金プラチナ短期相場観
米小売は大幅減、鉱工業生産も低調、地区連銀景況感悪化も続く
更新日:2022年12月16日(金)
「今後の利上げ幅についてはデータ次第」とした翌日から、景気減速への警戒感が高まる経済指標が続出。
米11月小売売上高の前月比-0.6%は市場予想の-0.2%を大きく下回り、今年最低、11ヵ月ぶりの低水準。自動車を除いた数値も同様、前月比-0.2%は11ヵ月ぶりの低水準。
前年比では+6.46%となり、こちらは2021年2月以来、1年9ヵ月ぶりの低水準。自動車を除いた数値も前年比+7.54%となり、やはり1年9ヵ月ぶりの低水準。
11月の鉱工業生産も前月から横ばい推移予想に対して-0.2%となって5ヵ月ぶり低水準。前年比では+2.5%となり、1年8ヵ月ぶりの低水準。
さらにNY連銀、フィラデルフィア連銀の12月製造業景況感指数も悪化傾向が続きます。
NY連銀は-11.2となって市場予想の-1.0を大幅に下回り、11月からは-11.2ポイントの急低下で5ヵ月ぶり低水準。6ヵ月平均では-6.25となって5ヵ月連続のマイナス圏推移。
新規受注が2ヵ月連続マイナス圏、受注残は7ヵ月連続マイナス圏推移。平均労働時間は-4.5で2年2ヵ月間で2番めの低水準。
フィラデルフィア連銀は-13.8。これも-10.0の予想を下回り、11月(-19.4)からは上昇も4ヵ月連続のマイナス圏推移。6ヵ月平均では3ヵ月連続マイナス圏で2009年8月以来、13年4ヵ月ぶりの低水準。
新規受注は7ヵ月連続マイナス圏で-25.8、2年8ヵ月ぶり低水準、出荷も-6.2で2年7ヵ月ぶり低水準、雇用も2年半ぶり低水準で-1.8、平均労働時間-8.9で2年8ヵ月ぶり低水準。
リセッションへの警戒感が、FRBの利上げ見通しと市場の楽観見通しとの乖離の背景となっているようです。
15日のNY金相場は-30.9ドル、1.7%の大幅続落で12月6日(1782.4)以来の安値。FOMC直後の乱高下を経て1820ドル付近で一服となったところが高値となって軟調推移。アジア時間に1800ドルの大台付近まで下落するとロンドン序盤に一段安、ドル高の流れに連れて大台を割れると一時1780ドル付近まで急落。NY市場では一連の米指標悪化を受けての米株一段安とドル安局面で1790ドル台半ばまで反発する場面もあったものの、1780ドル台後半に落ち着く状態に。12月に入ってからは緩やかに下降する200日移動平均線(1797.7)と1800ドルの大台ラインとの攻防状態が続き、足下では下値サポートとなっていた1790ドルがレジスタンスに切り替わり始めた状況となり、11月安値(1618.3)から12月高値(1836.9)の23.6%戻し(1785.3)付近に到達。目先は調整局面がもう一段進行し易い状態となり、1790ドルの節目割れに伴う短期下値目安は38.2%戻し(1753.4)近辺、1750ドル付近まで。
NYプラチナは-25.5ドル、2.45%の続落。時間外序盤に1040ドル付近の高値をつけて金の軟調推移に追随、アジア時間に20ドル程水準を切り下げ、ロンドン市場では1010ドル付近まで一段安。NY市場では一時1030ドルまで反発も、NY午後には1010ドルまで再反落。ただしほぼ水平状態の20日移動平均線(1011.8)にも下値を支えられ、1010ドル前後のサポートで足場固めの様相にも。1040ドルまでの保ち合いレンジも維持し、サポートを維持できなくなるようだと高値圏での三角保ち合い下放れの構図に、短期下値目安は970ドル近辺へ。切り返して上方ブレイクなら11月高値更新トライ、上値目標は1080ドル近辺へ。
ドル円は231銭のドル高円安、1.7%の大幅高で3日ぶりの反発。11月30日(138.10)以来、半月ぶりの高値水準に。市場の思惑よりは若干タカ派寄りとなったFOMCを経て、少しづつドル高の勢いが増す展開に。東京朝の135円40銭台から、東京午後には135円台後半へとゆるやかに上昇、欧州時間にはユーロ安ドル高の流れにも連れて一段高、136円90銭台まで上昇。NY朝には11月小売売上高と12月NY連銀とフィラデルフィア連銀製造業景況指数も低調となったことなどから136円10銭台まで反落も、NY午後には切り返す展開となって138円10銭台まで上昇。NY引けにかけては138円台を維持できず、137円80銭近辺へ。短期下値目安133円台半ばを目指した流れは前日安値134円40銭台までにとどまり、切り返した流れでは137円80銭近辺の節目に到達していったん上値を押さえられた状態にも。目先は135円台半ばから137円80銭近辺までのレンジで保ち合い状態に。しっかり上抜けできれば反発局面再開、141円台辺りまでが上値目標、下限を維持できなくなれば8月中旬安値圏131円台を目安に一段安の展開にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場12/15終値とチャート
16日の国内金価格は-2円、0.02%の小幅安で4日続落。12月8日(8563)以来1週間ぶり安値圏での小動き。4日合計で-31円、0.36%の下落に留まり、下げ渋る状態ながら反発への勢いにもやや欠ける状態か。それでも8620円の節目を上抜けることができれば一段高への可能性も、8660円台辺りまでの上値余地拡大へ。
週間ベースでは-7円、0.08%の小幅安で3週ぶりの反落。
プラチナ価格は-15円、0.31%の続落。4850円の節目に跳ね返された流れが続き、今度は下方向への節目となる4800円の大台ラインとの攻防が意識される状態に。これを割り込むようだと短期的には4700円も割れて4660円程度までが下値目安に。ただ、中期的には10月後半以降の高値保ち合い下放れの構図にもなり、年末年始に向けても上値の重い展開となりやすい状態にも。切り返して4850円超へと抜け出すことができれば短期上値目標は5000円の大台付近まで。中期的にも11月高値起点の抵抗線上抜けの構図となり、今年高値更新トライも意識される展開へとつながる可能性も。
週間ベースでは+33円、0.69%の反発。
※参考:金プラチナ国内価格12/16とチャート
- 2022年12月16日(金)時点の相場
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国内金 : 8,586 円 12/16(金) ▼2(0.02%) 国内プラチナ : 4,814 円 12/16(金) ▼15(0.31%) NY金 : 1,787.8 ドル 12/15(木) ▼30.9(1.70%) NYプラチナ : 1,013.2 ドル 12/15(木) ▼25.5(2.45%) ドル円 : 137.80 円 12/15(木) ▲2.31(1.70%)
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