる1210ドル台を中心に揉み合いの展開。NY朝の上振れ局面で勢いを増すと、節目上抜けの場合の短期上値目標1240ドル近辺まで急騰。一時的に目標水準に到達すると1210ドル割れへと急反落、しかしこの水準では5日移動平均線(1206.6)にもサポートされて反発、1210ドル台後半に収束して十字線を形成。目先、上方向には1240ドル再トライ、下方向には1200ドル、1180ドルなどがサポート候補。
ドル円は10銭のドル安円高、0.09%の小幅安で4日ぶりの反落。前日高値付近、109円20銭付近を中心に小幅揉み合い推移が続き、NY朝には米10年債利回りの小幅低下に連れるようにやや軟調推移。109円ちょうど付近では下げ渋るも、2月小売売上高に加えて鉱工業生産も低調となったことを受けて108円70銭台まで下落。その後は10年債利回りの反発にも連れて持ち直すも109円ラインにやや抵抗感も。今朝の東京市場では109円台を回復。FOMC後には若干のタカ派観測となれば短期上値目標109円半ばへと一段高の展開にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場3/16終値とチャート
17日の国内金価格は-3円、0.05%安となって6日ぶりの反落。若干の行き過ぎとなった反発基調は1月安値(6625)水準に到達したところで一服。調整幅は限定的となった分、FOMC後に精算させられることにも。金融政策現状維持のFOMCでは経済見通しが上方修正され、FF金利予想ドットチャートでは前回12月の2023年末までのゼロ金利予想(利上げ予想は5/17名)がどれだけバラけるかが注目。NY金が1700ドル割れへと大幅調整となった場合の国内金価格の下値目安としては、6450円近辺まで。それ以上の下げは想定し難いものの、万が一そうなった場合には流れが変わり、6340円辺りを目指す下落トレンド形成へ。
プラチナ価格は-7円、0.15%安で8日ぶりの反落。若干の失速感が暗示していたとおりの調整も極めて限定的。FOMC後は金に追随する展開が想定されるものの、今回に限っては比較的マイルドな展開となる可能性も。下値警戒水準として、NYプラチナが1180ドル程度まで水準を切り下げる展開となった場合には4500円割れ、3月初旬の小幅戻り高値となった4480円近辺までが目安に。
※参考:金プラチナ国内価格3/17とチャート
- 2021年3月17日(水)時点の相場
-
国内金 : 6,626 円 3/17(水) ▼3(0.05%) 国内プラチナ : 4,609 円 3/17(水) ▼7(0.15%) NY金 : 1,730.9 ドル 3/16(火) ▲1.7(0.10%) NYプラチナ : 1,219.1 ドル 3/16(火) ▲9.6(0.79%) ドル円 : 109.01 円 3/16(火) ▼0.10(0.09%)
2023年までのゼロ金利維持見通しで株高・金高・ドル安円安 3/18(木)
小売売上高も鉱工業生産も2月は低調、前年比での小売は好調 3/17(水)
好調続くNY連銀製造業景況指数、3月はインフレ指標も高騰 3/16(火)
金価格は三役逆転から脱出、プラチナは再び三役好転へ 3/15(月)
ミシガン大消費者信頼感指数1年ぶり高水準も13ヵ月連続前年割れ 3/13(土)
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン